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トピックⅠ 腰痛の労災認定
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仕事で腰を痛めたので、労災として申請したい、
というご相談をお受けすることがあります。


一般的に労災認定を受ける為には、
業務とケガ・病気との間に因果関係が必要ですが、
腰痛の労災認定は通常よりも難しいと言われています。


なぜなら、腰痛の場合、本当に業務が原因なのかどうか
特定するのがかなり難しいからです。


《例》・もともと腰痛が持病であった場合
・日常的な動作や生活習慣等が主原因で
たまたま業務中に発症した場合 等


労働者に発症した腰痛が業務上のものかどうか判断するために、
次のような「業務上腰痛の認定基準」が
厚生労働省により定められています。



■腰痛の労災認定要件


腰痛を次の2種類に区分して、
それぞれの認定要件が定められています。


【災害性の原因による腰痛】


負傷などによる腰痛で、
次の①、②の要件をどちらも満たすもの


①腰の負傷またはその負傷の原因となった急激な力の作用が、
仕事中の突発的な出来事によって生じたと

明らかに認められること


※俗にいわれる『ぎっくり腰(急性腰痛症)』は
日常的な動作の中で生じるので、
例え仕事中に発症したとしても、
発症の原因となる動作や姿勢が異常なものと認められなければ、
労災の補償対象とはならないので注意が必要です。


②腰に作用した力が腰痛を発症させ、
または腰痛の既往症・基礎疾患を
著しく悪化させたと医学的に認められること



【災害性の原因によらない腰痛】


突発的な出来事が原因ではなく、
重量物を取り扱う仕事など
腰に過度の負担のかかる仕事に従事する労働者に発症した腰痛で、
作業の状態や作業期間からみて仕事が原因で発症したと認められるもの


なお、腰痛は
加齢による骨の変化によって発症することが多いため、
骨の変化を原因とした腰痛が労災補償の対象と認められるには、その変化が
『通常の加齢による骨の変化の程度を明らかに超える場合』 に限られます。



■会社の安全衛生管理面からみた腰痛の防止責務


業務上の腰痛の防止することは
日頃の会社の安全衛生管理にもかかわってきます。


(1)健康診断・腰痛健診


雇入れ時及び原則1年に1回定期的に
従業員の健康状態を確認することが大切です。


雇入れ前から腰痛の持病があったのであれば、
労災として認定されることが容易ではなくなります。
(但し、持病の腰痛が業務上の原因により悪化した場合に

労災の認定が全くなされないわけではありません。
次のQ&Aも参照ください。)


特に重量物を取り扱うような業務の場合は、雇入れ時に
『腰痛等で日常生活に負担を感じることはないか』、
『会社に業務上配慮してほしいことはないか』、
腰痛健診として確認し、記録を残しておきましょう。


●【腰痛健診のチェックポイント】

・業務歴及び既往歴(腰痛に関する病歴とその経過)の調査
・自覚症状(腰痛、下肢痛、下肢筋力減退、知覚障害等)の有無の調査


また、次にご紹介する「職場における腰痛予防対策指針」も
健康診断にお役立てください。



(2)職場における腰痛予防対策指針


厚生労働省は平成6年に
『職場における腰痛予防対策指針』(当時は労働省)を策定し、
職場における腰痛予防のための具体的対策を示しました。


その後、高齢者介護などの社会福祉施設での
腰痛発生件数が大幅に増加している状況等を受け、
平成25年6月には、指針内容が改定されました。


腰痛の発生が比較的多い作業の対象を拡大し、

一般的な腰痛の予防対策のほか、

以下の5の作業における腰痛の予防対策を示しました。


①重い荷物を扱う作業
②腰に負担がかかる動きを伴った立ち作業
③腰に負担がかかる動きを伴った座り作業
④車両運転等の作業(建設重機や長距離トラックの運転 等)
⑤福祉・医療分野における介護・看護作業


またその中で、人力による重量物の扱いについて、
男性なら体重の40%

(女性は男性が取り扱うことのできる重量の60%位まで)
を限度として、それ以上の重量物は制限すべきとしています。


この『腰痛予防対策指針』は通達の為
強制力はありませんが、腰痛を予防するための、
会社の安全衛生管理の目安とすることができます。


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厚生労働省リーフレット『腰痛の労災認定』
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/111222-01.html

職場における腰痛予防対策指針
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/youtsuushishin.html

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