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   トピックⅡ ここが知りたい! Q&A
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Q1.退職勧奨の話し合いの注意点で、
執拗な退職勧奨は行わないとありますが、
具体的には何回までは許容されるのでしょうか。



A1.
退職勧奨を何度も執拗に行うと、
違法性が高くなります。
個別事情によるので、『何回以上だと違法』とは
はっきりと決められていません。


下記に過去の裁判例をご紹介致しますので参考にしてください。



■下関商業高校事件 最高裁 昭和57年7月10日


【事実概要】

市教育委員会Yは、男性教諭Xらに対して、
2~3年にわたり退職を勧めてきたが、
Xらは応じなかった。


その後AはXらに対して3~4ヵ月の間に、
11~13回にわたり市Yへの出頭を命じ、
20分~2時間にもおよぶ退職勧奨を行った。
その際Yは、退職勧奨を受け入れない限り、
Xらが所属する組合の要求に応じないと述べたり、
提出物を要求したり、配転をほのめかした。


Xらは、これら一連の行為は違法であり、
精神的苦痛を受けたとして、
損害賠償の支払いを求めて訴えを起こした。



【判旨】

・退職しないという意思が明らかにされた場合は、
新たな条件を提示するのでもない限り、
一旦勧奨を中断して時期をあらためるべきである。


・また、多数回あるいは長期にわたり
勧奨が行われることは、
正常な交渉が積み重ねられているのでない限り、
違法性の判断の重要な要素になる。


・さらにXらが退職するまで勧奨を続ける旨の
発言を繰り返し述べたことも許されない。


これらの点が、退職勧奨として許容される限界を超えていたと判断され、
Xらの損害賠償は認められました。


裁判所 裁判例情報 『下関商業高校事件』
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=64194



■全日本空輸事件 大阪高裁 平成13年3月14日
(解雇も絡んだ事例)


【事実概要】
XはY社で客室乗務員として勤務していたところ、
労働災害に遭い、約4年間休職していた。

復職後、復帰者訓練を受けたが、
模擬演習で3回不合格と判定された。


YはXに退職を求める行為を繰り返し、
職場では、時には約8時間に及ぶ面談が行われた。
その際、管理職らがXに対し
「CAとしては無理」「寄生虫みたいだ」
「新入生以下のレベル」といった発言があった。


更に上司らはXの家族のもとにも出向き、
「退職するように説得して欲しい。」等と告げていた。


Y社はXが就業規則の解雇事由に該当とするとして、
解雇通告をした。


これに対しXは
Y社による解雇及び退職強要が
Xの人格権を侵害する不法行為に該当するとし、
損害賠償請求を提起した。



【判旨】
・退職勧奨の面談が、
約4か月間にわたり、30回余りも行われ、
その中には約8時間もの長時間にわたるものもあった。


・面談中Xに対して上述の暴言があったほか、
大声を出したり、机を叩いたりした。


・かかるXに対するY社の対応は、
頻度、面談時間の長さ、言動が、
社会通念上許容しうる範囲を超えており、
単なる退職勧奨とはいえず、
違法な退職強要として不法行為となる。


以上のように判断し、Y社への損害賠償請求を認めました。


裁判所 裁判例情報 『全日本空輸解雇事件』
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail6?id=18853


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