予定より早く終わったと伝えられた。
待合室を移 動して医師を待てと。
先生はにっこり微笑みながら、説明してくれた。
むくみも少なく、切る場所からいっても大丈夫だろうと気管切開しなくてすんだこと。
移植する皮膚を予定と違うところからもってきたこと…
目的とした処置はすんだこと…
先生には神々しささえ感じた。
それくらいほっとして不安が消えていった。
神様に感謝するような気持ちを先生に抱いた。
切除した部分を見せてもらった。
癌としてはっきり見えていた口内と、くびのリンパ部分、そしてくちびるの端のまわりだった。
くちびるの部分は、見慣れた母の一部として感じられた。癌が母から切り離された安堵感と、同時に母の一部が損なわれてしまったという喪失感で複雑な気持ちになった。
それでも、術前の緊張感はずいぶんほぐれて、気持ちは軽くなったような気がする。