いよいよアダムの凱旋公演の日。

前夜ホテルの有線LANに接続したのに、ネットが見えない。さんざん格闘した末に、ホテル側の機器が故障していることが判明。状態が明らかになるまでにもいろいろな人に電話したり、人が来たり。全くのんびりしている。結局この問題で半日を浪費してしまう。



メキシコとの国境の町サンディエゴは、アメリカから見ると異国情緒漂う町だ。
風貌にもヒスパニック系の人が多いし、どこでもスペイン語が聴こえる。建物もメキシコ風。


ここはバスや電車が通っていて、観光名所には公共交通機関の利用で行けるところが比較的多い。もちろんアダムの母校に行くのは絶対ムリだけど。


オールドタウンの伝統的なレストランでメキシコ料理のブリトーを食べる。二人組が私たち席に来て「ベサメ・ムーチョ」を歌ってくれた。娘はこの歌を知らないそうだ。
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あ、でもどんな歌もアダムと比べるとね。アダムに比較される歌手もかわいそうか。。。


アダムのアメアイフィナーレの衣装が飾られているHard Rock Hotelにも行ってみる。
スタイリッシュなシティホテルだ。
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そしてありました、あの衣装が。

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上着もクロコダイルなんだ~
こんな衣装がぴったりはまるのはアダムだけだよね。

これを着てベスを歌い始めたアダムを思い出す。
会場が一瞬静寂に包まれたよね。アダムの歌声にノキアの観客すべてが引き込まれて。
そしてアダム、やっぱり衣装を見ると大きいね。

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娘が「この金ぴかブーツを私物で持ってたっていうだけでもうアダムすごいよ~」
確かに(笑)



ライブの時間が近づいてくる。

お昼過ぎには、ホールの駐車場入り口に十数人のグランバーツたちがアダムの入り待ちをしていた。
今日はアダムにとってもメモリアルデーだ。
ホールは地元オケの本拠地だという。アダムがどんな歌を披露してくれるのか、楽しみ。



私たち親子はこの日のコンサートに備えて、思いっきり肩出しドレスを用意していた
(まじですか?ですよね)
しかし、しかし、である。

サンディエゴは曇り空で寒い。朝の全米の天気予報で最も気温が低かったのがサンディエゴなのだ。
そんなバカな~アメリカ全土の主要都市の中でメキシコとの国境の町サンディエゴが一番気温が低いなんてありえなーい!!!
華氏67℃は20℃を切っている。北のミネアポリスでさえ84℃だというのに。そしてラスベガスは103℃!

この寒さで肩出しドレスはムリ~。
急遽、ネタ(!)で持って来ていた浴衣を着ることに。
浴衣なら下にいろいろ着られるし、絞りで生地がぼってりしていて帯も巻くから意外と温かい。



母娘で浴衣姿になって私たちは隣のコンサート会場へ。すれ違う人々から好奇の視線を浴びる。
早速TVカメラを向けられて、ポーズを取れという注文。
民族衣装を着た日本人がアダム人気を説明する上で面白かったのだろう。

これはユカタでキモノじゃない。これが日本のキモノだと思われたら、
日本の伝統である着物文化に申し訳ない。ホントにゴメンナサイ。


驚くほど色々な人が声をかけてくる。「素敵ね!」とか「写真を撮ってもいい?」とか
ホールの職員のおばさんまで「私は日系なの!」と。
「アダムのファンなの?いやー、日本人の方が賢いわ!!!」なんていう賛辞もあった。
「アダムは日本でも人気なのか?」という質問もされた。娘が「だんだん人気が出てきている」と答えた。

今日の座席は、ホールに設営されている椅子のさらに前の真ん中部分に3列だけ特設されたピット席の前から2列目。しかも一番端で前に席がなく、舞台の両方に設けられたお立ち台がちょうど眼前だ。


そして今もサンディエゴに住むアダムのパパが私の席の何列か後ろにいた。アダムパパは大人気で色々なファンと一緒に写真を撮っていた。私も通路を通ったときに、あいさつをして、「日本から来たんですよ」と言うと「あ、ホントだ、キモノ着てるね~」と笑って一緒に写真を撮ってくれた。並ぶとわかるが本当にアダムパパは背が高い。アダムより大きい。そしてアメアイの頃より少し太って見える。日に焼けた赤い顔だが瞳は知的で優しい。「楽しんでね!」と微笑みかけてくれた。
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ちょうどそのとき、レイラママが現れパパの方に歩み寄って、二人は私の眼前でハグをしたのだ!


それもなんというか、形式的なおざなりのハグではなく、情愛がこもった感じでとても温かくしっかりと。アメアイのハリウッド予選グループ2の最後に投票で勝ち抜けたアダムがSatisfactionを歌い終わった後のときのように。




この二人はアダムが19歳の時に離婚している。この日のライブも座席は会場の左と右に離れていた。パパは今パートナーのエイミーと暮らしていて、エイミーはアメアイのとき家族席に座ってアダムを応援していたし、ホームカミングデーでも移動の車に同乗していた。この日のサンディエゴのコンサートには姿が見えなかったけれど。


アダムの両親が今どういう関係なのか、私にはわからない。
離婚した元夫婦の友人関係はアメリカではごく普通のことかもしれない。
もしかして、アダムのために、円満な関係を演じているかもしれない。
けれど私には元夫婦のこの二人のハグがとても新鮮に映った。


コスタメサのホテルのロビーで友人と私が再会した後、食事をしながら、友人がこんなことを言った。
「ロビーでいろんな人が対面してたけれど、会ってハグをしなかったのは僕たちだけだったよ~。僕にはハグをする習慣は全くないけれど、こちらの人だけじゃなく、韓国や中国からの留学生も皆ハグをするって。だから日本人はおかしい、なぜハグをしない?って言われるんだ。」

確かに彼と私がハグしたらちょっとヘンだ。けれど他の人たちにはハグをしない日本人の方が奇異に映るらしい。
だからアダムの両親のハグには実は深い意味はないのかもしれないが、なんだかほんわかした気分になった。


レイラママとは、それから少しおしゃべりをして一緒に写真を撮ることができた。
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レイラママはアダムが日本に行くことに触れて「日本のコンサートのチケットはもうゲットした? あらよかったわねー!」なんて優しい笑顔で話しかけてくれた。私たちが日本から来たことやアダムの大ファンであることを何度も「sweet!」と言って喜んでくれた。私が手にしていたアダムの日本の写真を「これあなたの?もらってもいい?」と受け取り「アダムに見せるわ!」と。
レイラママは近くで見ても本当に美しい人だ。小柄で小顔で、Tシャツ姿のパパとは対照的に透けたミニのドレスでオシャレしていた。

アダムはパパとママのいいとこ取りだ。パパに似て背が高く、ママに似て美しく、そしてたぶんパパに似て大胆で、ママに似て優しい人柄。加えてどちらにも似ずに歌の才能を天から与えられた。

レイラママに私は「どうかアダムと一緒に日本に来てくださいね、私たち日本のファンはあなたのことも大好きなの!」と伝えた。


アダムが育ったサンディエゴの地で、彼の両親とこんなふうに触れ合えるなんて、なんという幸運なことだろう!そしてアメアイ出身であるがゆえに家族として顔を知られて、息子のファンにこうやってつきあってくれるママとパパは本当に大変に違いない。
ありがとう、心から感謝します!!!



アダムの両親と会った興奮もさめやらぬうちにライブは始まった。


この日のアダムは、ひとことで表すなら「幸せのオーラをまとった男」だった。


10年前、夢を抱いてこの街を去った一人の才能ある青年が
世界にその名を知られるスターとなって故郷に錦を飾る。

ずっと愛して支えて来た家族や旧友や新たに世界中から集まった熱狂的なファンに囲まれて。


この日のアダムは本当に笑顔だった。


何度も「ありがとう、サンディエゴ!」と語りかけた。

アダムにとっての最初の凱旋公演。

私達こそありがとう。こんな場所に一緒に居させてくれて。


今日の席は最前列に等しく、アダムの息づかいさえ聞えそうな距離だった。
カメラを構えてアダムに対峙した私は、目の前にやってきた彼と瞳が合って、
何だかカメラを向けるのが申し訳ないような気がしてきた。

こんなふうにしていないで、今一期一会のこのときを全身で楽しむべきなんじゃないか。

それでもアダムを残しておきたい誘惑と葛藤しながらいくつか動画を撮影した。

今日は私の頭の真上3mくらいの高さから上にスピーカーがある。音響環境としては最悪だ。
私の位置では音がまっすぐ届かない。
ホントに音が良くなくてアダムの歌声がきちんと聴けないのはごめんなさい~

<冒頭VD&DTRH&ROF>


<Sleepwalker>


<Whataya Want From Me>


<Soaked> 今日のタメは本当に長かった


<Sure Fire Winners>



<アンコールの最後 Whole Lotta Love>



今日はコスタメサと客層がちょっと違う。
特にピット3列は大半が熟女グランバーツだ、私も含めて。
何だかレイラママ以外にもママたちが息子の学芸会を見守っているみたいだ(笑)
でも、それって最高に幸せな時間だよね。

$chachaのバカンス

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格式あるクラシックなホールで舞台が小さく見えるほどアダムの存在感は格別だ。

サンディエゴに来て良かった。

王の最初の帰還に立ち会うことができた。誰もが待ち望んだ形で。


ライブが終わると午後11時をまわっていたがそれでも大勢のファンが出口やバスのまわりでアダムを待っていた。
今日のアダムは、最後まで笑顔だった。ほんの短い時間だったがM&Gに出てきてサインをしてくれた。
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アダム、幸せだよね。
いや大変か、こんな時間まで出てきて疲れているだろうに。
明日のベガスへの移動もあるのに。

アダムが出てくるまでの間、トミーがずっとファンサービスしてくれていた。
アダムの代わりにトミーに思いきりハグをするファンもいて、何だかおもしろかった。
うちの娘もトミーと写真を撮った。トミー結構背が高いね。
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アダムが去った後のホール周辺には不思議な高揚感が残響のように残っていた。
今日は長く幸せな1日だった。

アダム、あなたに出逢えてよかった。
そしてアダムのパパとママには、「アダムをこの世に送り出してくれてありがとう」

5泊7日4ライブの旅のハイライトが静かに幕を閉じた。

明日のベガスはもう余裕ではじけちゃうぞー