まだまだ寒い日が続きますね。

先日、個展案内DMのデザイン発注をお願いしてきました。そこで思わぬ発酵話に花が咲き、突如ヨーグルトメーカーを購入する運びになりました。自家製ヨーグルトや塩麹や甘酒や納豆等いろいろ作れるようです(^O^)

今回、この章を一旦区切りました所で、一昨年前から始めていた食生活改善レポートを再開させて頂きます。この猫物語は、食をテーマにしたスペースファンタジーと言うジャンルで綴っております。

次回より数回に分け、作者をテラビト研究サンプル1号として観察した猫沢さんの記録と共に、お届けいたします。(恥ずかしい…)

では、続きをお楽しみ下さい。

画像は新作、十三屋、十三郎博士と幼い頃の猫庭博士と猫沢さんです。

《やがて大きな波紋のように…》

猫庭博士は笑顔で応えました。

「嬉しいです!まさか猫沢博士が私達の店をひいきにしてくれていたなんて!」

喜ぶ二匹の横で聞いていたトート博士が、話の中に入って来ました。

「十三屋とミラルクルンレストラン…聞いた事あります。参拝者達が「あそこの野菜は形は悪いけど美味しい、あのレストランの味は素材が生きてる元気が出る」と噂してるの聞いた事ありますよ。何度か情報伝達係の宮司が下山した時にお土産で買って来てくれました。「これは東の猫の民の仲間達が作った野菜だよ」と、そうでしたか、猫庭博士…あなたがたが…私達を解放してくださった…なんとお礼を言ってよいか…」

トート博士は、猫庭博士に深くお礼をしました。

「いえ…私はただ、祖父達を手伝っていただけですから…」

猫庭博士は照れ臭そうにハニカミます。

猫庭博士の祖父の小さな店と、両親のレストランは、カルカナルの監視の目を逃れた数少ない店です。

もちろん、コロニーから、十三郎博士に続き沢山の猫達が草の根のように、得意な分野を生かし様々な形で店を出したり、ワークショップを開いたりして、人工的で不自然なカルカナル社会にドップリ浸かり操らている猫達の意識に働きかける活動をしていきました。

しかし、目立った活動をしてしまった猫達はカルカナルの圧力に負けたり、挫折しそうになったりしました。困難にぶつかりながらも地道に歩みを止めなかったのです。

徐々に十三郎博士達に賛同する猫達を増やしていったのです。

カルカナル社製品を拒否する猫達も増えていきました。

猫庭博士は、店を知っていた二匹に感動しつつ話を再開しました。

「最初は全く見向きもされなかった祖父の野菜達ですが、懐かしいと手にしてくれた年配猫達が、子供や孫達に伝えてくれたのです、カルカナル社の野菜が幅をきかせる以前から育てられてきた野菜達の話を…そして、少しづつですが買い求める猫達が増えていきました。祖父の野菜を食べ元気になった猫達が[どうやって作るのか?]と、祖父はこっそり教えるのです。カルカナル社の推奨する農薬等を使わない事や、大地の大切さ、遺伝子組み換えされたニャランケン野菜の危険性を赤裸々に話しました。ニャランケン野菜の特性である一代交配の種の構造を解除し狂った遺伝子達を先祖返りさせ、生まれ変わらせた種を採取し固定種として育てる方法等、祖父は惜し気もなく伝えたのです」

猫庭博士は、目をキラキラさせ、当時の思い出が蘇り涙がこぼれました。

※一代交配種とは、次世代の種を採取出来ないように品種改良された野菜の事です。

「ただ…ニャランケン野菜の中には根絶させた物もあります。祖父がカルカナルを退職前に開発した、最強にして最悪の植物兵器…ニャーミネーター遺伝子を持った野菜達です」

「ニャ、ニャーミネーター遺伝子!?」

作者は吹き出しました。なんだかギャグのような、某ハリウッド映画みたいな名前。

「これは野菜を有利に育てる為に、周りに生えている植物や生物達を殺してしう遺伝子をもっています…こんな物を蒔いたら星は滅びてしまいます。カルカナル社に残った何も知らない同僚猫達が、上層部の命令に従って、虫や雑草に強い最強野菜として、星中に種を広めようとした所を、ある猫の手によって止められたのです。その後カルカナル社は崩壊し、徐々に祖父の指導した野菜達や食品達でいっぱいの星になったのです。分断され、いがみ合っていた東西南北の猫の民達は再び手を取り合って、カンタスカラーナの地を再建し今に至ります」

猫庭博士は、両手を広げ満面な笑みを浮かべました。

「わー!良かったー!!」

作者は拍手し、ハッピーエンドに胸をなでおろしました。

「猫庭博士、誰ですか?その猫は?あの当時、何匹もの猫達がカルカナル崩壊の時に活躍したものですが…」

猫沢さんは興味津々です。

「猫沢博士は、私達の店によく来てくれていましたから、もしかしたら、一度は見かけた事あるかもしれませんね。彼は一体何者だったのでしょうか…?とても不思議な猫でしたよ」

「ほう?誰だろう…?」

猫沢さんは、虚空を見上げ思い出そうとします。

猫庭博士は、一枚のディスクを取り出しプレーヤーにかけました。心地好い竪琴のような音色に三匹と作者は癒されます。

「あ!!」

猫沢さんは、驚きます。

「なんて懐かしい、彼は確か……あぁ…名前を忘れてしまった…」

「ケイオスハーオスです」

「ケイオスハーオス…思い出しました。私も彼に助けて貰った事があります…」

猫沢さんは、驚きと同時に、何かを思い出したのか酷く重苦しそうな表情です。彼に助けて貰ったとは一体?

「あ、猫沢博士、無理に思い出さないで下さい。あの頃の時代は…私達にとって辛い思い出の方が多いのですから…彼は、あの時、出荷を阻止した後、騒動に巻き込まれ命を落としたと風の便りで聞きました…」

過去を思い出した、猫沢さんの反応に驚く猫庭博士は、慌てます。

「一体、何があったんですか?ケイオスハーオスさんて一体何者なんですか?」

作者は、しどろもどろです。冷静に見ていたトート博士は、猫沢さんにお茶を差し出し気持ちを落ち着かせるのでした。

ようやく落ち着いた猫沢さんは、ようやく口を開き始めました。

「…先程は失礼しました…もう大丈夫です。あのぅ猫庭博士…ひとつ、謝らなくてはいけない事があります…」

猫沢さんは、うつむき申し訳なさそうに、猫庭博士をチラっと見ます。

「はい?なんでしょうか?」

少しドキドキする猫庭博士

「実は私…今まで十三屋でお手伝いするあなたの事を、ずっと、かわいい女の子だと思っていました…申し訳なかった…」

猫沢さんは、深く深く詫びました。

それを聞いていたトート博士と作者は、お茶を吹き出します。

ポカンとする猫庭博士、

「あ、あぁ、気にしないでください。私、そう言うの慣れてましたから…ははははは」

猫庭博士は幼い頃から、女の子に間違われてきたので慣れっこなのです。

今でも、街に買い物に出ると「奥さん!いい野菜入ったよ!」と声をかけられるのは日常茶飯事なのです。

ふと緩んだ空気に漂う美しい竪琴の音色が、何かを合図したかのようにテラの地に微かに響くのでした。

星の猫達をカルカナルから守った、ケイオスハーオスとは一体、どんな猫なのか…?

ハッピーエンドのカンタスカラーナの過去を、テラの未来でありたいと信じたい作者は、再びお菓子に手を伸ばし、猫沢さんから猫パンチを喰らうのでした。

《カンタスカラーナの過去 テラの未来の章》[おわり]

お疲れ様でした。次の章に行く前に、箸休めとして、次回からの作者の食生活改善レポートの章が始まります。

お楽しみに!

(※このブログでは、ブログ小説【猫沢さん作品[幻想の魚の秘密]】架空のSF物語を展開中です。

物語と共に、登場猫達の紹介や、作者と猫達との交流を中心に発表しています。

そんな楽しい猫の星の世界第二弾を、来年[猫の額]さんでの個展にて発表致します。2015年6月に決定いたしました(^O^)

猫沢さん作品の挿絵のポストカードは[猫の額]さんでも購入出来ますよ(^O^)

※この猫物語は、私の好きなミュージシャン平沢進氏の楽曲をBGMに流しながら浮かんだインスピレーションを元に綴り上げる実験的SF物語制作の一環です。

平沢ファンの方も、そうでない方も楽しめる、お話になっています)

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