最近読んだ、小倉千加子さんの「結婚の条件」という本が面白かったです。


結婚の条件 (朝日文庫 お 26-3)/小倉 千加子
¥462
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著者の小倉さんは女子大でジェンダー論やフェミニズムについて教鞭をとられていて、日常的に若い世代と接しているからこその深い洞察力で「純愛の消滅、生存のための結婚、勝ち組専業主婦、成功恐怖、腰掛け総合職など興味深いテーマをいくつも掘り下げて分析されています。


初版2007年のこの本は翌年に起こるリーマンショック以前に書かれていますが、今読むからこそ興味深く考えさせられることが書かれています。


例えば「勝ち組の主婦たち」という章で、雑誌の「VERY」に特徴付けられるようなプチマダムたちのことが書かれているのですが、「VERY」の誌面からは上以外の層が抹殺されているといいます。


すなわち、子育てより優先されるべき仕事を持って働き続ける女性たちと、その反対に子どもが小さくても家計補助のために子供を保育園にいれてバートに出る主婦たち。


「前者はママであることを拒否し、後者はママであることすらできない存在」。



もう少し説明すると、「VERY」な主婦たちというのは


夫の金で消費と社交に明け暮れ、女だからこそ働かなくても生きていける特権を与えられていると信じている。


そして、保育園がないから子供を産めないという母親たちのことなどはおよそ理解できなくて


子育て中は子育てに専念し、いつも身奇麗にして社交も怠らないような、そんな結婚をなぜしなかったの?


と言わんばかりの女性層だといいます。



なるほど。著者によると、このような結婚は「ビジネス」で、夫婦はビジネスパートナーなのですね。



女性ならではの特権に憧れる人の気持ちもよく分かりますが、ここに鋭い指摘が入ります。


この「ビジネス」は案外脆くて、「男性の資源がカネ」で「女性の資源がカオ」であるかぎり、40代に突入するころには夫婦のパワーバランスが夫優位に傾きます。


そして、最悪の場合、結婚当初よりも経済的になった夫から一方的に独立を言い渡されることがあるようで・・・


年齢とともに変化していくパワーバランスの不均衡を補うに足りる、家庭での快適さやその他の基準を満たす努力を怠ると、ある日「クビ」を宣告されるリスクがあるということですね。


経済的な依存を求めて結婚をする場合、プロ意識とも呼べる覚悟とリスクテイクする度胸が必要ということでしょう。


加えて、プチマダムはあくまでプチ階級。


今や嵐の吹き荒れる日本の労働市場で、夫がある日失業したり、降格されたりして、家族もろともプチセレブ階級から振り落とされる人は少なくはありません。


大黒柱が働かなくても「残された家族が30年間全く働かずに食べれる家」をブルジョワというそうですが、ブルジョワでもないのに「中流の上」あるいは「上流の下」という意識を持つ事自体が事実誤認だと著者は言い切ります。



「一生お気楽な専業主婦でいようとした女性たちは、その大多数がパート主婦になった」


最悪の場合これでもいいやと思えるのなら、プチマダム婚は悪くない選択肢かもしれません。