今日は、冬至ですね。冬至南瓜と柚子湯で過ごす日です。

ただいま 東京 高円寺猫の額さんでは、12月18日~30日まで、チャリティー企画[らくがきマーケット]開催中です。私もミニ原画を出品中です。売上は全て 動物救済の団体へ寄付されます。

そして、猫の額さんでは、猫沢さん作品のポストカードも絶賛発売中ですよ。

一枚目の画像は、猫伊豹之助博士&猫沢博士、開発したナノマシン[カルカン]です。

二枚目の画像は、神楽屋の実演作業部屋にいる寅次郎博士。

では、続きをお楽しみ下さい。

星を繋ぐ猫達 《第三章.謎のナノロボットと伝説の男の復活》

これは、2014年の10月辺りのお話。

猫沢さん達が、寅次郎博士とコンタクトが成功した頃…作者は、例の、テラビトに紛した謎の宇宙生命体のコンサートへ観賞に向かっていました。関東地方台風直撃の頃…

そして、台風の進路と共に、コンサートから帰って来た日の翌日…サンプル1号が、猫沢さんに、小さな瓶を手渡しました。

「猫沢さん、採取してきました。今回のステージで、以前飛ばしたのとは色違いのナノロボットが、放出されたみたいです。入っているかどうか、分かりませんが、調べてみて下さい」

サンプル1号は、猫沢さんの指示により、コンサートの演出と思われる、ステージ上のスクリーンに映し出された、ナノロボット達が、コミカルに飛来するCG映像を確認し、小瓶の蓋を開け空間採取して来たのです。

猫沢さんは、何も入っていないように見える小瓶を受け取ると、シリアルバーをサンプル1号に渡しました。

「ありがとうございます。これは、寅次郎博士達が作ったドライフルーツを使って作ったシリアルバーです。試食してみてください」

「え?寅次郎博士達が作った??」

「はい、彼の住む村では、あらゆる作物を自給自足で作っているようです。とても素晴らしい周波数の土地でしたよ♪」

猫沢さんは、ニコニコしていました。よほど良い村なのでしょう。かつての[東の猫の民コロニー]を彷彿させるような村だと、昔を知る猫達の間では、持ち切りなのです。

猫沢さんと、猫谷エンジニアは、一礼すると、スタスタとニャンタープライズ号の中に戻って行ってしまいました。

任務を終えた、サンプル1号は、コンサートの遠征の旅の疲れがドッと出たのか…昼寝と言いつつ、泥のように眠ってしまいました。

年齢のせいか、昔のように、体力が持続しないのです。食生活を改善し、インスタントやレトルトや冷凍食品、電子レンジの使用をほとんど止め、手料理、野菜中心に切り替えたと言うのに…一体、何が足りないのか、疑問に思いながら過ごすサンプル1号…

そんな様子を、猫沢さん達は、じっと気づくのを待っています。

サンプル1号は、彼等が、遠くの星から来た宇宙人とも気づかず、コンサートの演出を、単なる壮大なスケールのエンターテイメント舞台として認識して楽しんでいるだけの様子に、猫沢さんと猫谷エンジニアは、若干 歯痒い思いをしていました。

漬物石(ストーンブロック=遮断石)が、大量に蓄積してしまったテラビト達の、低下した知能と理解力では、彼等の発する摩訶不思議な信号も受け取れず、カルカナルの強力な磁場に邪魔をされ、訳も解らぬまま、全力で楽しむ事で、精一杯なのだと、いや、そんな物、最初から無いと繰り広げられる摩訶不思議なステージに ただただ魅了されるテラビト達を静かに見守る猫沢さん達でした。

二人は、お互い顔を見合わせ、受け取った小さな瓶を分析中…

「おい!タニィちゃん!見てくれ!いたいた!白いのが!こいつだ!このナノロボットだ!」

電子顕微鏡の中で活発に動く ナノロボットに二人は大喜びです。

「以前、彼等が放ったナノロボット[ハリコン-B]は、私達の星のナノマシン[コルソー]よりも数倍性能が高かったんだ。不思議な事に、私達が作ったものと、何点か働きが共通していてね。猫伊(豹之助)博士が夢の中で新しいナノマシン[カルカン]の設計図を手に入れた時、このナノロボットが案内してくれたそうだ」

猫沢さんは、目を輝かせます。

「ほう、そりゃ凄いな。ますます、おもしれぇ!」

猫谷エンジニアは、日間賀島の蛸のような、白い可愛らしいナノロボットを、じっと覗き込んでいました。

「この[ハリコン-W]はどんな性能なのか気になるな…おそらく漬物石除去をするだろうが…?明日[カルカン]と一緒に、寅次郎博士に持って行こう。何かを知っているかもしれない…」

猫沢さんは[ハリコン-W]と[カルカン]の入っている小瓶を、ポーチの中に入れました。思い出したように、以前、採取した[ハリコン-B]も加えて…

カンタスカラーナ時代の寅次郎博士(猫伊虎之助)が開発した、ナノマシン[コルソー]の特徴を受け継ぎ、夢の中で見たナノマシンの設計図を融合し、子孫の猫伊豹之助博士が、新たに造り出したナノマシン、赤くて丸い蟹のような かわいい[カルカン]

かつての、ナノマシン[コルソー]は、ストーンブロック(漬物石=遮断石)を除去する働きがあり、カルカナル時代に大活躍していたのです。テラで発見されたナノロボット[ハリコン-B]も、同様に漬物石除去をするのですが、機能は、まだ解明されておらず、未知の物体です。[ハリコン-W]は一体どのように働くのか…?

明日は、いよいよ、寅次郎博士と3回目の接触です。

その頃、寅次郎博士は…?

珍しく、神楽屋の厨房にいました。お昼のピーク時間です。いつもは、洋館の作業場で、マイペースで作っていますが、久しぶりに厨房に行こうと思い立ち、来ているのです。

店主をはじめ、他の従業員達に、驚かれていました。

「…寅ちゃん、店で蕎麦を打ってくれるのか?」

彼は、神楽屋の亡き師匠.神楽未知太郎の孫、神楽火水斗(カグラヒミト)

昔、小さなプロレス団体に所属していましたが、現在は引退し、神楽屋を継ぎ店主を勤めています。彼も、立派に未知太郎の技を引き継ぎ、宇宙蕎麦を打つ一人です。

2メートル近い身長に、マッスルな体型、小柄な神楽屋の師匠からは想像出来ない孫の姿…

彼で三代目、二代目の父親は隠居し、村長兼村営の農園の園長を勤めています。村や店で使う野菜は、全て、この農園でまかなっています。

「いやぁ、なんかね、とても体調が良いんだよ。いつもなら、蕎麦打ちが終わるとグッタリするんだけどねぇ、足手まといにならないように、おとなしく作業部屋で蕎麦打ってるから、気にしないでくれ」

かつて、師匠.未知太郎が使っていた部屋に、数年ぶりに入る寅次郎博士。そこは実演作業部屋…何年も使われなかった部屋…

宇宙意識と繋がった寅次郎博士は、一晩のうちに、自ら、損傷や劣化した体内細胞を修復してしまっていたのです。

朝起きて、鏡を見ると、ずっと気にしていた、眉間のシワ等が消えている事に気づき、5歳位若返ったと上機嫌なのです。

「確かに顔色いいな。でもさ、あんま無理すんなよ。珍しい事するもんだから、巨大台風なんか発生したんだよ。寅ちゃんのせいだぁー」

「じゃ、引っ込む」

「じょ!冗談だよ!!帰るなよ!」

そんな冗談を飛ばしながら、二人は、和気あいあいとしながら、蕎麦を打ち続けました。

店の外には、相変わらずの長い行列です。皆、宇宙を感じる蕎麦に夢をはせ、遠路はるばるやって来るのです。

久しぶりに、実演作業部屋の木戸が外され、生前、未知太郎師匠が着ていた黒い作業着を着た、白髪の蕎麦職人.風天寅次郎が、蕎麦を打つ姿を目撃した常連客達に、どよめきが走ります。

「伝説の寅さんが、還ってきた」と…

[つづく]

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界観第二弾を、今年も東京.高円寺[猫の額]さんでの個展にて発表。2015年6月5日~17日に開催いたしました(^O^)
来年の6月も、幻想の魚の秘密.第三弾を展示決定しました!既に準備は始まっています。お楽しみです。

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です)

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