来週なんてのはウソです。オチはつまらないんで。



 自販機に飲み物を買いに行き、戻ろうとしながら急に足を止めて動かなくなり、そのまま暗がりにふらふらと歩いていくわたしのすがたはまさに“幽霊に呼ばれたよう”だったそうです。待合室でそれを見ていた母が後で言いました。母は心霊ものが好きで、イヤな感じがしたらしくすぐにわたしがいるトイレの方に来てくれました。

 この後のあまりにひどいオチはあまり書きたくないです。

 簡単に起きたことだけ話すと、そのトイレは夜になると鍵がかかるタイプのものらしく、たまたま入っていた男が不運にも閉じ込められてしまったというだけの話でした。外も見えないから人が近くにいるかも分からず、やみくもに助けを呼んでいたらしいんです。それで疲れちゃったんですね。泣き入りそうなあの声は下手な幽霊より幽霊らしかったです。

 トイレの周囲を回って開いてそうなところを探しましたが無駄でした。



ceryeti「なんかバスターミナル脇のトイレに男が閉じ込められてるみたいなんで、ちょっと来てもらえませんかね?管理者の連絡先わからないんです」

 警察呼んでやった。トイレの管理者わからないし、関わりたくないんで。そうしたら男はこうのたもうた。

男「警察は呼ばないでくれ」








 母は励ますつもりか、大丈夫ですよもう警察呼びましたから、とか言って隙間から出てきた気持ち悪い男の手を握ってるし。

 そしたら思い出したように男は携帯を取り出しやがった。

男「あそうだ携帯あったんだ。警察は自分で呼びます」

 バカかおまえ!?持ってるなら最初からそれを使え!ていうかそれなら幽霊みたいな真似するんじゃねえよ!?







 もうがくりと膝をつきたくなりました。

 なんかパニクっちゃって携帯の存在を完全に失念してたみたいなんです……。もうわたしが警察呼んだ後だったんですけどね。

 ほどなくしてお巡りさんが二人来てくれました。なんかトイレの隙間から出てる手を相手にどこから来たかとかいつここに入ったかとか話してました。酒を飲んでた疑いをかけられたみたいで、出たら署に行くことになったみたいでした。かわいそうにね。警官がいろいろ電話かけてトイレのことを調べてるんです。

 その間従妹の姿が見えないと思ったら、そこのトイレの管理者の見当が大体ついてたみたいで、急に暗がりから現れたと思ったら鍵束を持った爺さんを連れてたんですよ。



 結局従妹がひとりこそこそと管理者を連れてきて万事解決でした。出てきた男の前には呼ばなくてもよかった警察がいたわけなんですけどね。





 従妹はお礼を言われたと言ってました。ずいぶん頭を下げられたんですと。



 わたし?

 わたしは男にお礼とか言われたら気味が悪いのでカギが開けられる寸前に逃げました。ていうか顔も見たくなかったです。





でも本当に幽霊だと思いました。ついにわたしの前にも現れたんだって。よくトイレに近付いて行ったと思います。今考えても信じられません。バカなんじゃないかなわたしって。



とっておきの笑い話です。トイレに閉じ込められるのはごめんですよねえ。