岬はいろいろな面で強い人だった。彼女の強がりはただの意地で言っているのではない。自分の怖がりな面を克服しようという意思の表れだった。あの日の岬の言葉には今でも勇気づけられる。

 足切女郎の長階段、名も無き祠のある踊り場の次の一続きの長い階段がかつて幽霊が出たといわれる場所だ。やはりここは昼間でも怖い。足元に注意してゆっくりと下りながらも、両側の茂みがどうしてか気になる。横を向いて見てみたくなっても、怖くてそうしようという気にはならない。だからと言って足元ばかり見ているとどうしても段を数えたくなってくる。数えてはいけないと言われていればなおさらだ。

 この石階段を下りるのは神経を使う。ようやく下まで来た私は長階段の最後の一段を注意深く踏みしめた――――。



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つづく