仕事仲間と何気に『透明人間のストーリーって最後の結末はどうなったのか?』という話をしてました
子供向けの本だと内容が要約されているので、原作はいったいどうなっているのかと。
そこから、H・G・ウェルズの話で盛り上がって無性に読みたくなり明日休みということもあって短編集購入しました
ウェルズの代表作と言えば『透明人間』以外に『タイムマシン』・『宇宙戦争』・『解放された未来』などたくさんありますが、やっぱり私の中での一番は『塀についたドア』です。
主人公レドモンドはエリートで内閣の大臣になった親友ウォーレスから驚くベき体験談を聞かされます。
ウォーレスが5歳のころ家族の目を盗んで家を抜け出し街をぶらぶら歩いてると白い塀にある緑のドアを見つけ、一度は通り過ぎましたがやっぱり気になってしまいそのドアを開けます
するとそこには見たこともないきれいな庭園があって、美しい女の人がいたり、おとなしくて毛並みのきれいな2匹のヒョウがいて、そこにいる人はみんなやさしく彼はゲームをしたり楽しく遊んでいました。
するとある女性が彼を現実の世界に戻し、その後ドアの場所にたどり着くこともできなくて、その楽しかった思い出が忘れられず彼の心の中にずっと残ることになります。
ウォーレスが小学校に入り、友達とどちらが早く学校につくか競争をしていたとき、再びその緑のドアを見つけます。
彼は開けて入りたい気持ちでいっぱいになりますが、学校には遅刻できないので結局通り過ぎて次の日にその場所に行きましたがそこにはなぜか緑のドアはなくなっていたのです。
それ以降ドアを見ることはなかったのですが、大学の奨学金面接に行く途中の馬車に乗っている時に再び窓から見つけたり、ウォーレスが重要な時にほどその緑のドアも見かけるようになりました。
もちろんあのすばらしい庭園や美しい女の人や楽しかった出来事はいつも心の中にあり何度も夢に出てきましたが、入るきっかけがなかったのと子どもの頃と比べそんなに興味がなくなっていたのもあり見かけるたびに通り過ぎていました。
しかし成功を納めて大臣になった今、次にあのドアをみたら入りたいとレドモンドと話が終わります。
その3カ月後、ウォーレスは緑のドアを見つけとうとう扉を開けますが…。
1911年の作品で30ページの短編ですが実に内容がすばらしくおもしろいです
古いので邦題も『白壁の緑の扉』、『塀とその扉』、『くぐり戸』、『くぐり戸の中』といろいろあります。
私のお店の店長が小学生の時にこの物語を読んでひねくれてしまったそうです
続きが気になった方はぜひ読んでみてください。
短編なので『タイムマシン』に収録されてます。
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