正直、母の再婚のことはあんまり思い出せません。当時忙しかったこともあるのですが、子供にとって、やはり複雑な感情を持つものです。母の場合不倫とかではないので、再婚を大いにお祝いしたい、しないといけない、と頭ではわかっているのですけど、あんまり「素直に喜べません」でした。というのも、母の相手が、私とほとんど同年代の人!
というのが、やはり、受け入れ難い問題でした! 財産目当ての死に掛けの老人、なんてのも考え物ですが、
よりによってなんで、私と同じような人を選んだのか!? なかなか感情的には理解できませんでした。
父の3回忌に集合してから、2年くらい経ったある日、母に「紹介したい人がいる」と言われたのです。
私にはまったく思い当たる節がありませんでした。そして教えてもらった住所は、大阪の繁華街の少し外れにある、とても賑やかな街でした。吉本の漫才師さんが住むような、(実際うろうろしていたようです)、繁華街といってもいい一角に小さなマンションがありました。
3階だか、4階に上って、チャイムを押すと、母が出てきました。
「よう、来てくれたね。お仕事お疲れ様~」
と、可愛いプードルが「ワンワン」と走ってきました。
「えー、お母さん犬飼ってんの?」
そして、なんとなんと、部屋の装飾は、ピンクを基調としている、なんというか、「新婚さん!!」の装いでした。
ガビーーーーン......