ある環境団体の競技場変更要望書・転載(参考資料)



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2020年東京オリンピック招致委員会 殿



都立葛西臨海公園での2020年東京オリンピックカヌー競技場建設

の変更についての要望書



東京都は2016年に引き続き、2020年のオリンピック開催を表明し立候補されました。

貴委員会が先にIOCに提出された資料によりますと、前回の立候補時と同様、江戸川区の葛西臨海公園西側一帯にカヌー(スラローム)競技場を建設されることになっています。

カヌー競技場はオリンピック終了後もカヌーやラフティングの施設として残す計画ですが、その結果、同公園の、鳥類園・水族園・大観覧車・ホテルシーサイド江戸川などを除く地域の約半分が競技場施設になってしまいます。
 私たちはオリンピックの東京招致に反対するものではありません。しかし、この件に関して、多くの都民が当建設計画の内容や問題点を知らないこと、また、葛西臨海公園の建設生い立ちや新しい自然生態系の形成や保全を目指して日々整備されている経緯などを考えていただく必要があります。

当会は、以下の理由により葛西臨海公園へのカヌー競技場建設には反対し、都または区の遊休地など別の適した場所への計画変更を求めます。





 建設予定地の変更を求める理由



1.競技場建設予定地の豊かな自然環境を破壊する

葛西臨海公園は開園から23年を経過し、土壌も植生も豊かになり、海・池・湿地・草原・林など変化ある環境に恵まれ、多様な生態系が形成されています。建設予定地(公園西側)だけに限っても、地元「葛西東渚・鳥類園友の会」の今迄の観察によると、鳥類(山野の鳥)76、昆虫140、クモ80、樹木91、野草132種類を記録しています。トラツグミ、チョウトンボ、コガネグモ、ウラギクなど東京23区では絶滅危惧種に指定されている生物26種も確認しています。建設予定地一帯は、都区民が身近で自然に親しめる貴重な場となっています。都内屈指の豊かな自然環境が破壊されるのを看過することはできません。



2.都区民のかけがいのない憩いの場が消滅する

葛西臨海公園には昨年(平成23)320万人の行楽客が訪れています。建設予定地(公園西側)は海を見下ろしながらくつろげる地域で、家族で食事が楽しめるバーベキュー広場、歌手のコンサートや江戸川よさこいmyフェスタなどのイベントが行われる汐風の広場、松林や池・谷筋の散歩道、桜並木の中を通るサイクリングロードなどが在り野鳥の会探鳥コースにもなっています

競技場が建設されると、これらの場所の全域または一部が利用できなくなり、高さ9m長さ400mのコンクリートの川12,000席のスタンドは海風をさえぎり公園からは海が見えず、なぎさ側からは公園が見えなくなるなど臨海・海浜公園としての景観が壊れてしまいます。

短期間のオリンピック開催と利用者が限定される恒久施設のために、四季を通じて楽しめる住民の憩いの場が消滅してしまうという事態は都民としては納得できません。



3.他に適した候補地が存在する

葛西臨海公園は、上記1、2に示したように、豊かな自然環境が育ち、区民を始め住民にとってかけがえのない場所となっています。一方、カヌー競技場は、たとえば中央防波堤埋立地内の未利用もしくは未建設地のなどに建設されても、機能的な面、交通の便などから、葛西臨海公園と同等と考えらます。このことは、前回とは異なる状況で、計画変更の対象となる懸案だと思います。



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