【研究】「病は気から」が証明された!? - 2014/11/25 大阪大・JST | 「慢性疲労症候群(ME/CFS)」と「制度の谷間」界隈の備忘録

「慢性疲労症候群(ME/CFS)」と「制度の谷間」界隈の備忘録

慢性疲労症候群(ME/CFS)・線維筋痛症(FM)患者で、電動車椅子ユーザー。医師診断PS値8ですが、感覚的には「7寄りの8」。
Twitterでの、情報共有に限界を感じ、暫定的にブログを立ち上げました。

更新できる気はあまりしないので、不要になったら閉鎖するかもしれません。

慢性疲労症候群をはじめとして
「気持ちの問題」と言われがちな患者には
ドキッとするタイトルのブログ記事を発見。

サイトタイトルに「やじうま」とあるので、
どこかの怪しい研究を引っ張ってきたのか、
と思いましたが…(偏見スミマセン)

実際に慢性疲労症候群・線維筋痛症の
病態にも深く関連する

交感神経が免疫を調節する分子メカニズム
についての、きちんとした研究でした。

「交感神経」「免疫機能低下」の他に
「感染症」がキーワードとして上がっている点も
要注目です。

"やじうまPC Watch" 2014/11/25 19:07
「病は気から」の根拠が科学的に実証
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/yajiuma/20141125_677519.html
やじうまPC Watch

大阪大学と科学技術振興機構のリリースが
きちんとリンクされていました。

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「病は気から」の根拠を実験的に証明
交感神経による免疫制御のメカニズムの一端を明らかに

2014/11/25 大阪大学/科学技術振興機構(JST)
http://www.jst.go.jp/pr/announce/20141125-2/


冒頭説明によると
交感神経が免疫を調節する分子メカニズムの一端が明らかになった」

「交感神経から分泌される神経伝達物質ノルアドレナリンが、β2アドレナリン受容体を介してリンパ球の体内動態を制御する仕組みを分子レベルで解明し、このメカニズムが炎症性疾患の病態にも関わることを突き止めた」

…と、ありますが、これだけだとわかりにくいですね。


個人的には、「マイナビ」の記事のまとめが
わかりやすいなと感じました。

http://news.mynavi.jp/news/2014/11/26/042/
"ストレスなどで交感神経が興奮することによって、免疫力が低下する仕組みを示唆するものといえる。この仕組みで、免疫が過剰に働いて発症するある種の炎症性疾患はよくなるが、免疫が正常に働いて病原体を排除することが必要となる風邪などの病気は悪化すると考えられる"


下記は、リリース本文からの転載です。

<研究が意味すること> より
"今回の結果は、ストレスが加わることによって交感神経が興奮すると、炎症性疾患の症状が「良くなることを示唆しており、ストレスが健康に悪影響を及ぼすという一般的な考え方からすると逆説的な印象を受けます。

免疫の本来の役割は病原体の感染から我々のからだを守ることですが、免疫反応が過剰に起こってしまった結果が炎症性疾患です。つまり免疫は、我々のからだにとって良い方向にも悪い方向にも作用する「もろ刃の剣」なのです"

今回の研究で明らかになった交感神経によるリンパ球の体内動態の制御は、
"ストレスが加わった際感染防御という免疫の本来の機能が損なわれる、つまりストレスによって免疫力が低下する」ことの一因となる可能性がある"


"ストレスあるいは情動交感神経を介して免疫機能にどのように反映されるのか、まさに「病は気から」を明確な分子の言葉で語ることが可能になると予想されます。それが実現すれば、交感神経による免疫制御に関わる分子を標的として、ストレス応答を人為的にコントロールするという新しいコンセプトに基づいた病気の予防・治療法の開発につながると期待されます"

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「病は気から」という、この言葉。

なかなか回復しない、慢性疾患を持つ患者には
「気のせい」「気持ちの問題」で片付けられることに
恐怖感を持つこともあるのではないかと思います。

その用語がどのような意味合いで使われているのか、
医学用語と日常会話等で解釈される意味合いが
異なることも多々あります。

こうしたニュースには、過剰反応しすぎず
慎重に読み込むことも大事だと、
一患者として、感じています。

ここからは、他記事を含めての
補足情報ですが…
あくまでも、医師・研究者ではない
素人が辿れる範囲での情報として
ご理解いただければ幸いです。
※研究者の方に、解釈等いただければとてもありがたいですが…

http://news.mynavi.jp/news/2014/11/26/042/

【1】ここでいう「気」とは「神経(自律神経)」を指しているだろうこと

リリース冒頭にも
"「病は気から」と言われるように、神経系が免疫系に対して何らかの調節作用を有していることは古くから指摘されています"
との表現があります。

下記ブログの説明が、パッと検索した中では、
一番わかりやすいかなと思いました。

Yo-jou院長の健康情報
http://blog.yo-jou.com/2010/03/6-682b.html
"「気」というのは、現代医学の言葉で言うと「自律神経」のこと。
「病は気から」は「病は自律神経のバランスの乱れから(=自律神経のバランスが崩れたら病気になる=病気の原因は内外のストレス)」”


【2】とはいえ、この論文には、「情動」面も、含まれていること

<研究が意味すること>の段落最後に、下記の記載があります。

"ストレスあるいは情動が交感神経を介して免疫機能にどのように反映されるのか、まさに「病は気から」を明確な分子の言葉で語ることが可能になると予想されます"

※情動とは(脳科学辞典>情動)
http://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E6%83%85%E5%8B%95

"情動(emotion)は、生体に入力された感覚刺激への評価に基づいて生ずる

生理反応(自律神経系、免疫系、内分泌系の反応)
行動反応(接近、回避、攻撃、表情、姿勢など)
主観的情動体験

 の3要素からなる。この情動は短期的に生じる原初的な感情で、比較的強い反応と定義されており、中長期的にゆるやかに持続する強度の弱い気分(mood)とは区別される。また情動と気分の両者を総称して感情と定義することもある。しかしながら、情動と感情との区別にかかわる厳密な定義はなく、研究領域や研究者間によってその扱いが異なる点に注意が必要である。

 情動の種類は、齧歯類においてもある程度ヒトと共通した基盤を有する怒り・恐怖・不安などの基本情動(basic emotion)から、高次の社会的感情(social emotion:嫉妬・困惑・罪悪感・恥など)までの多岐に渡る。"