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トピックⅠ 仕事中にケガをしたら ①
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普段、風邪を引いたり行楽中にケガをした時、
病院の窓口で健康保険証を提示して受診しますね。
皆様が毎月保険料を納めている
健康保険・国民健康保険で
仕事以外の傷病に対する医療費が
カバーされているからです。
では、仕事中や通勤途中に
病気やケガをした場合はどうでしょうか。
仕事に起因する負傷や疾病の場合、
『労働者災害保険』(以下『労災保険』)を使用して治療を受けます。
しかし、労災保険が適用になることを知らなかったり、
またはうっかり健康保険証を提示して
病院等で治療を受けるケースが多く見られますが、
労働災害による疾病の治療に
健康保険を使うことができません。
労災保険と健康保険はシーンによって
区別して使用しなければなりません。
通常、
労災保険の方が補償内容が手厚くなっています。
また、労災であるのに健康保険を使用している場合は、
労災隠しに該当するとして、
処罰されてしまうこともあります。
労災保険が適用される労働災害は、
業務災害と通勤災害の2つに大別できます。
今号と次号では、仕事に起因する労働災害
=「業務災害」についてポイントを確認して、
労災保険を適正に活用しましょう。
■業務災害
使用者の支配・管理下において
労働を提供する過程で、
業務が原因で起きた
負傷・疾病・障害・死亡を指します。
■労働基準法と労災保険の関係
労働基準法では、
労働者が業務上負傷し、
疾病にかかり、または死亡した場合の
会社の補償責任を規定しています。(第8条)
会社には、
従業員に安全な環境で仕事をさせるよう
安全配慮義務があるからです。(信義則 及び 労働契約法5条)
※業務上における義務であるので、
労働基準法上では通勤災害について
会社に補償責任はありません。
この災害補償責任をもとに、
労働者は会社に補償を請求することができます。
労働基準法は、
同法に規定する災害補償の事由について
労災保険法に基づき給付が行なわれる場合は、
会社は災害補償責任を免れると規定しています。(第八十四条)
つまり、
労働基準法において、
会社が責任を負っている療養補償等の支給を
政府が代わりに行う仕組みになっています。
現行の制度で、
労働基準法による使用者の災害補償責任が
現実に機能する場面は、非常に限られています。
(休業最初の3日間の休業補償 等)(後述)
■保険給付の種類 ■
I. 療養補償給付
【療養補償給付たる療養の給付の請求】
被災労働者が
労災病院や労災指定病院等において、
けがや病気に必要な治療などを
無料で受けることができる給付です。
診療を受ける際に、忘れずに
労災保険を使用したい旨を申し出ましょう。
事前にもしくは後日できるだけ早く、
療養を受けている労災指定医療機関等に、
『療養補償給付たる療養の給付請求書』を
提出します。
薬剤の支給も療養補償給付に含みますが、
院外の調剤薬局で薬の処方を受ける場合、
病院に提出する以外に
別途療養の給付請求書が必要となります。
ですので、請求書は2部準備してください。
【療養補償給付たる療養の費用の請求】
労災病院または労災保険指定医療機関で
受診できなかった場合は、
いったん治療費等を窓口にて全額立て替え払いします。
後日、
領収書を添付して、
『療養補償給付たる療養の費用請求書』を
労働基準監督署へ提出することにより、
かかった費用が後日指定口座に振り込まれます。
【給付期間】
療養補償給付は、被災労働者の傷病が
治ゆするまで行なわれます。
もし、被災後に離職していたとしても
退職後も治ゆするまで給付が実施されます。
II. 休業補償給付
業務上の災害により
労務不能となって仕事を休んだ場合、
休業4日目以降 休業1日につき
給付基礎日額の80%を支給されます。
(うち20%は特別支給金)
休業開始から最初の3日間は
待機期間として扱われ、
労災保険の休業補償給付は支給されません。
しかし、業務災害の場合は、
労働基準法の定めにより
この3日間の休業補償(60%)を
会社が補償することになっていますので、
忘れず支払う必要があります。
休業が長引く場合は、
通常、1ヶ月ごとに1枚の
休業補償給付請求書を
医師に労務不能であった証明を記入してもらって
労働基準監督署へ提出します。
III. 傷病保障給付
療養開始から1年6ヶ月経過しても
治らず傷病等級(1~3級)に該当した場合に
年金で支給されます。
IV. 障害補償給付
傷病が治ゆした後に
一定の障害が残った場合、
・障害等級1~7級は年金、
・障害等級8~17級は一時金
が支給されます。
V. 介護補償給付
障害が残り介護が必要となった場合、
介護費用が支給されます。
VI. 遺族補償給付
業務災害により従業員が死亡した場合、
原則年金で支給されます。
VII. 葬祭補償給付
業務災害により従業員が死亡した場合、
葬儀を行う者に支給されます。
■その他業務災害特有の注意事項
・ 死傷病報告の提出を忘れずに
業務災害により労働者が
休業したり死亡した時は、
会社は労働基準監督署に
労働者死傷病報告を提出することが義務付けられています。
(労働安全衛生法・労働安全衛生規則 第97条)
労働者が4日以上休業した時、死亡した時は遅滞なく、
労働者の休業が4日未満の時には、
4日未満の労災事故を3ヶ月分取りまとめたものを提出します。
提出が遅れると遅延理由書を提出されられることがありますので
注意しましょう。
・ 解雇制限
業務災害により療養する期間、
及び療養後30日間は原則解雇してはならないと
規定されています。(労働基準法 第19条)
※但し、療養開始後3年経過時点で
負傷または疾病がなおらない場合において、
会社が打切り補償を行った場合
又は傷病補償年金を受けている場合、解雇制限はありません。
(労働基準法 第81条、労災法 第19条1項)
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「労災保険給付の概要」
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/040325-12.html
「労働者死傷病報告の提出をお願いします」
http://nagano-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/library/nagano-roudoukyoku/_new-hp/1news_topics/kantokusyo_oshirase/8ina/8shisyoubyouhoukoku.pdf
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