オジテミスと呼ばれて




『オジテミスと呼ばれて(アル美奈)』


戦いにプリンセスのダミーとして合流した帰り道、何故かアルテミスが目に見えて落ち込んでいた。


「アルテミスどうしたの?」

「オジテミスって言われた」


そう言って大きな溜め息をついて頭を垂れて肩を落としてしまった。

酷い事を言う人もいたもんね?

猫にだって心はある!

特にアルテミスはこう見えても結構ナイーブなオス猫ちゃんなのよ?

酷い事を言っていいのは私だけ!なんだからね?


そう、セーラーV時代に数々の酷い事を言ってきたし、酷い目にも合わせてきた。

私にだけは言われたくないだろうけど、私とアルテミスには前世からの絆がある!

信頼関係が出来上がってるから許されるのよ?


でもまぁオジテミスって言いたくなるのも分かるわ。

インパクトのあるオッサン声よね?

私も最初聞いた時驚いたわ。

可愛い猫の見た目とのギャップも相まって余計にオッサン声が強調されてるわよね~。分かるわ!


「言わせたい奴には言わせておけばいいのよ!そんな顔も名前もわからないネットやSNSの声でいちいち傷付いて落ち込んでたらバカみたいじゃない!長い人生損して歳とってくわよ!堂々としてれば良いのよ!アルテミスはアルテミスなんだから」

「美奈…君が慰めてくれるなんて…。ありがとう」

「でも確かにオッサンよね?上手いこと言うわね、ネット民!」

「美奈、慰めてくれてるんじゃなかったのか?酷いじゃないか」

「ごめんごめん。こんなに可愛いのにね?頭もいいしね?人語も巧みに操れるし凄い猫なのにね?」

「分かればよろしい!」


単純だからちょっと褒めれば有頂天!

チョロすぎるわアルテミス!


「会いたがってたルナにも会えたしね」

「久しぶりのルナは相変わらずだったなぁ。プリンセスをセーラー戦士として目覚めさせて訓練させて、他の3人も目覚めさせて育ててるんだ凄いよ」

「働き者よね~恋に現を抜かしてた誰かさんとは大違いね?」

「どの口が言ってんだよ?ボクは君だけで手一杯なんだよ!」

「酷い!ヴィーナスとして覚醒して前世の記憶取り戻せて、プリンセスのダミーもやってるのよ?合流したからには恋愛は封印してプリンセスを守ってみせるから見てなさいよね!」

「はいはい、楽しみにしてますよヴィーナス」


そう、私たちの戦いはこれから!

合流したからって気は抜けないし、手放しでは喜べない。


でもこの後暫くは私たちの間では「オジテミス」イジりが流行してアルテミスをネタにしていた。





おわり