先に言っておきます。これは、怖い話です。

 

美里は、凄く人気のある女の子だ。沢山の男子から告白されているのに、「好きな子がいる」と言って、誰とも付き合おうとしない。

 

その「好きな子がいる」と言っている相手が僕、なんてことは、漫画やドラマの世界ではあるのだろうが・・・。そもそも、僕は美里と話をしたことすらない。

 

なのに、なぜ、美里なんて呼び捨てで名前を呼んでいるのか?については、後程、分かると思う。

 

僕は、生まれつき体が弱く、1年のほとんどを病院のベッドの上で過ごす。ベッドのすぐ横に大きな窓があり、そこから見える景色は気にいっている。学校には、月に数回しか通えていないが、これが僕の当たり前なので、特に不満もない。

 

そんな僕の隣の病室に、昨日、入院してきたのが美里だった。入院した理由を知る由など、僕にはないが。

 

部屋は違えどお隣同士。先に言っておくが、聞こうとして聞いたのではなく、聞こえてくるのだから仕方がない。

 

毎日、美里のところには、友達が訪ねてくる。

 

通っている学校は、病院の近くのお嬢様学校 きのポ女学園芋高等学校(通称いもじょ)か。学年は1つ下なんだ。先日も告白されて断ったのか・・・。友達との会話が聞こえてくるたび、僕の中で、妄想の美里が作り上げられていく。

 

美里が入院して5日が経ったある日、これまで、顔を合わせたことがなかった美里と、廊下で偶然すれ違った。なるほど、男子にも女子にも人気があるはずだ。

 

外見の良さだけではなく、初めて会う、いや正確には、すれ違っただけの僕に会釈をしてくれた。何なら微笑んでいなかったか?

 

それから、どこかで美里と会えないかと、意味もなく廊下をウロウロしてみたりもしたが、会うことはなかった。

 

私のことなど知るはずもない美里を、僕は、歳が1つ下という理由だけで、呼び捨てで呼んでいる(笑)

 

絶対にないことは分かっているが、美里と、この病院で運命的な出会いをし、付き合うことになったり!などという妄想をするようになっていた時期だったので、あの美里の会釈の後の微笑は、もしかしたら・・・などと、妄想の続きを楽しんでいた。

 

翌日、いつもは、友達が訪ねて来て賑やかな美里の病室が、今日は静かだった。次の日、病室で、昼食の冷やしぶっかけうどんを食べているところに、さっきまで、看護師さんと話をしていた僕の母が入ってきた。

 

「お隣の病室の方、今朝、退院したんですって。歳も近いって言ってたわよ。会ったことあるの?あなたのこと・・・」

 

何?退院?それで、昨日は、お見舞いに来る友達がいなかったのか。母の言葉は続いていたが、退院という言葉が衝撃的過ぎて、何を言っていたかは覚えていない。

 

1週間という短い期間だったが、勝手に美里に恋をし、勝手にフラれた気持ちで感傷に浸っていると、

 

母から「はい。コレ」

 

なんだ?この手紙は。あっ、手を滑らせて、食べかけの冷やしぶっかけうどんの汁に浸してしまった。慌てて取り出すが、差出人の文字がにじんでしまっている。これは中まで、やっちゃったな。

 

アレ?差出人 小清水 美里って書いてないか?これって、もしかして!!

 

『はじめまして。私は、いもじょの1年、小清水 美里と申します。突然のお手紙で、驚かせてしまって、ごめんなさい。私は、3週間程まえに、あなたに助けてもらったことがあります。そのときは、●●名前を尋ねても、教えていただくことが出来ずで。その後、この病院の窓から、オレンジ色に輝くシャボン玉をしているあなたを偶然見かけて。こちらは、お友達のお父様の病院で、あなたのお部屋の隣が空いたら、1週間、お部屋を使わせて頂けるようにご無理を通してもらったの。実は、あのとき、あなたが私を助けたりなんかしたから、こんなことに●●●。』

 

ラブレターってわけでもなさそうだし。シャボン玉?確かに1度だけしたことがあったな。美里を助けた?記憶を遡っても、あんなに可愛い子を助けたのなら、忘れるはずがないし。1週間、部屋を使わせてもらってたってことは、そもそも入院してたんじゃないってこと?何が何だか分からないぞ。

 

●のところ、文字がにじんで読めなくなってるから、1番大事な最後の部分も分からない。僕は、名前を聞かれたりはしてないし。

 

そういえば、シャボン玉をなぜしたんだっけ?そうだ、学校に向かっている途中、体がダルくて、交番近くの公園で休んだんだ。そのとき、近くでシャボン玉をしていた、麦わら帽子を被った少女と体操服を着た5歳ぐらいの女の子がいて、その女の子がお礼にくれたんだ。まてよ。その子の名前・・・。名札を付けてたよなぁ、確か、小清水だぁ。美里と同じ苗字。何か関係が?めいろに迷い込んでしまったような感覚。

 

「あなたが私を助けたりなんかしたから、こんなことに・・・。」って、僕が何かをしたってことなのか?

 

つづく。

 

次回、最終回、『美里とは、いったい?』衝撃の真実が、第13回みりおんゑあで明かされる!?・・・。って、まさかの、次のみりおんゑあに続くパターン。2回連続で取り上げて頂こうとする、怖い発想の僕が考えた話でした。最初に怖い話って言ったでしょ(笑)

 

ラジオネーム セントラルのショウジ

 

 

※美里様、本当に第13回のみりおんゑあに、持ち越して頂けるのでしたら、ここで終わって頂けましたら。難しければ、この※の文章は読まず、以下に続いて下さい。

 

 

って、誰が納得すんねん!!というツッコミが聞こえてきそうなので、

 

美里とシャボン玉をくれた小清水っていう苗字の女の子との関係は?めいろに迷い込んでしまったような感覚。って・・・。「小清水 めいろ様」を連想させる言葉遊び。美里の妹という設定。

 

麦わら帽子を被った少女が美里。美里と、はぐれてしまい、泣いていた妹を見つけた僕が、近くの交番に連れて行き。そのお礼にと、妹からオレンジ色に輝くシャボン玉をもらったという、本編のどこにも記されていないエピソードが(笑)

 

●●は公園の前にある交番、

 

●●●は

 

「あなたが私を助けたりなんかしたから、こんなことに・・・。」とは、美里が、困っていた妹を助けた僕に恋をしたってこと!!これまで、モテモテだった美里は、自分から告白した経験がなかったことで、このような表現に。これは立派な美里からのラブレターでした。

 

病室では、友達と、僕にどのように告白をするかの作戦会議をしていた模様。

 

僕が、どこかで美里と会えないかと、意味もなく廊下をウロウロしていたときも、僕に見つかりそうになると、恥ずかしくて、とっさに隠れていたので、僕が気付かなかっただけで、美里は、僕を見ていたようです。

 

冷やしぶっかけうどんは、僕の好物なだけで、深い意味はありません(笑)

 

気になっていたところの、答え合わせは出来ましたでしょうか?伏線回収や言葉遊びをちりばめてみました。

 

実は、本編の話のオチがどうのこうのではなく、美里様に、このような内容の便りをしてしまったことで、僕へのイメージが、ヤバイ奴だと決定してしまったことが、1番怖いです(笑)

 

そう、最初に記した怖い話とは、僕が美里様に、ヤバイ奴だと思われるという「怖い話」なのでした。お後が宜しいようで。

 

 

上記は、5月6日に配信があった『第12回 みりおんゑあ ~入院したあの子と編~』に送った便りの全文になります。

 

「みりおんゑあ」への便りは、こちらを最後に致します。

 

タイミングが合わない。それも、ご縁がなかったということなのか・・・。

 

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