ブログを書くのが遅くて、去年の話になってしまいましたが…(汗)。

ずっと観たかった「パラサイト 半地下の家族」。

ようやく日本でも公開となり、2019年12月27日、先行上映かつ、

ポン・ジュノ監督と主演のソンガンホの舞台挨拶があるというので、TOHO六本木まで行ってきました。

 

あまりにも楽しみで発売時刻と同時にチケットを購入したため、席は一番前!(笑)

間違いなく今、アジアナンバーワン監督とアジアナンバーワン俳優である二人。

監督が思いのほか背が高くて恰幅が良いのに驚き。

二人とも威圧感など感じさせない、とても柔らかい雰囲気の人たちでした。

日本より先に公開されているヨーロッパやアメリカでのヒットをとても喜んでいましたよ。

 

ストーリーはざっとこんな感じ。

父、母、兄、妹の4人家族のキム一家。不運が重なってみんな失業中。

お金がないのでソウルでも低所得者が住むという半地下物件に住んでいる。

そんな中、兄のギウが、エリート大学生の友人から家庭教師の代打を頼まれ、

経歴詐称をしてIT企業社長のパク家の娘の家庭教師をすることに。

続けてパク家の息子(弟)の美術の先生として妹を紹介し、

徐々にパク家に寄生していくことになる…。

 

個人的点数 95点

(結果、2019年に観た映画のベストムービー!!)

 

【ここから感想&ネタバレ注意!】

あまりにも面白かったので、以下、長文の垂れ流しになってしまったので、何回かに分けます。

 

ポン・ジュノ監督は「殺人の追憶」や「母なる証明」のようなまさにコリアンノワールと言うような作風と、

「グムエル」や「オクジャ」などのコメディチックな超大作といった、全く違う作風を器用に使い分ける監督(すなわち天才)。

カンヌでパルムドールを獲ったというくらいだから、本作は絶対コリアンノワールだと思っていたのに、

まさかのコメディータッチ大作だったのがビックリ。

 

軽いタッチで進んでいくのに、映画が放つメッセージは深遠で痛烈。

鑑賞中はただただ楽しく、途中から唖然…と、怒涛の展開に脳内を翻弄されました。これこそ最高の映画体験!

 

まず、序盤のキム一家がパク一家に入り込んでいく過程(キム家がパク家にパラサイトしていく過程)が、

ケイパーものの映画を観ているようで、単純に面白くて。

半地下での普段の姿はだらしないのに、パク一家といる時はみんなシャキッとして、それぞれの役割をしっかり果たしているのが素晴らしい。

だってこのキム家、決してみんなダメ人間なんかじゃなくて。

お兄ちゃんは家庭教師ができるほど優秀だし(でも大学受験に失敗)、妹も偽造の大学在籍証明書が作れるほどのスキルや美術的な才能がある(こちらも美大受験失敗)。お父さんだってぐうたらで無職なのではなく、ふとしたきっかけで職に恵まれなくなったようだし、お母さんは家政婦としてパク家に入れば、そつなく家事をこなせるできる女。

 

この映画のひとつのポイントがココ。みんな、やればできる人たちなんです。それなのに、無職で貧乏。

その根底には、一度何かで失敗してしまうとなかなか這い上がれなかったり、

生まれ持った環境が(要は裕福か貧乏か)その後の人生に大きく影響するという社会構造が、今の韓国にはあるっていうことなんです。

日本もそういった傾向は少なからずあるので、キム家の境遇には、共感してしまう…。

 

そして、もう一方の対照的な一家である、パク家。

こちらはもう、超・超金持ち。とにかく家の豪華さがえげつない。

ついさっきまで薄暗くて汚い、半地下のキム家に目が慣れていたものだから、

パク家の広大で超近代的な家(というより建築物)が、同じ時代の同じ国に存在するのが信じがたいほど。

 

パク家の大黒柱である父は、IT企業の社長。シュッとしていて経済誌のカバーなんかにもなっちゃって、まさに時代の寵児といった感じ。

その妻である母は若くて美しく、明るく朗らかで、恐らくいいところのお嬢様のまさに理想の奥さん。

子供は高校生の娘と、小学生の息子。二人とも環境が良いから、個性がありつつも素直に育っている印象。

 

映画でよくあるお金持ち像は、傲慢で嫌な奴…的な感じだと思うんだけど、

実のところ、このパク一家のような人達の方が現実味がある気がする。

 

だってお金があるっていうことは、余裕があるということ。

金銭的なストレスは一切なく、好きなものを買え、好きなところに行け、より良い教育も受けられる。

気持ちに余裕ができるから、そりゃ、人にも優しいし性格も良くなる。

その反面、貧困の中にいる人はどうなんだろう?

例えば生活が苦しいシングルマザーだとしたら?

常にお金の心配があって、子供との生活で精一杯で自分の服どころか、子供の物まで充分に買えないとしたら、

心の余裕を持つのはなかなか難しいと思う。

そうするとやっぱり、悲観的に物事を捉えるようになったり、人を羨んだり、果てには子供にあたったりしてしまうのではないかと…。

 

実は、この映画で感じたことの中で、一番ゾッとしたことがココなんです。

金銭的な豊かさの有無が、人格にまで大きな影響を及ぼしているという事実。

いい人だから幸せになり、豊かになり、成功する。

そういったパターンももちろんあるけれど、現在社会では、

豊かなものは心に余裕が生まれて人格も良くなり、

貧しいものは心に余裕がないから、人格も荒んでいく…。

そういう現実が、少なからずある。

なんなんだこの残酷な社会構造は!

 

キム一家はそこまで精神的に疲弊はしてなかったけれど、経歴詐称をしてパク一家に潜り込むという、

モラル的にアウトなことを罪悪感もなしにやってしまうというのは、

貧困からくる何かしらの人格(モラル)の欠落というのが見え隠れしているように感じました。

 

part2に続きます。