おひさしぶりの更新です。

2016年6月24日~7月6日の2週間、東京、高円寺猫の額さんにて行われました。

ちさと個展[虚空高舞上]が、最終日を迎えます。ご来場くださいました方々、ありがとうございました。

そして、この物語を、ご愛読してくださる方々共々、感謝いたします。

では、続きをお楽しみ下さいませ。

画像は、今回の個展作品[星のメロディー]画材は、三菱ユニポスカ&コピック



《第4章  テラビトサンプル1号観察記録2014年夏から󾬄④》

今は、2014年の秋口、そろそろ肌寒くなる頃の記録である。

咀嚼の力を取り戻したサンプル1号は、さらに、追究していった。

頭の血流が良くなり、途切れていた脳神経が次々と繋がり始め、何かに気づいたようだ…

サンプル1号は、私に質問してきた。

「漬物石が外れてきたのでしょうか?頭の中の靄が少しづつ晴れてきた気がします。そして、次から次へと、いろんな情報が、舞い込んでくるようになったのですが、何故ですか?」と…

今までにない質問である。
    
「テラビト、すなわち、あなた達が発する周波数がアンテナとなり、感知した情報が集まるのですよ。あなたの脳神経は活性化し始め多くの何かを引き寄せます」

サンプル1号は、頭に?を浮かべていたが、構わず私は話を続けた。

「そのうち、自分達が発した周波数が、どれ程の力を持っているか驚く事でしょう…他に体の変化は?」

「他ですか?今までに、食生活改善をかなり努力し…お通じ等は問題がないのですが…力が出ないんですよ…加工食品減らして、野菜摂取は増えたし…問題ないように思えるんですが…」

サンプル1号は、首を傾げていた。私の目には、彼女の体には、何が必要で、何が不要かは見えているのだが、安易に教えてはいけない。 ヒントだけ与える事にした。

「テラビトの体は何で出来ていますかね?」

「炭素」

「他には?」

「水分?あとなんでしたっけ?」

「酸素
炭素
水素
窒素
カルシウム
リン
イオウ
カリウム
塩素
マグネシウム
フッ素
ケイ素
亜鉛
ストロンチウム
ルビジウム
マンガン
アルミニウム
カドニウム
ヨウ素
クロム
ヒ素
コバ…」

「猫沢さん!もういいです!自分で調べます!」

「わかりました。では、課題を与えましょう。これらの物質で構成されたテラビトの体を維持する為のヒントを探してください。
 そこに、あなたが必要とする事柄が見つかる筈です。これに気付けば、今の不調の原因が分かるでしょう。あなたは今、かなり食生活を変えていきました。いい線までいっていますが、バランスが狂っています」

サンプル1号は、キョトンとしている。

彼女の、テラビト構造の知識は[人体の不思議展]で人体標本を、見てきた位の乏しい知識しかない…


特殊なプラスチックで加工された、テラビト達の遺体を見てきただけに過ぎない…気味の悪い展覧会だ。


せいぜい知っているのは、 人体の筋肉や内臓の仕組みくらいだ…私が知ってほしいのは、これらの人体組織が潤滑に働く為に何が必要かである。それを知らなければ、いつまでたっても先に進めない。

ただ闇雲に、加工食品を減らし、動物性を極力減らし、野菜中心の一見、素晴らしく健康的に思えるユルい、ベジタリアン的食生活が、果たして、彼女の体にピッタリ合っているのか疑問である。

確かに漬物石(遮断石)は多少除去出来ているが、一向に体の疲れは取れていないとぼやいている。

ある日、彼女は、私に言った

「猫沢さん、最近、私、食べ物がとても不味く感じるんです…特にお肉が不味く感じて…お肉以外の食べ物も味気ないんです…体質が良い方へ変わってきたんですかね?」

「食べ物がまずい?どのように?」

「お肉は旨味が感じないし、ゴムを食べているみたいですし、他の食べ物も、味が分からないんです…あ、でも、お菓子類の甘いのは大丈夫です」

「味覚が狂っていますね…」

「え?味覚がですか?」  

「料理の味付けは何を使っていますか?最近の食事は何を食べていますか?」

「極力、味付けは塩分控え目で薄味です…とにかく野菜をたくさん茹でてスープにしていますよ」

「…狂う筈です」

「へ?」

「野菜をたくさん摂取するのは結構な事です。しかし、野菜に含まれる成分に比例して体内から失われるものもあるんですよ。まずは、それを知って下さい」

私は、サンプル1号の部屋をスクリーンにし、ある画像を映した。テラビトの体内を抽象化した、幾何学的宇宙空間のような映像だ。

絵を描くサンプル1号ならば、視覚的な情報の方が、理解しやすい。

[つづく]

2016年6月24日から7月6日の2週間、東京 高円寺、猫の額さんにて行われました個展が、無事に終了しました。

また、来年の同じ時期に、猫の額さんにて個展開催が決定しました󾬄よろしくお願いいたします󾠓

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

東京.高円寺[猫の額]さんでの個展とブログ小説の連動型です。読書を楽しみながら、作品もお楽しみ頂けます。


猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんで、いつでも、購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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