2022年2月3日。
テレビを観ながらレアを足の間に寝かせていた。
太ももに頭を乗せて、気持ちよさそうにスヤスヤと眠るレア。
日々の寝不足で疲れきってる私は、レアが自分のベッドで寝てると無理やり起こすこともなくそのまま寝かせる。その日は虫の知らせでもあったのか、わざわざベッドから抱きかかえて、そのまま気の済むまで寝かせていた。
ああ、可愛い。数日前のカットの時に、「仮にこのままずっとレアが生きてて、自分がおばあちゃんになってもお前のためなら重い腰も足も引きずってお世話してあげれるよ」などと、考えていた。
レアの介護が始まった時は、今までと全然違う生活になってしまったことがしんどくて…
仕事もあるのに毎晩深夜に何度も鳴いて起こされることや、お漏らしをすることや、色んな対策をしても徒労に終わることが、正直腹立つくらいにしんどかった。
でも、全て通り越して、この生活がずっと続いたとしてもレアが生きていてくれるなら全然いいと、失いたくないと、悟ったのに…。
次の日、2022年2月4日。
前日もだがレアは下痢をしていた。朝起きて掃除をする。
いつも思う。毎日毎日思い出す。レアが亡くなってから…どうしてあの時、もっと慎重にならなかったのか、と。
後ろ髪を引かれる思いで、寝ているレアを横目に仕事へ行った。
職場の最寄りに到着してからカメラを覗くと、レアは起きて鳴いていた。
「もうすぐ(旦那が)帰って来るから。もうちょっと辛抱してな。昼もはよ帰るからな。」
心の中でつぶやきながら、胸が締め付けられる。
やっぱり休むべきじゃなかったのか。
でもこれまで、食欲不振から復活したことは何度もあったので、今回もそうだろう、そうなるといいと不安を打ち消した。
仕事が始まっても気になってカメラを覗く。
すると旦那帰ってきたようだった。
「レアをクッションに移動させてあげて。カメラも一緒に。」LINEを送ってカメラを覗くと、
おいおい、レアにフォーカスされてないやんか!
ずらして!
もう一度覗く。
いやいや、顔がみえへん。ずらして!
さらに覗く。
………?!……!!!!
一目でわかった。レアは亡くなっていた。
今この瞬間、LINEを送ってる間に。ほんの数秒で、なんの兆しもなくいきなり亡くなっていた…
毎日覗くカメラで見る目と全然違う目。
何がどんな風に?と聞かれるとなんとも答えようがないけど、目を開けたままもうそこには居ないのが瞬時にわかった。
一気に涙が溢れる。
ああ、もうアカン……もう間に合わない…
職場の人に叩き出されるように帰されて、駅まで泣きながら猛ダッシュ!階段も駆け上がって、ついたホームで電車待ち。
なんてもどかしいのだろう。イライラする。
早く、帰りたい。
もしかしたら、やっぱりまだ間に合うかもしれない…どうして、こんなに遠いのか。
「レアどうしてあげたらいい?」
旦那からのLINEだ。
「目だけ閉じてあげて」
「閉じられへんねんけど」
「じゃあ、とりあえずそのままで」
電車の中でどうだったか、駅からのチャリで何を思ったか、思い出せない。
きっと、とにかく気持ちはもう家にいた。
それくらい、急いでいた。
やっと家に着いてレアに駆け寄る。
下痢をしていた。
構わなかった。
抱き寄せて、ワーワー泣く。
「レア?嘘やろ?見えてるんやろ?まだ生きてるんやろ?レア!起きてよ!戻ってきて!」
ああ…ああ。
あかん。今回ばっかりはほんまに…。
フッといきなり冷静になったり、またすぐワーワー泣いたりを繰り返してた。
フッと冷静になった時に、静かに淡々とレアのエンジェルケアをしてあげる。
汚れたお尻を拭いて、毛をとかして、目を閉じて。
目は閉じなかった。まだまだ硬直とか始まってはなかったけど、じっと手を置いても閉じれなかった。
段々と、少しずつレアの体から離れていく魂は、
最後の一滴まではずっと目に残る気がした。
いいよ、見ていたいんだろう?
動かない身体で目だけは健全だったから。
つづく。