お気に入りのクロスバイクの修理に、勝ちどきに行った帰りだった。
夕暮れ時、バイクをこぎながら、勝ちどき橋を渡りながら、川の向こうに目をやってみる。
だいだいの、もうすぐ沈みそうな太陽の光が、ずいぶん向こうにある高層のビルとビルの間から漏れてくる。
あっ。ビルの間から、東京タワーが、夕陽に照らされ、すかすかの部分から夕日がこぼれている。
普段東京タワーを観るのは、断然とそびえ立つ昼と、煌々と照る夜だった。
夕暮れは。
思わずバイクから降り、立ちつくし、眺めていた。
その1週間前、映画「ALWAYS 三丁目の夕日’64」を観た。
東京オリンピックの初日、堤真一さん演じる役が、終戦から20年を思い返し、「あの頃はこの辺みんな焼け野原だったんだよ」と涙を浮かべ話す場面があり、もらい泣きした。
その6年前に、わずか2か月で完成した東京タワー。戦後をずっと見守ってきた東京タワー。
焼け野原の中、東京タワーとともに、日本は立ち上がった。その神々しさ。偉大さ。
比べて。
東京スカイツリーについては、大人の事情で控えたい。
この日、ぼくは東京スカイツリーに上らないことを決めた。
