女性による自分の結婚
前回のつづき
[史料 『日本霊異記』上ー三一]
(従三位粟田朝臣の女が)乃ち東人(自分の病気を治してくれた男)に愛心を発し、終に交通(とつ)ぐ(結婚した)。
前回、今回の史料にみられる女性からの積極的求婚のあり方は、現代女性のそれを上回っているといえよう。
なお女性から離婚している例は、古代では結婚と離婚の境目がはっきりしないので、史料をみつけにくいが、女性が自分のところに通ってくる夫(当時の結婚が「妻問(つまどい)」からはじまる)や恋人を追い返している、次の史料のような例の存在は、女性による離婚権の保持をよく示すと考える。
なぜなら夫に対し、一時的な性結合を拒否出来る女性は、夫への永久的拒否(離婚)も出来ると考えられるからである。
[史料『万葉集』
ぬばたまの昨夜(きぞ)は環しつ今夜さへわれを環すな路の長道(ながて)を
(昨夜はあなたのところへ通って行った私を,、逢わずに帰したが、どうか今夜は帰さないでください、長い道を通って行くのですから)
このような古代女性の保持していた結婚(性関係)決定権、求婚権、離婚権は、後に見る様に家父長制家族と単婚の成立にともない失われていくのである。


次回につづく