梅雨のような秋空ですね。今年は、雨が多い日
ばかりで湿気が多いなぁと思います。

では、続きをお楽しみください。

画像は、アルハンゲル君が、猫の星で生きていた頃の姿。名前は[ケイオス]吟遊詩人で、カルカナル時代に終止符を打った英雄猫です。竪琴を弾く彼の音色に聴き入っている、赤いチョッキの子猫は、猫沢さん、カウンター向こうにいる子猫は、猫庭博士です。この場面は、猫庭博士の両親が営んでいたレストランでの演奏会の模様です。

あの頃の猫沢さん達の物語は、そのうち追々…


(この物語のポストカードは、高円寺 猫の額さん、美濃加茂市 ぱん工房いまやすさん、可児郡 珈豆屋珈琲さんで、お買い求め頂けます)

《第8章⑤ カミシロ族と謎の建造物》

猫沢さんは、鞄から取り出した小さな桐の箱を、寅次郎博士の前で静かに開けました。

それを見た、寅次郎博士は

「この形…何かに似てる…」

不思議なデジャブを感じながらも、開きかけた記録帳を、一旦閉じ、箱の中を見つめます。

「これは対になっていまして、もう1つは、センジュ族長の身内が持っているとの事です」

「身内?」

「センジュマナタカと言う人物だそうですが、寅次郎博士は、御存知ですか?」

寅次郎博士は、驚きます。まさか、猫達の口から、知っている名前が飛び出したのですから…

「御存知も何も、村の住人で顔見知りさ」

「なんと!そうですか!ならば話は早いです。すぐに彼とコンタクトを取っていただけませんか?」

猫沢さん達は、目を輝かせます。

「奇遇だね。私も近々、彼を訪ねようかと考えていたんだよ。ちょうど今晩、祭りの打ち上げがあるんだ。その時に、声をかけてみるよ」

「本当ですか!」

「あぁ、ところで、それは一体なんだい?」

「村外れにある巨石群のパーツです」

「巨石群?あれは彼らの建造物なのか?」

村の西側に位置する原っぱに、無造作に配置された巨大な石のオブジェのように見えたものは、異星人達によるものと知った、寅次郎博士は、ひたすら、驚くばかり、村の言い伝えでは[鬼の一族達が、人里から人間をさらい、生け贄として捧げる為に使われていた忌まわしの祭壇]と伝えられていたのですから…

「一番最初にテラに降り立ったカミシロ族が、造ったものだそうです」

「一番最初…?」

「彼等は、カグラミチタロウと接触する以前から、ここに移住していました。この星には、彼等にとって必要な鉱物があり、採取する為に住み着いたと…」

「ほう…あの巨石群は、何に使っていたんだい?」

「母星との通信と、宇宙船の格納庫です」

「…生け贄台じゃなかったのか?」

「とんでもありません!彼等は、あの地下を拠点として活動してたんです。現在は、通信機も格納庫の入り口も、村人達に破壊され、交信が途絶えてしまったのですよ…」

「破壊された?」

「はい、そのせいで、任務期間を終えても、帰る事が出来なかった者達の生き残りが…ここに留まったのです…」

猫沢さんは、悲しそうな表情で、寅次郎博士を見つめました。

「この金属盤を、あの巨石群に設置すれば、再稼働するのか?」

「はい…ミチタロウ[カミオン]氏は、マゼラン星任務時代に、彼等の救済を依頼されています。この金属盤は、彼等の星から非常用の遠隔修復をする為の物ですが、村人によって、バラバラに投げ棄てられ、ようやく、探し出したのですよ。ミチタロウ氏も、一部の金属盤を持っている筈ですが…」

猫沢さんは、蔵の中でコンタクトをとった時に、送られた彼等の情報を、丁寧に伝えました。

「…しかし、彼は、再会を果たした時「橋渡しの民」の記憶は戻っていなかった筈だ…彼等の事を忘れてしまっていたんだよ…ここ(顕在意識)の記録には、仲良くなって、星の話を色々聞いたと…」

当時のミチタロウは、完全覚醒をしないまま、この星を去りました。顕在意識の彼にとって、なんとなく懐かしい、異形の優しい先住民族として映っていただけです。

「[潜在意識の彼]が、綴った記録は、どうなっていますか?」

寅次郎博士は、慌てて探します。彼等の星の言語で、書かれた記録です。

「[ようやく、彼等と再会を果たしたが、ホログラムボディの[私]と、ここにいる[私]と繋がらない、[私]は[私]をコントロール出来ない、彼等との約束が果たせない…。ミチタロウ…あれを、店の看板から外すんだ…早く気づいてくれ]と書いてある、、看板?看板のマーク?」

寅次郎博士は、ハッとしました。神楽屋の看板に変わった模様の金属の板を思い出しました。

未覚醒のミチタロウは、知らずに屋号の隣に掲げていたのです。

猫沢さん達は、再び、村の周波数が、激しく変化した事に気づき、耳を立てピクピクと動かしています。

「…更にまた、止まっていた時は動き出しました。寅次郎博士、早く店に行ってください!」

「分かった󾬆君達も一緒に来てくれないか?」

「勿論です。あの、ひとつお願いがあります!カミシロ族は、心の澄み切った優しい民族(異星の民)です。可能なら、現在の村人達に伝え直してください。彼等は、恐ろしい人喰い鬼ではない事を!」 

猫沢さんは、彼等からの受け取った[思念]を、伝えました。

「分かった、やってみよう」

寅次郎博士は、深く頷くと、神楽屋へ向かいます。

勿論、猫沢さん達は、再び、四足歩行の地球猫の姿になり、寅次郎博士の車に乗り込み出発です。


屋敷を護る、ロシアンブルーのアルハンゲルと、猫谷エンジニアが、窓から、彼等を、見送っていました。

猫谷エンジニアは、アルハンゲルに問いかけます。

「お前さんの正体は、まだ、彼等には明かせないな…」

アルハンゲルは、静かに頷くと、

「すみません…彼等が地球任務を終えた後、全てをお話します…」

アルハンゲルは、深くお辞儀をしました。


[つづく]

 (※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)

2018年の6月も、幻想の魚の秘密.第5弾を展示決定!お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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