先週の寒さが、嘘のように、暑い今日この頃です。

続きを、お楽しみください。

画像は、今年の個展の新作「魔猫島(まびょうじま)」カンタスカラーナのカルカナル時代の終わりに、断末魔のごとく、猛威を奮った、悪の科学者ウィラード博士です。(密かに、お気に入り作品です。ポストカードは    高円寺 猫の額さんで購入出来ますよ)

《第8章⑰ カルカナルの罠》

猫達は、母船ごと、例の海域を目指します。

作者は、最後のイクサフィーゴが見つかるかもしれない。と言う知らせに、嬉しく思う反面、切ない気持ちになっていました。

任務が終われば、彼等は星に還る…。

良い事だと…言い聞かせながら…

この、猫の星と地球との繋がりは、謎に満ちています。

あの海域は、作者が幼い頃からテレビのミステリー特集で、何度も紹介されていた場所…

猫庭博士が、その場所を[安全な場所]と、言う意味は、一体、どういう事なのか…?


理解の範疇を越える出来事に付いていけない作者が、一人、置き去りにされていました。

物語は、2015年の冬の入り口、カルカナルの力により、作者と、深く繋がっていた、先客の猫型生命体との、コンタクトコードが1つ外されてしまいました。もう1つの、カンタスカラーナ星人とのコードは、かろうじて繋がった状態…

作者が、その異変に気づくのは、もう少し先の話になります…。


その頃、寅次郎博士の屋敷では?

三人は、応接間に戻ると、昨日の祭りの、お供えの、お下がりのお菓子を広げ、作戦会議という雑談をしていました。

なかなか、集まる事が出来ない3人、会話が弾みます。

「私…昔は、全く、無頓着だったんですよねー…家にいる時は、BGMがわりにTVをつけ、流れる情報を敏感にキャッチして、流行に乗り遅れないよう必死だったし、コンビニ弁当レンチンして、5分でサササッて食べて、炭酸飲料で流し込む…それが、ごく普通だと思っていました…」

サリーは、かつての自分の食の価値観が、一般的だと思っていたのです。

「げ!炭酸飲料で飯食うのか!?きもちわりぃな?ま、まぁ…それがな、あんたにとっちゃ「普通」なんだろな…」

門田さんは、ドン引きです。

「普通でした。食事なんて、どれもお腹に入れば一緒だし、美味しければ何でもいいって…菓子パンや、お菓子を食事にしていた頃もありますし…あの頃、かなり、荒んでて、そんな事ばかり続けてたら、どんどん、試合に負けちゃって…」

彼女は、男性時代は格闘家でした。

美しい容姿の彼女を見ていると、想像できませんが、最初は、男性として生まれ、後に女性として生きているのです。

「ったりめぃだ。知らず知らずに酷使した分、この柔なホログラムボディは、すぐにボロボロになっちまうんだよ!」

門田さんは、目くじらを立てます。

「で、ちゃんと管理されたジムに所属して、1からやり直したら、元気になりました!」

彼女は、スマホに入っている、チャンピオンベルトと、たくましい姿の画像を、自慢気に見せました。

「よ、良かったじゃないか」

門田さんは、あまりのギャップに驚きながらも、現在の、健康的な彼女の表情をみて、安堵しました。

「この世界は、真逆さ、カルカナルが造り上げた、ルーティーンの枠組みのベルトコンベアを、人間達は、疑う事なく受け入れる。そして、心体劣化は加速する。カルカナル達にとって、劣化から生み出されたエネルギーは、最上級の食料になる…人間達にとって最悪な状態は、カルカナルにとっては最高な状態。そして、人間達も、カルカナルと同じ事をしている事に、気づかされていないんだよ…」

寅次郎博士は、そう話すと、静かに、お茶をすすり、村一番の饅頭をひとつ頬張りました。

「私もな、脂肪肝の鴨やガチョウ、油の乗った脚気の牛を、うまいうまいと喰ってた。確かにうまいよ…だがな…」

門田さんは、巨匠と言われ始めた頃、高級接待を受けた時の食事を思い出していました。本当に、本当に、頬が落ちるほど、美味しかったのです。

ですが、脂を美しく均等にちりばめた、舌で溶けるような肉を造る為に、小さな檻に入れ運動不足にして育てられたり、必要以上の食糧を与え不健康に造られた、動物達の事を知って以来、なんとも言えない気持ちになりました。

「カルカナルも、地球人に対して、同じ感覚さ…均等にカルカナルの食糧エネルギーを、造る為には、人間のミトコンドリアデータを破壊するプログラムを入れた食事を与え、ボディを欠損させた上に、様々な薬品を使い、さらに動けないようにする事で、ストーンブロックの蓄積を増やすんだ。生み出されたエネルギーは、最上級と言われている…いわゆる超健康体と呼ばれる人間のエネルギーは、まずくて食えないのさ」

「恐ろしいな…」

門田さんは、震えます。

「ミトコンドリア破壊プログラムを、自ら、人間達に、体に良いもの、害のない物と信じこませて、造らせれば、何も疑いもなく使う」

「確かに…」

「最初に教え込まされた嘘が、真であり、正しいと教えられた彼等は、それらに異を唱える少数の者達に対して、排除プログラムが働き、猛攻撃を仕掛ける仕組みが出来ている。カルカナル達の技術は、優れている故に歯止めが効かない…」

寅次郎博士は、過去の星で、カルカナル達の悪行三昧を目の当たりにしてきました。

もちろん、橋渡しメンバーである、この二人も、カルカナル達を相手に任務をこなしてきましたが、経験値が一番高いのが、寅次郎博士です。

イクサフィーゴと言う、謎の回遊知的生命体と行動を共にする彼は、橋渡しのメンバーの中でも、一目置かれる存在であり、カルカナルの、あらゆる手の内を知る者なのです。

「と、言うことは…人間達に、元気になってもらっては困るんですね…どこかしら調子悪いのが、当たり前で普通…??」

サリーは、昔の自分が、彼等にとって好都合だったのかと思うと、ゾッとしました。

「ミトコンドリア破壊プログラムは、時限爆弾並みだ。私達の体の中にも蓄積されている。一定量を、越えたら発動するから気を付けるんだよ」

寅次郎博士は、避ける物質一覧を渡しました。

この中に、破壊プログラムが組み込まれているのです。

作者も、後から、猫沢さんを介して受け取りました。何気に普通に、口にしている事に、驚くばかりです…。

三人は、今後の任務を、深く話し合いました。どんな計画をしているのかは、シークレット。

作者にもです…作者は、あくまでも、猫沢さん達の記録係です。[橋渡しの民]にとって部外者なのです。


「さてと、もう、こんな時間か…猫達に、ご飯をあげなくては…」

寅次郎博士の横に、静かに、たたずむアルハンゲルに気づくと、そそくさと席を立ちました。

「おっと、私もハチ公の散歩いきゃな、じゃ、またな。マゼラン人達の事、進展したら教えてくれぇ」

「私、千寿さんちの隣ですから、何か変わった事があったら報告しますね。失礼しまーす!」

二人は、にこやかに自宅へと向かいました。

見送る、寅次郎博士のそばには、屋敷猫達が、催促をしています。

「はいはいはい、今、準備するからね」

博士は、屋敷の中に、せつかれるように戻っていきました。

[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第5弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2019年の7月、幻想の魚の秘密.第6弾を展示決定!お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
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