末広がりが重なる何とも気分のいい日。
勢いと浮かれた気分の相乗効果で普段より少し元気だったこの日。
退職願を書き上げ、渡した。
京都で選んだシンプルな和紙の便せんは、ボールペンではやや心許ない感じになってしまうようで、筆ペンを手に取る。下手くそながら久々に筆で字を書いた。
何回か失敗したものの、段々と字がくっきりはっきり確固として来て、書き終えた時にはなんとなし達成感のようなものを得て。
突然で申し訳ありません、との前置きと共に手渡し。
次の日に早速呼び出しを受けて話をしたけれど、今まで有難うございました、と言う自分に上司は黙ってしまった。これまでにも言って来たこの会社の、自分が嫌だと思う部分、それを最後にと思っていくつか挙げて言っても、共感も理解も引き出せなくってやはり不甲斐無いなとまた改めて実感しつつ頭を下げる。
辞める人間だからこそ言えることであるのかもしれないし、けれど辞める人間の言うことだからこそ、掬い上げて貰えない言葉なのかも知れない。難しいな、最後まで。
今はただ感謝を。
今出来ることを全力でやるだけ。