前日の雨が嘘の様に二日目は気持ちがよく晴れ渡りました。

現金なものであれだけ落ちていた気持も右肩上がりです。

 

 

道も大方乾いているみたいでひと安心。目指すは木曽路最南端の馬篭宿です。木曽福島からは40kmほどという事で妻籠宿、馬篭宿と続けてゆっくり観られるのではと心がはずみます。

 

 

奈良井宿を棒に振ったので勇み足気味ですが、先ずは旅館前で自転車を組み立てて「七笑」の酒蔵に向かう事にしました。

 

 

今回の旅館の予約を取るのに気を付けたのは旅館での自転車の置場です。旅館のどこか屋根のある所に置かせて貰えるか、駄目なら輪行袋に入れた状態で部屋への持ち込みが出来るのかを詳しく確認しました。

いざ旅館に着いてみたらダメだったでは夜が心配です。

「山みず季URARAつたや」さんでは玄関入ってすぐ脇に置かせていただけるという事でひと安心でした。

 

 

丘を下り5分も走ったでしょうか、木曽福島の町の中に七笑の蔵元はあります。試飲させて頂きながら気に入った物を郵送していただきました。

私は日本酒をあまり頂けるクチではありませんが、旅館で飲んだものは軽すぎず華やかな飲みやすさがありとても気に入りました。

一年後に旅館に確認しているわかった事ですが、その時のお酒は「七笑の吟醸」だという事でした。

 

 

さあ、野暮用も済んだ事ですし木曾川添いを馬籠目指して走ります。19号線を行けば舗装もきいていて快適なのですが、代わりに車通りも激しいので、走れるところは昔の面影を残した旧道を走りたいものです。

 

 

塚のような小高い丘の上にある「御嶽神社」の御嶽遥拝所。木曾の道筋で御嶽山が仰がれるのは鳥居峠とこの御嶽遥拝所だけと言うことです。木洩れ陽の中の石の鳥居がとても神々しく感じられます。

 

 

旧中仙道沿の寝覚の床への下り口にある「民宿いせや」さんの前で。木曾川添いの国道19号とは違い、旧道はそれなりに上っていて山を開いて作られています。道も山の背に沿って曲がっていいるので、景色に変化があって走っているだけで楽しくなります。

 

 

寝覚の床に下りる前に旅人がひと息ついたと言う土間です。

訪れた時は休館日との事でしたが、親切にも見学させてもらえました。写真の奥に長い土間だけでなく、囲炉裏端、大名も泊まったという畳の間などとても興味深く見せて頂きました。

 

 

「旅館いせや」さんから自転車で5分ほど下ると国道19号、中央西線の線路と共に「寝覚の床」を眺める事が出来ます。国道19号沿いのお蕎麦やさんの駐車場に自転車を停めて寝覚の床に。結構急な階段を下り、線路の下を通って行きます。

 

 

この寝覚の床、近ずくと思っていた以上に岩が大きいのです。水面から5m以上は優にありますし、もちろん手すりの類はありませんので、恐がりの私はおっかなびっくり覗きこむ始末です。

寝覚の床はただ奇岩と言うだけではなく中央にお堂があり、浦島太郎が玉手箱を開けたという伝説の残る場所だそうです。海からかなり離れていますし、浦島太郎は砂浜で玉手箱を開けたイメージなのでピンと来ませんが面白いですね。

 

 

「木曽路はすべて山の中である」で始まる島崎藤村が書いた「夜明け前」と言う有名な小説の冒頭どうり、木曽川を中心に左右はずっと山。結構急なところもありますから生活にクルマは必要だと思いますが、地形に沿って作られた風景が心地よく感じられました。

 

 

雄大な木曾川を支える多くの支流はみんな水が青く豊かで綺麗です。酒蔵が多くお酒が美味しいのも頷けます。季節柄民宿などに泊まれば、おいしい山菜でお酒を頂けるかと思いましたがその辺りの楽しみはまた次回に(笑)

 

 

そう、木曾川添いを走っていると水力発電所も多く見かけました。下流に行くほど川幅は広く、水流はおだやかになっていきます。

 

 

妻籠宿の手前までやって来ました。かなり南下して来たのを感じます。塩尻での雪が嘘のように暖かく、桜も咲き始めていました。あと一週間で満開というところでしょうか?

 

 

木曽福島から妻籠宿まで40kmほどと、距離としてはそんなにありませんが、途中の寄り道が多く思ったよりも距離を伸ばせませんでした。

毎回思うのですが、のんびりと見て回るなら30kmくらいがちょうどいいかもしれません。

 

 

19号を左折すると妻後宿までは軽い登り坂、ちょっと気分が萎えますが時間も押していますので少し急ぎます。妻籠が見えた辺りでほっとしました。馬篭はこのさらに先、今回は断念せざるおえません。

 

 

やっと着いた思いです(笑)舗装の効いた道を自転車でこれですから、徒歩で旅をしていた頃はこの比ではなかったのでしょう。

 

 

写真のように一区画丸々宿場町の風情を残しています。

さすがに道は舗装路になっていますが、まるでタイムスリップしたみたいです。

 

 

それにしても外国人観光客の多いこと。午前中はアジアで、午後はヨーロッパだと妻籠で働く人が言っていました。自転車に荷物を積んでいるのが珍しいのか、何人もに声をかけられましたが「ナイスバイシクル!」以外全くもって言葉がわかりませんでした。

 

 

それにしても美しい風景です。残すことや住まうことを考えると大変なことが多いのでしょうが、このような景色と一緒に何か大切なものもなくしてしまったのではないかと思いました。

 

 

初日が雪というアクシデントもありましたが、とても心に残る自転車旅になりした。往時の風情を今に残す宿場町跡もいいですが、雄大な木曽川と、昔の旅人が徒歩で行き来した街道に思いをはせながら自転車で走るのもまたいいものです。

奈良井宿も馬篭宿もまだ見てはいませんし、又時間を作って訪れたいと思います。

 

これを書いている2018/05/18現在、また自転車でしか見られない景色を訪ねて、今年は飛騨高山にいけたらいいなと考えています。

行けるのかな?(笑)