その昔、まだ何にも知らずにリップを聴き始めた頃のこと。


『楽園ベイベー』トラックがあまりに巧みで


『絶対メンバーの中に音大とかで、ちゃんと音楽理論を勉強した人がいるんだろな』


と、思ってたことがある。


結局それは全然違ってて、後々叩き上げの5人のスゴさを思い知るのですが。


そして程なく、楽器の生音が柔らかくて展開が難解な、明らかに空気感の違うトラックが多々あることに気づいた私。


『ああ、フミヤ君はこんなメロディアスなトラックも作るんだな』


って思ってたら、それらはPES君作のトラックだった。



フミヤ君がどエラい天才だとしたら、PES君は、元々あった才能を自力で更に引き上げた人だと思う。


『One』『黄昏サラウンド』だけじゃない。


『Spasso』『Hot Chocolate』に『Present』『フラワーチルドレン』その他諸々。


PES君のトラックは本当に優しい。


どのトラックも何度も何度もこねくり回した跡が見えて愛おしい。


彼がこれまで何を聴いてきたか、何から影響を受けたかが掴めそうで掴めない。


一筋縄ではいかないところがPES君ぽい。


架空のアイドルに当て書きしたようなトラックや、CMや映画に書き下ろしたものも、キチンとテーマに基づいて、丁寧に作られていた事を思えば、PES君が今力を入れたいと思ってるプロデュース業はきっと合ってるのかもな、と思う。



さて


物議をかもしたPES君の発言。


『なんにも知らない、としか言えない。』



これまで鉄壁だったスタッフの手助けはなく、メンバーは身動きが取れない。


みんなで足並みを揃える事もできず、統制が全く取れていない状況が丸わかり。


騒動以降のPES君のこの手の発言には振り回されっぱなしです。


責任感が強くファン思いのPES君の気持ちは、このやり方で肝心のファンに伝わってる?


ホントに??


少なくとも私は、どんな顔してPES君の発言を聞いたらいいのかわからない。


5人でいる事で緩衝されていたPES君の色んな部分が裏目に出てる様にしか見えなくてつらい。


SUさんのインスタ更新で、少し明るい未来も想像できたとは言え、今は解決できる見通しは、全く立っていないんだろう、と容易に想像できるところが、なんとも。


楽曲の良し悪しや、待つ人の多さだけでは測ってもらえない、芸能界とは恐ろしいところですな。




孤軍奮闘してるPES君をちゃんと見るべきだと思ったから、このゴタゴタのあと、PES君のステージを3度見た。


PES君は今、楽しく音楽をやれているのかな。

ソロもCharlie もBravo も。

色んな事が、一人で手一杯で中途半端に空中に浮かんでる状態なんだとしたら。


誰もが苦しくて悲しい今、言い散らかしの場外乱闘は見たくない。


ファンが知りたいのは、これから先のRIP SLYME。


それだけ。


過去形で語る言葉はいらない。


言えないのならば、黙ってすべき事に邁進して欲しい。


見せしめのように、大切なファンの言葉を拾い上げて、ふるいにかけるのはやめて。


今まで徹底して『明るく楽しいRIP SLYME』を演出してきたのなら、最後まで貫いて欲しい。



とても悲しい事だけど、PES君はきっとこのキャラクターのままではいられない。


今までの飄々とした天邪鬼な発言も、先回りのガードも当たりが強すぎる。


ただ


それをなくしても作りたいものがあるのなら。


誰かを傷つけても、やりたい事があるなら。


それを理解したいと思う。







組んず解れつのやんちゃな子供の様な姿と、年齢を重ねたカッコ良さ。いつもいつも絶妙なバランスを保って完璧に見事に見せてくれてたRIP SLYME。



ただ、やっぱり


そんな5人のステージをいつかまた見られる日が、来て欲しい。



もちろん、それが一番嬉しい事だから。