お待たせしました。
もう秋の気配ですね。
だけども、雨降りと湿気で、バテしてしまいますね。
では、続きをお楽しみ下さい。
画像は、寅次郎博士と屋敷猫達が、秋祭りに参加している場面です。(使用画材、色鉛筆、即興画)
このシリーズの猫作品ポストカードは、東京 高円寺 猫の額さんで購入できます。
《第8章③ カミシロ族》
その翌日…
2機のフラクラフトに乗った猫沢さんと猫宮医師が、向かうのは、寅次郎博士が住む村
[あの村で、マゼラン系テラビトの痕跡が発見されたと…?]
猫沢さんは、猫宮医師と、テレパシーで会話しています。
[寅次郎博士によると、橋渡しの民メンバーの古い知り合いの末裔だと、聞いています]
[ほう]
[あ、村に着きましたよ。降りましょう]
村では、祭りの真っ最中、法被を着た村人達が祭囃子を演奏しながら、神輿を先頭に練り歩きます。そこに寅次郎博士と屋敷猫達の姿もあります。
十匹近い猫達は、かわいらしい法被を着て、寅次郎博士の周りを、行儀よくチョコチョコと歩いています。それを見た村人達は、大喜び
今や彼は、村で[猫おじさん][猫先生][寅さん]等の愛称で、親しまれています。
「祭りをやっているようですね…出直しましょうか?」
猫宮医師が、そう言うと、
「いや、あの蔵に行ってみよう。あそこに大きな周波数帯の歪みが出ている」
「はい」
二人は、開かずの蔵に向かう事に…
神社の裏にある、雑木林に、ひっそりと建っている蔵、辿り着いた二人は、蔵の中に入ります。
「猫沢博士、蔵の奧に祠がありますね…」
そこには、乱雑に半分埋まった祠が、ありました。
「わ!」
猫沢さんが、ビックリして、ピョンっと飛び上がると…
祠がある穴から、四つの光る目玉のようなものが見えました。
猫沢さんは、気を取り戻し語りかけます。
「無断で入って申し訳ない、つかぬ事を聞くが、あなた達は、マゼラン系の血を引く民か?」
その言葉に反応し、彼等の目が、一瞬ピカーっと光ると、返事が帰ってきました。
「い…いかにも…私達は、マゼラン星第29惑星の血筋の地球人[カミシロ族]である。君達は…何者か?」
「私は、シリウス系第22惑星カンタスカラーナから来た、猫沢です」
「同じく、猫宮です」
「猫族か…?」
「はい」
長い手足を、駆使ながら這い上がってきた二人の姿は、まるで、蜘蛛のようです。
「私は、カミシロ族の族長、千寿(せんじゅ)と申します…」
長い手足を器用に折り畳み、深々とお辞儀をする族長の隣には、手だけ長い男性
「私は、副族長の社(やしろ)と申します。…コンタクトよろしいでしょうか?」
そう言われた猫沢さん達、相手に敵意がない事を確認し、了承の合図を送ると、目を合わせ、何やら、情報を交換しはめました。正確には、目ではなく額の奥の辺りに意識を集中しているのですが…
猫沢さん達は、情報を受け取ると…
「あなた方の了見、承知いたしました」
「…たかじけのうございます…」
二人は、涙を溜め、猫沢さん達に、何度も何度もお礼をしました。
「これを…」
受け取った、桐の箱の中には、あきらかに、地球の物質ではないと思われる、金属盤が入っていました。
「これを、あの巨石群に設置すれば良いのですね?」
猫沢さんは、金属盤を眺め、刻まれた記号を、瞬時に解読していました。
「…はい、私達は、村中に張られた結界に阻まれて、そこへは行けませぬ…ようやく約束が果たせます…」
「分かりました。ですが…当時、約束をした彼は、もう、この地上には存在しません…私達が、彼に替わって、お礼を言います」
カミシロ族の民は、驚きました。
「居ないのか…カミオン(ミチタロウ)は…もう、この星には、居ないのか…?」
「はい…10年程前に…やはり、あなた方にも、タイムラグが…」
「タイムラグ、時間が歪められてしまってるのか!?」
落胆する二人…
「ですが、ご安心ください。後任の者が居ます」
「本当か?」
「はい、彼らと共に、あの地に参ります」
「もうひとつ、お願いがあります」
「なんでしょう?」
「この盤の片割れを持ち出した私の血縁者がいます。彼も、一緒に…」
「片割れ?」
「この盤は、陰と陽に分かれています」
「なるほど、その者の名は?」
「センジュマナタカ…私の夜叉孫にあたる者です。彼は今、この村に居るはずです」
「彼は、結界から出られたのですか?」
「彼は、地球人の血が濃いため私達とは、容姿が違います。限りなく地球人に近い…かろうじて、人間の世界で暮らせる姿です」
「なるほど、分かりました」
「よろしくお願い致します」
二人は、何度もお礼を言うと、再び、穴の中へと入っていきました。
シンと、静まり返った蔵の中、外は、賑やかです。先程の御輿が帰ってきたようです。
猫沢さん達は、視覚的周波数を変換し、地球型の猫の姿になりました。これなら、村人達の目に触れても怪しまれません。
「にゃー!」
草むらの中から、猫沢さん達は、寅次郎博士に声をかけます。
「あ、あれ?もしかして、猫沢くんか?」
寅次郎博士は、ビックリしています。
「にゃ~!」
にゃごにゃご言う猫沢さん達に、気づいた、村の地域猫を世話する女性が、
「猫先生、この子達は、見た事ない猫ですね?」
「私の知り合いの猫だよ。隣の村から祭りを見に来たそうだよ」
「へ~、目がくりくりしてる。こまった眉毛模様の猫ちゃん!すっごく、かわいいですね!こっちの子は、凛々しいイケメン猫ちゃんですね~」
女性は、大喜びです。
「私は、これから、猫達にご飯をあげなきゃいけない、皆に、よろしく伝えておいておくれ、あ、ごくろうさん会は、いつもの「神楽屋」ね。ごちそう作って待ってるからね」
「はい!いつも、美味しい食事ありがとうございます!」
寅次郎博士は、猫達を連れて屋敷に戻りました。
猫沢さん達も、猫の姿で、トコトコ付いていきます。
[ぷぷぷ、困った眉毛模様の猫ちゃん!]
猫宮医師は、笑いをこらえています。
[ほっといてください]
猫沢さんは、 少々ふてくされながら、猫達の行列に紛れてしまいました。
屋敷に到着すると、二人は、すっかり元の姿に戻っていました。
「驚いたな?君達、姿を変えられるんだな?」
寅次郎博士は、法被をハンガーにかけると、猫達の法被を丁寧に脱がせながら言いました。
「意識と周波数をコントロールすれば、簡単な事ですよ」
猫沢さんは、サラッと答えると、こなれた様子で、猫用ソファーに腰かけました。
[つづく]
(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。
物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。
そんな楽しい猫の星の世界観第四弾を、東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表いたしました(^O^)
2018年の6月も、幻想の魚の秘密.第5弾を展示決定!お楽しみです。
猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)
※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)
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via 個展連動SF猫物語[幻想の魚の秘密]シリーズ
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