重要な業務の為に遠方のクライアントに出向いた朝、電車の中で携帯のバイブが鳴りました、、、

実家からでした。

いよいよか、との予感が走りました。

 

次の駅に着き、電話を折り返すと、尋常でないくらい激怒した父が出ました。

「母が危篤になった。なんですぐに電話に出ないんだ!今すぐ帰って来い!」

 

「実家から電車で2時間の場所にいるから、どんなに急いでも2時間かかる」と言うと、父は「なんで今すぐ実家に帰れないんだ!」と激怒。

理性を失っているように思えました。

 

私が抜けられない、かつ延期できない大事な業務の直前でしたが、不幸中の幸いに、その業務はサポート要員が後から同席する事になっていました。

客先とサポート要員に「身内が危篤で、、、」と伝えて、なんとかそのまま実家に戻る事を許諾してもらえました。

 

 

実家に戻ると、意識のない母と、激怒している父、

そして有難い事に、在宅医療の医師も、たまたまいてくれました。

 

「どんな対処をしたところで、数時間から長くて1日程度しか変わりません。覚悟なさって下さい」とお医者様から言われました。

 

「母がどんなに苦しくても構わないから、とにかく少しでも長く生かして下さい」と言う父と、

事前に本人から「苦しいのはとにかく嫌だから、楽に死にたい」と聞いていた、私とお医者様。。。

 

お医者様は、父の話を「う~ん」と受け流し、父がいない部屋で私に「本人の要望通りにされますか?」と確認されました。

私は「はい、それでお願いします」と答えました。

 

病院に入院している訳ではないので「更に急変したら、ご連絡下さい」と言い置いて、お医者様と看護婦さんは帰っていかれました。

 

そこから、危篤の母と、理性を失いつつある父と残され、、、長い一日が始まりました。

自宅で最期を看取るとはどういう事かを、改めて身をもって知りました。