母がなくなって
わたしにとっては、太陽がなくなってしまったようなもの
世界がまわる中心がなくなってしまったようなもの
父と母とで暮らしていた静岡の家にいると
ここで時間をともに過ごした父も母も、もうこの世にはいないのだと
しみじみ思う
ひとりぼっちだ
こんなに、こんなにも悲しいのに
お腹がすく
すごく 残酷だと思う
あわよくば、母のほうに行ってしまいたいと思うときもあるのにね
お葬儀屋さんに促され、毎日 朝と夜、母のために御膳を準備する
母が好きそうなもの
母に食べさせたかったけれども、一緒に食べる機会がないままだったもの
よくできているもので、こうして毎日御膳の準備をしながら
自分たちの食事の準備も しなければならない
こうして、少しづつ 現状を受け入れさせられるのだろうか
いつか、ちゃんと 乗り越えられる日が来るのだろうか
でも、わたしは 生きてゆかなければならないんだな
そう、わたしには ダンナちゃんがいる。
母が褒めてくれそうなお夕飯だ
「まるで料亭の献立みたいじゃない!」って
■ 食前サラダ
■ 秋刀魚の塩焼き
■ 隠元の胡麻あえ
■ 蓮根と豚バラのキンピラ
■ ぬか漬け 胡瓜 茄子 人参
■ グレープフルーツ
静岡の家から、母の位牌と一緒に 糠床を連れてきた
私が漬けると、茄子の紫が綺麗に出ない
「ママに電話して聞いてみよう」と
ついつい電話を手にしそうになる
教えて欲しいことは、まだまだいっぱいあった