Part1の続きです。
【頭から超ネタバレ注意!】
以下、あらすじをなぞっての感想です。
キム一家(ソンガンホ一家)がパク一家に潜り込み、無事パラサイトを完成した後…。
パク一家がキャンプで不在中に、元家政婦が訪れたところから、
怒涛の展開!(インターフォン上の元家政婦の顔には爆笑!)
まさかパク家に地下があって、そこに元家政婦の夫が住んでいたなんて!
高台の豪邸と、低地の半地下の家。
上流(社会)と、下流(社会)。
その対比だけかと思ったら、半地下より下の、れっきとした地下があった…。
地下に住んでいる彼は正真正銘のパラサイトで、
パク家がいなければ、生きてさえいられない存在。
それを自覚し、パク社長を崇拝すらしている…。
てんやわんやしている中、キャンプが中止になったパク一家が帰ってきて
慌てて隠れたテーブルの下でパク夫妻の本心を聴いてしまう。
「キム父はいい人だけど、「臭い」だけは耐えられない」と…。
この「臭い」というのは何度か話に出てきますが、「格差社会」の比喩。
キムさんの臭いっていうのは、「下流」そのもののこと。
キム一家とパク一家は、雇う側と雇われる側ではあるけれど、
良好な関係を築いてきたし、それぞれ好感も持っていた…。
だけど、そういった表面的な感情では到底クリアできない、
歴然とした壁がこの両家(格差社会)にはあり、
それが「臭い」で表現されていた…。
パク一家のリビングから脱出し、どしゃぶりの中、半地下の家に帰るキム一家。
家に近づくにつれ、どんどん低地に降りていく。
上流と下流を隔てる、長い長い階段では、
怒涛の水が下へ下へと流れ込んでいる。
この「水」は、高台のパク家ではなんの影響もなかったのに、
低地の半地下のキム家では水が流れ込んで完全水没。
家の前の道も海のようになっていて、
キム一家は畳のようなものに乗って、避難所へと向かう…。
(ここの真上から映し出したシーンがまた印象的)
この水は「社会構造」の比喩じゃないかと。
何か起こった時、もしくは変革する時に真っ先に被害を受けるのは、
犠牲になるのは下流の人間…。
それは、上流の人々が、自分たちに都合の良い社会を作ってきたから。
そして今もまさに作り続けている…(日本でも去年しれっと法人税が大幅減税されたり)。
豪雨の翌朝の状況もとても対照的。
下流のキム家はカオスな避難所で食料や衣料をあさっているのに、
上流のパク家は、雨上がりの美しい朝日を浴び、
その気持ち良さからか息子の誕生日パーティーを庭で開催しようと突如思いついて、
裕福な友達を数多く招待し、豪華なパーティーを開催。
このパーティーに仕方なく参加したキム一家はそれぞれ、
パク家を代表とする上流の実態を、まざまざと見せつけられる…。
自分たち(上流)以外の世界に全く興味がなく、知ろうともしていない。
自分たちが楽しければ、それでいい。
でも、彼らには全く悪気はない。
だけど、気にしない、いない存在かのように扱うことの、なんという残酷さ…。
彼らは自分たちの能力や努力で、このような恵まれた生活を送っていると信じているけれど、決してそれだけではない。
「富裕層(上流)」という特権を一度手にしたら、
その社会の中だけで生きていけば平和で豊かに暮らせるという社会構造を、歴代の上流民が作り上げてきたから。
そしてその生活を保つために、下流社会の人間に家事全般や運転、子供の教育などの膨大な労働力と時間を搾取して生きている。
下流が上流にパラサイトしているだけではなく、実は上流も下流にパラサイトしている…!
現代社会の言いようもない理不尽さ。
それを、キム家のお父さんはこのパーティーで痛感し、パク社長が家政婦の夫の「臭い」を忌み嫌う姿で心の均衡が崩れ、
あの事件を起こしてしまったんじゃないかと思う。
「半地下の家族」という副題は日本独自のものらしいけれど、これは秀逸だと思う。
結局キム家のお父さんは半地下から、正真正銘地下に落ちてしまうのだけど、
これは、現代社会の構図そのもののような気もする。
韓国に限らず日本も、ほとんどの人々は今、この半地下状態で、
地上(上流)に上がることはほとんどできない。
だけど、地下に落ちることはいとも簡単にできる…。
こんな歪んだ社会構造に気づいて!自覚して!
この映画からそんな強烈なメッセージを突き付けられた気がした。
その上でさらに「すごい!」と思ってしまったことは、
ポンジュノ監督も、ソンガンホも、れっきとした高台の住民だということ。
だって、アジアナンバーワン監督&俳優だもの、
もしかしたらパク家よりも豪華な家に住んでいることだってありえる。
上流の立場から、上流の世界を知っている人がこんな映画を作って
こんなメッセージを送ってくることがさすが!
同じ上流にいる人たちへの警鐘と、強烈な皮肉を含んでいる気がする…。
上流・下流と分け隔てて互いに「パラサイト」している社会から、
互いに思いやり助け合う「共存」社会。
それは一体どうしたら実現するのだろう…。
観客一人一人に、そんな宿題を残す一作だった。
めちゃくちゃ面白いのにメッセージ性も強い、ド傑作な映画。
アカデミー賞でどこまで旋風が起こるか、今から楽しみです!
(でもジョーカーとかライバルも素晴らしいんだな…)
