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   トピックⅠ 2022年の法改正 その1
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2022年1月より、労務関連法制の法改正が予定されています。
今まで大企業のみ義務だったものが
今後、中小企業も対象となってくるものなどがあります。

今回は、今後の主な法改正について確認していきます。
なお改正項目が多いため、今回と次回、
2回に分けての説明となります。

□ 2022年1月からの主な法改正


労務関連法制の主な法改正は下記の通りです。

 ● 2022年1月
 ・健康保険法 傷病手当金の支給期間の見直し
 ・健康保険法 任意継続被保険者の見直し
 ・雇用保険法 高年齢被保険者の特例

 ● 2022年4月
 ・育児介護休業法 有期労働者の要件緩和 等
 ・女性活躍推進法 一般事業主行動計画策定義務
 ・労働施策総合推進法 パワハラ防止措置の義務化
 ・厚生年金保険法 在職中の年金受給の在り方の見直し
 ・国民年金法 年金手帳の廃止

 ● 2022年10月
 ・社会保険の適用拡大
 ・育児休業中の社会保険料免除見直し
 ・育児介護休業法 子の出生直後の育児休業の創設
 ・育児休業の分割取得

今回は、1月と4月の内容について説明していきます。


□ 2022年1月 各法改正の説明

●傷病手当金の支給期間の見直し
健康保険の傷病手当金の支給期間が変更となります。
現在:支給開始日より最長1年6か月
         ↓

改正後:支給開始日から支給期間を通算して最長1年6か月

今までは支給開始後、途中で復職し、
再度休職をして傷病手当金を受給した場合、
復職の期間も1年6か月に含めていました。
今後は、復職した期間等の不支給の期間は
1年6か月に含めず、支給期間を通算して計算します。

例えば、がんの治療では、入退院を繰り返すため
出勤できたり、出勤できなかったりが続きます。
現行制度では「支給開始日」は変わることはありませんので、
1年6か月の間に途中出勤できた期間分は不支給となる一方、
1年6か月を超えた日以降に入院等で勤務できなかった期間は
支給の対象になりませんでした。

今回の法改正によって支給日数のみを通算することになるので
改正前よりも受給可能期間が延びるということです。

厚生労働省 ~傷病手当金について~
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000619554.pdf


●任意継続被保険者の見直し
健康保険の任意継続とは、
被保険者が退職後2年間
退職前に加入していた健康保険の被保険者になれる制度です。
法改正により、下記の2点が変更となります。

1. 資格喪失
現在は一度、任意継続に加入すると、
原則2年の間資格喪失できないものになっていました。

現在:原則2年加入

         ↓
法改正後:被保険者からの申請による資格喪失を可能とする

今後は、保険者に資格喪失を申し出た場合において
その申出が受理された日の属する月の末日が到来したときに
被保険者資格を喪失します。

2. 任意継続被保険者の保険料(協会けんぽは対象外)

現在、保険料は以下の①②のうち
「いずれか低い方に保険料率を乗じた額」となっています。
①従前の標準報酬月額
②当該保険者の全被保険者の平均の標準報酬月額※
※健保組合が当該平均した額の範囲内において
規約で定めた額がある時は、その額

今後は、健康保険組合では規約により、
1が2を超える任意継続被保険者について
1(高い方)をその者の標準報酬月額とすることが
できるようになります。


●高年齢被保険者の特例
雇用保険は、1か所でしか加入できず
1事業所で1週間に20時間以上の所定労働時間がある者が
加入することになっています。
しかし昨今では、マルチジョブホルダーとしての働き方が
65歳以上の労働者について相対的に高い割合で増加しており、
このような労働者が雇用保険からこぼれおちているケースが
増えてきました。
※「マルチジョブホルダー」複数の事業主の下で就業している者。兼業者

そこで今後は、兼業や副業に対応し、
65歳以上の者を対象として、2つの事業所の労働時間を合算して
適用する制度を試行することとなりした。

現在:1事業所で1週間に20時間以上の所定労働時間で判断
         ↓

法改正後:65歳以上の者を対象とし、
       本人の申出を起点として2つの事業所の労働時間を合算

この制度の対象者となる要件は次のとおりです。
(雇用保険法第 37 条の5第1項各号)。
1. 2つ以上の事業主の適用事業に雇用される 65 歳以上の者
2. 上記1のそれぞれ1つの事業主の適用事業における
   1週間の所定労働時間が 20 時間未満
3. 上記1のうち2つの事業主の適用事業における
   1週間の所定労働時間の合計が 20 時間以上

 厚労省リーフレット 「事業主の皆様へ~マルチジョブホルダー制度」
 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000838542.pdf

 ※より詳しく※
厚生労働省 ~高年齢被保険者の特例 概要~
 https://www.mhlw.go.jp/content/11601000/000795630.pdf