2段ベッドの事故について | 木工所のブログ

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7月10日にニトリさんのシルビー3という2段ベッドの床板が破損し落下。利用者が骨折したという記事を見ました。


ニトリの2段ベッド底板が破損=利用者が落下、骨折-経産省


SG認定工場の当社の2段ベッドでも、以前、床板が破損する事故が起こりました。

少年の家など、主に学生が研修施設として使用する宿舎に2段ベッドを納めた時の話です。

使用状況を確認すると、2段ベッドの上段で10人程度の子供たちがトランプでわいわい遊んでいたそうです。

仮に1人30kgだとしても、上段の床板には約300kgの荷重がかかっていたことになります。

通常の使い方であれば、まず壊れることはなかったはずです。


そういうわけで、床板の耐荷重の目安60~90kgに対して、被害者となった50歳代の利用者はどのような使い方をしていたかも争点になると思うので、販売責任はあるといっても、あえてニトリさんを責めることはしません。


ただ、¥29,900であの機能を備えているのは凄いと思います。

逆にいえば、通常で考えれば非常に難しい価格で販売されており、人件費が非常に安価なメーカーで生産していても、材料費もとことん削らなければ実現できる価格ではないので、当然、品質に関しても想像がつきます。


孤島である日本は基本的に単一民族であり、歴史を振り返っても、日本人は安心・安全に比較的無頓着な人種だと思います。

今でこそ、ホームセキュリティーやGPS携帯など、“安全はお金で買うもの”という感覚がでてきたように感じますが、特に家具においては“いくら安いモノでも品質は良くて当たり前”という風潮があります。


当社ではホームユースではなく、施設などに特注で2段ベッド等の依頼を受ける際は使用者や使用状況を確認し、強度を増す必要があるかどうかを判断します。


床板の強度を増すだけでも、材料の厚みや桟木の本数を増すことにより材料費が上がり、手間も増え、結果的に価格に反映されます。


安心・安全をお金で買う時代は息苦しいと思われる方もいらっしゃるでしょう。

また、安いことは良いことです。

しかし、安くするには理由があります。

判断基準はそれぞれですが、大事な子供や孫が使うベッドは、ある程度安心できる商品をお求めになることをお勧めします。



ちなみに、2段ベッドのSG基準では床板の耐荷重は静止耐荷重で180kgです。