武田鏡村著
歴史学者の武田氏による安岡哲学の入門書。
安岡正篤氏の行動哲学が基礎としている陽明学のわかり易い図・解説とともに、それ以外の思想的エッセンスを、時代背景と ともに説明してくれています。
安岡氏は、戦後の歴代総理大臣の指南役としても名を知られた先生ですが、ワタシが安岡氏の思想に最初に出会ったのは、2,3年くらいのこと。致知出版社が毎日発行するメールマガジンを何かのきっかけで知ったことがスタートでした。
そのメルマガの中に、「今日の一言」というのがあり、そこに毎日安岡先生の名言が掲載されているのですが、これを読むのが毎朝の楽しみになり、そこから、自然に安岡正篤とは何者なのか、という興味を持ったということです。
陽明学とは、別名「実践の学問」と言われ、とにかく、知識を持っていてもそれを実践できなければ、ホンモノではないという基本思想があり、その点において、他の学派と一線を画していたようです。
また、逆を返せば、実社会での成果を出せなければ、学問としても意味がない、ということになるわけ(そこが朱子学との根本的な違い・対立点)で、戦乱の世においてもその戦乱を平らげ、治世においても有効であることを示すことができた、本物の学問であったということです。
安岡氏は、この陽明学を基本としながらも、東洋思想を幅広く吸収された上で、独自の観点から行動哲学を組み立てていた、日本が誇るべき思想家であったと思います。
これは初めて知った話ですが、安岡氏は、「昭和20年8月15日の終戦の詔勅に点検を加えた」のだそうで、その後の春の園遊会で、昭和天皇に「安岡、終戦の時には苦労をかけたね」と御言葉をかけられたという逸話の持ち主なのだそうです。
凄い人なんですね。改めて、その凄さを知った気がします。
安岡哲学は、いくつかチャレンジしていますが、解釈するのが精一杯で、なかなか味わうところまでは至らないでいましたので、そういう意味では、よいガイダンスになりましたが、やっぱり入門書ですね。苦労してもちゃんと本書に当たらなければ、大きなものは得られないですね。
この本で知った「恩田木工民親」なる人物の「日暮硯」という本と、安岡氏の著作のうちの「東洋宰相学」については近いうちにチャレンジしてみたいと思います。