結論 そこそこ大変です。
 


 中学受験はゴールではありません


その先にあるこどもにとっての幸せ、選択肢を考えるのが親の役目・・・その先に医学部を考えてらっしゃるご家庭も多いと思います。私が医師として大学教育に携わった経験から、また周囲からの情報から「入学後」について書いてみたいと思います。今回は進級についてです。


​進級について 


私は卒後かなり経過していますが学生教育にもかかわり、進級について見てきました。親世代は大学は入れば楽勝というイメージがありますがいまはそんなことありません。特に医学部医学科は忙しいです…


1 必修が多い

他学部と比較してほとんどが必修科目で選択の余地がありません。ということは他の科目も取り、単位を稼ぐなんてことはできず、一科目でも落とせば追試、再追試、留年となります。


2 再試もあるが節目までにクリアする必要あり

私が関わった国立大学医学部は1年、2年、4年、6年で留年危機があります。1年までには基礎医学の入門的な科目が必修で、クリアできなければいきなり留年です。2年も同様に基礎医学系科目の必修科目が課されており留年危機があります。3年以降は全科目必修となり、それらすべてをクリアするとともに4年最後にはCBTという学科プラス実技の国家試験をクリアしなければ4年から5年に上がり、病棟の実習に入れません。


3 卒論はないが卒業試験がある

3日間にわけて卒業試験があります。これをクリアすると卒業見込みとなり国家試験受験資格が得られます。各科目すべて6割で1科目でも6割をきると再試、それでもだめなら留年です。ここでの科目は内科とかの区分ではなく臓器別です。つまり内科でも循環器、呼吸器、内分泌、肝胆膵、神経…などなど細分化されており他にも産婦人科、小児科、眼科、皮膚科、精神科、整形外科、泌尿器科、耳鼻科…などなど20数科目にわたります。


4 レポートによる救済などはない

文字通り、試験一発勝負です。追試はあるものの救済はなく点数も6割の絶対評価です。


​どれくらいが留年するか? 


これは大学ごとに違うでしょうし、国公立と私立でも違うかもしれません。担当教官が鬼のように厳しく大量の留年者が出る大学もあるようです。昨今はより進級が厳しくなっているようで基礎医学での留年が多いようです。統計データはありませんが1割から2割は上記のどこかで留年しています。


​卒業できても… 


国家試験落ちの人がいます。留年ならまだ下の学年や仲間と勉強できますが卒業してしまい、その地域ではない実家に引き上げた場合などはさみしい浪人生活になります。卒後かなり経ちますが私の学年は90名中7名ほど国家試験不合格者がいました。

厚生労働省発表の医師国家試験合格状況を見て既卒者の受験が多い大学ほど、新卒者の受験者数が少ないほど問題がある…と考えて間違いありません。


​結論 


試験前の勉強は大変です。医学は常に進歩しており今の学生は覚えることも多く大変です。昔の卒業生の私でも友達と泊まり込んで勉強したり、ファミレスで徹夜でみんなで勉強して、そのままテストに臨んだこともありました。

試験自体はどちらかというと知識系で、数学的思考を問われたりするものは少ないです。大学入学後も医師になるモチベーションを持って膨大な量を要領よく勉強しなければなりません。専門書を隅々まで読んで勉強するような真面目すぎる学生は逆に留年率が上がります。突き詰めて勉強することは大事ですが、膨大な試験範囲に対して試験モードに効率よく切り替えることも大切かと思います。


部活やアルバイトをしながら無難に進級していく学生も多いですが不真面目な学生だけでなく、生真面目なタイプ、不器用なタイプが壁にぶち当たることが多い印象です。

医師になってからのリアルなお話はまた書き込みたいと思います。