夏前、

私がすきって気づく前。


私が怪我をしたときがあった。

怪我というよりは故障。


腕が痺れる

主に小指側の肘から下。

力が入らない。

モノが持ちにくくなった。

チームのみんなには言ってなかった。

痺れるーって言っただけで

大騒ぎですごい心配してくれたから

病院行ったら大丈夫ってことにした。


ついでに同時期

同じほうの親指を突き指した。

ひどいやつ。

死にたくなった。

運転さえもしたくなかった。

でも大切な試合も合宿もあった。

乗り越えなきゃならなかった。

私はそのときチームの柱だったから。


グーパーさえも

難しい状況。


絶望した。


テーピングとサポーターでなんとか動いた。


合宿も試合もやりきった。


でもね、


私は必死に彼の影で隠れていたんさ。

隠してくれたのは彼なんさ。


試合の後は運転なんてしたくない。

私は強がった。

いつもどおりにしたかった。

僕、運転してもいいですか?

みんなが止めた。

まだ死ぬには早い!って。


彼は知ってた。

近くにいたから。

重いもの持てないのも、

お箸使えないのも、

運転しんどいのも、

ちゃんと病院行ってないのも、


はりきって免許取ったばかりの初心者は運転した。

ぜんぜん こわくなかった。


モノがつかめなくて

渡されたもの落としても

笑って拾ってくれた。

力はいってるんですかそれwwwwww

入ってないよーwwwwwww

えええwww今日試合出るんですかー。

大丈夫だろwwwwwww


大丈夫じゃなかったけど。


コレで食べてください!

とスプーンを押し付けてくる。

はいはい。

と受け取ってご飯を食べる。


みんなに隠れて

腕が言うこと利かなくて

泣いたのも

冷やしてたのも

彼は全部知っている。


みんなとのご飯で、

途中から利き手じゃないほうで

ご飯を食べた理由は

やってみたくなったからじゃなくて

痙攣した利き手を隠すためだったのも

彼は見抜いていた。

帰りの車を運転してくれながら

寝てください。って言った。

真意はわからないけど。

寝た。


私はゲイって知る前だから

ときめいていたわけだけど。


私が勝手に彼に心を許していた部分のが多くて、

それでも彼は素直に全部聞いてくれて

全部彼の考えを返してくれた。

私の行動を止めてもみたし、

放っといてもくれたし、

見放さなかったけど。


そして今でも

私の腕はたまに痺れるし

なかなか動かなくなる。

そして今でも

私は彼のことが好きなようだ。