曇りのち雨のはずが、青空。
期待を裏切られるって、悪くない。
むしろ、きっちり当たる予報より、ふいに訪れる“外れ”のほうが、私の心にはよく効く。
だって、準備していた憂鬱をひとつ置き去りにできるから。
傘を持つか悩んで、なんとなく背中を丸めて歩き出した道が、
角を曲がった瞬間、光であふれていたときのあの感覚。
胸の奥で、何かがふわっとほどける。
「今日はきっと大したことない日だろうな」
そう決めつけていた自分に、空がひと言、
「そんな日ばかりじゃないよ」
と返してくるような。
予報通りに生きるのは、安心だけど単調だ。
外れた朝は、まるで空がイタズラしてくれたみたいで、
ちょっとだけ心が自由になる。
だから私は、天気も、自分の気分も、
たまには外れていいと思う。
思い込みの雲がひらいて、
予想外の青が差し込むなら、それだけで十分だ。









