70回 みたらい渓谷の紅葉
実施日・・・・令和3年11月14日(火)
目的地・・・・・・奈良県天川村
メンバー・・・・・ふたり合わせて162才
移動手段・・・・自家用車
コースタイム
天川役場8:50~~キャンプ場~~9:35桂の大木~~
10:10みたらい渓谷休憩所10:15~~哀伝橋~~みたらいの滝
~~11:10観音峯登山口11:20~~12:05洞川温泉センター(昼食)
12:35~~龍泉寺~~洞川散策~~洞川温泉バス停14:58==
バス乗車==15:14天川川合下車~~15:25天川役場ゴール
「おじいちゃんみたいにベラベラしゃべる85歳はみたことがない」
私の誕生日の前々日、わざわざ神戸から訪ねてきた孫の言葉である。彼は、来年3月、大学生活6年間の時を経て、人々の命を守る立場で社会に入門する。彼は研修で、多くの老人とも接してきたから冒頭の言葉が出てきたのだ。
調子にのった私は、孫と妻の前で明日、山に行くと宣言した。妻は2日ほど前からどこかを探していた。
この時期、やっぱり紅葉だと妻は決めていて、南紀、三重、奈良、近隣県を模索していた。二人の体調を考えてみると車で2時間以内の所にあって歩数は15000歩ほどが目安。
孫が帰った夜、妻はパソコンやスマホを盛んに動かしながら2枚のペーパーを私の机の上に置いた。
プリントされたスケジュールを見ると、行先は奈良県天川村。川合から洞川温泉までの林間遊歩道を歩くコースであった。
今年の紅葉はまだ、十分に味わっていない。高野山の紅葉も2回足を運んだものの、ついでの紅葉覗き程度であった。
二人は今年最後の紅葉を満喫したい。
10日ほど前、護摩檀山に初雪が降ったようだ。ひょっとすると今日の天川村は相当寒いかも知れない。
6時30分、車は奈良に向かう。いつもの通り天気は晴天、山日和そのもの。風もなく、太陽は二人にエールを送ってくれている。
駐車可とする天川村役場は風もなく、もったいないほどの天気だ。
既に多くの車や人達が先着している。
天川村役場(駐車させてもらいました)
岩のような石が川の面を占領して、水の流れが見えないのに強い音が耳に入る。川を挟む2本の道路脇の紅葉ほぼ20%は落葉と化して重なっている。
ここ1~2日が見納めかも知れない。目線を高くすれば、山のあちこちに紅葉の塊が点在する。この景色はもう来年しか見えない光景だ。
天川役場の気温は8度。標高608m。
役場の看板には、滝、木の郷、名水、百名山の各所が記されている。
8時55分、二人は「てんのかわ橋」から「川合の吊橋」を渡って、「みたらい渓谷」へ向かう。上りの続く道は、山上川に沿って続いている。付近の木々はボツボツ枯れ葉になって落ちている。
てんのかわ橋を渡って右折
右折後50mほどの位置にみたらい渓谷への案内
川合吊橋を渡って・・・左折 (車道歩き)
南角(ミノズミ)の案内板があってここに「みのずみオートキャンプ場」がある。この11月にもテントを張っている。
ここを過ぎて遊歩道に入る。
オートキャンプ場
橋の手前を案内板に従って右折
遊歩道入口(弁天渕橋)
川の強いせせらぎが聞こえる。川の流れを塞ぎ止めるような岩が並んでいる。一方、川の淵は静かに止まって川底を見せている。
・・・・・何ときれいだね・・・
妻の声が聞こえる。
水・が・・キ・レ・イ・
川沿いの絶崖に近い山道は細い上り。山道の上に、所々で大木や岩が道にかぶってきている。更にその先、桂の大木が“通りゃんせ”をしているように見える。
頭上注意
カツラの大木
「どうぞ 通・り・ゃ・ん・せ」
やがて私達は「川迫川遊歩道」に入る。つり橋から「みたらい渓谷」に歩を進める。道沿いに4~5本紅葉のモミジが色鮮やかに並んでいる。
この坂道を下ると休憩所があって多くの人達が紅葉を求めて来ている。
天保橋
この辺りの紅葉がキレイ
みたらい橋たもとから急な階段の上りが続く。石の吊り橋「哀伝橋」をこえると目の前に白い帯が見える。これが百選の滝「みたらいの滝」
急斜面の岩から幅広い白水を力強く岩にぶつけている。
滝は砕け散る音を残しながらいつまでも勢いを止めない。
哀伝橋 (これも吊り橋です)
みたらいの滝
滝の上から眺めて・・
私達は滝を後ろに、山道を上っていく。急な斜面は、崖に鉄骨階段をかけて繋いでいる。足場から下に目を向けると目が回りそうだ。
上りの鉄階段は幾つも続く。段々と足腰が悲鳴をあげそうになる。年寄りには少し残酷な遊歩道だ。
それでも平らな山道は、色々な木の葉の模様が入り乱れ、岩石は苔の化粧で迎えてくれる。
風もない静かな森にただ一つ川のせせらぎだけが聞こえてくる。
きれいな自然林
私達は「観音峯登山口」まで1.2kmの地点を経てようやく「観音峯登山口休憩所」に着いた。
観音峯登山口まで1.2km地点(休憩しました)
階段の連続です
観音峯登山口休憩所が見えてきました
駐車場が満杯です
しばらく県道に従って歩く。多くの人達が来ている。
コロナは収まりつつあるせいか、家族連れやグループが目立つ。大阪からという小学生が先生の引率で一列に歩いている。
私の目からすると彼等の心の中に若干のコロナ安堵感が見え隠れしているように感じる。
しかし、この山の中で全員がマスクをしている。していない人はただ一人私だけである。
県道の紅葉もきれい
私達二人は県道を離れて「林間みたらい遊歩道」に入る。一転して暗い林道。道の両側は杉の棒が立っている。二人の静かな遊歩になった。
それでも山ガールをはじめ何人かの人達に顔をあわせる。
ここから遊歩道に入ります
うっそうとした植樹林を歩きます
妻は余裕のある顔で「予定の時間より遅いかな?」・・と言って時計を見る。ほぼ予定通り「洞川温泉センター」に無事到着。みたらい渓谷の遊歩は終わった。
この天川洞川温泉には車も人も一杯。
洞川温泉センターが見えてきました
ゴールはまもなくです
私達ふたりは人盛りを避けて山辺に座ってカップラーメンをすすった。
食事を終えた二人は「龍泉寺」に向かった。
川沿いの細い道路に温泉旅館街があって商店が並んでいる。その先に龍泉寺があった。
大きなお寺で風格があって、思わず頭を下げる。
龍泉寺
境内もキレイに紅葉していました
なでて持ち上げると軽く、たたいて持ち上げると重くなる
試してみました・・たしかに・・感じましたね
その昔、約60年ほど前、この洞川の旅館に泊まったことがある。一泊して大峯山に登った。その時お寺に参ったように思う。
二人はゆっくり拝観しながらお寺から広がる紅葉にただただ心を奪われた。
温泉街を引き返す途中、コーヒーの香りにひかれて喫茶店に入る。種類は一品。名水コーヒーと書いてある。
名水とは、岩間からゴロゴロと落ちる山水のこと。ゴロゴロ水のコーヒーという。コーヒー好きの妻はひと言 「オイシイ・・・」
私達はバスで川合まで、1時間に1本のバスに乗車。乗り切れないほどの超満員。15時25分、車まで帰ってきた。
洞川温泉バス停14時58分発 天川川合バス停までバス移動
大勢の登山客やハイカーさんと乗り合わせました(満車)
もちろん、運転手は行き帰り妻。この頃妻のロードセンスもよくなったように思う。
今日のみたらい渓谷の遊歩道は、この時期としてはほんとうに当を得たものだった。遊歩道としているけれど、急な上り階段が数多く続く、年寄り泣かせの難所。
天気もよく、紅葉の山、苔石、青い空、岩と清流そして密度の高い空気。
これほど、美味しい、うまいものは簡単に手に入れることは出来ない。
実はもう一つ予定の大原山は割愛すると妻が言い出した。彼女にしては珍しい事でしたが、私は即OK。年寄りには無理は大敵。
・・・これで充分 良・か・っ・た・ね ・・・が二人の合い言葉。
家に帰ると娘からふぐ刺し、ふぐ鍋セットが送られてきた。85歳の誕生祝い(11月15日)
ふぐ料理は現役の頃、和歌山の新内辺りで時々口にした。大好きな鍋である。この雑炊は又たまらない。15日の夜が待ち遠しい。
一昨日来た孫も仕事に就けば一緒に飲もうと告げて帰って行った。
今日15日、孫達から誕生日おめでとうメールがいくつも入ってくる。
でも85歳ということはめでたいことかどうか? さっぱりわからない。
これからの老後の暮らし、残余の人生にどう向かっていくか?健康だけで
OKというわけにはいかない。
今、世に不信感が漂っている。政治家は勿論だが官僚にも、検察、裁判所そして企業組織にも不信感が強くなってきている。
一億総不信感の時代とも言える。
自分に利があれば何でもする。法に触れてもお構いなし。そんな人が組織の長として国民を引っ張っていくのだ。一人くらいリーダー組織の中で、正義の行動を起こす人はいないのか?
山歩きは全て忘れて清々しい心になれる。だが、この頃山登りの最中に世の出来事が気になって仕様がない。不信感のことだ。
今日は誕生日。満85歳。自分の一族の歴史の中で一番長生きしている。悲しいことではないが、さして嬉しくもない。それでも子ども達や孫達がそれぞれ健康で仕事、学業に励んでくれていることが一番の幸せと思う。
まぁ妻と二人、山歩きを趣味としながら平凡な日常を送っていけることも幸せだろう。
そう、体力これを保つことが幸せの源泉。孫達の成長を見ながら次の山行のために体を鍛えよう。
~~~今日の日もありがとう~~~
今日の歩数=19201歩