曇り時々晴れ

権谷梨香を思うと、目の前が曇る。パッとしない、しょうもない人生だったんじゃなかろうか…と。貴方の人生、一体何が楽しいの?と問いたくなる。
『母親とは、ずっとソリが合わなかった。両親の離婚を機に、家を出た。親元を離れられて、寧ろラッキーだった。あんな親にはもう、ウンザリだったし』
だけどこれが、彼女の人生の歯車が狂い出す始まりとなってしまった。
『隼人は、みんなに祝福されて生まれてきた子じゃない。
チンピラみたいな男の子なんか産んでどうするの。あんたに子供なんて、育てられるわけがないじゃない。
色んな罵声を浴びた。
意地だった。隼人を産んだのは、あの女に対する意地。絶対にアンタみたいな親にはならないっていう…。
隼人がいるから、生きていられる。この子は、絶対に手放さない』
今まで、自分で決断したことなんてなかったかもしれない。けど、隼人を産むことだけは、彼女自身の意志だったと思う。
だから、彼女にとって隼人は生きがいなんじゃないかな。初めて、誰かのために何かをしてあげたいと思っているのではないかな。
隼人と一緒にいる時間が一番なんだと思った。
種村江津子