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トピックⅠ 会社の営業秘密を守る
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昨年
大手教育出版社から
会社の営業秘密である
氏名・生年月日・住所・電話番号等の
約3000万件という大量の顧客情報が外部へ流出し、
同社の関連会社へ勤務していた(派遣)従業員が
不正競争防止法違反(営業秘密の複製と開示)
容疑で逮捕される事件があり、
社会で大騒ぎになりました。
同社は顧客に対し
謝罪として金券を配布する等
260億円を拠出したものの、
対応に誠意がないと批判を受け、
現在顧客による集団訴訟の
準備が進められている旨の報道がなされています。
会社の営業秘密を従業員が保持した場合に
どのような義務を負うか、
また、会社として、営業秘密の流出をさせないために
雇用管理上ではどのような配慮が求められるか、
周辺の法律ではどのように規定されているのか
について確認してみましょう。
■従業員の守秘義務
労働者には労働契約上当然の内容として
その職務中あるいは、
会社において知り得た秘密を他に漏洩してはならない義務
(守秘義務/秘密保持義務)
があるとされています。
<判例>労働契約内に従業員の機密保持義務を肯定
東京高裁 昭和55.2.18
【事実】
機密性の高い文書である3カ年計画書を
外部に持ち出し漏洩した従業員を
就業規則規程「業務上重要な秘密を社外に漏らした」
に該当するとして懲戒解雇に付したところ、
当該従業員が不当労働行為であると主張して提訴した。
【判旨】
「労働者は労働契約にもとづく付随的義務として、
信義則上、使用者の利益をことさらに
害するような行為を避けるべき責務を負うが、
その一つとして使用者の業務上の秘密を
もらさないという義務を負うものと解される。
信義則の支配、従ってこの義務は
労働者すべてに共通である。」として、
会社の懲戒解雇を認めた。
このように、
従業員が守秘義務に違反した場合、
会社が就業規則に基づく懲戒処分、
解雇、債務不履行・不法行為に基づく損害賠償請求 等
を行える可能性はありますが、
実際にどこまで認められるかは
個別の事情によることになります。
■不正競争防止法の規定による営業秘密の保護
不正競争防止法は、「営業秘密」を保有する
事業者から営業秘密を示された場合に、
不正の利益を得る目的又はその事業者に損害を加える目的で、
その営業秘密を使用又は開示する行為を、
「不正競争」として規制しています。(第2条1項7)
会社から営業秘密を示された従業員もこれに含まれます。
従業員がこのような不正競争に該当する行為を行った場合、
会社は従業員に対し、
・差止め
・損害賠償
・信用回復措置
の請求を行うことができます。
さらに、要件を満たすような場合には、
この従業員に対して、
営業秘密侵害罪として、
10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金
又は併科という刑事罰が科されます。(第21条1項)
ただし、会社として守りたいと考えている情報が全て
「営業秘密」に該当するとは限りません。
ここでの「営業秘密」とは
以下の要件を満たしたものになります。(第2条6項)
①秘密として管理されていること(秘密管理性)
②有用な営業上又は技術上の情報であること(有用性)
③公然と知られていないこと(非公知性)
ですので、会社としては
営業秘密としての保護を受けたい場合、
会社内で予め適切な秘密管理が
行われていることが必要です。
雇用管理上配慮できることを次に挙げてみましょう。
■雇用管理上配慮できること
①就業規則等における秘密管理体制、諸規程の整備及び運用
・従業員への意識付けの教育
・情報漏洩の禁止、制裁の就業規則への規定
・情報管理体制の構築
・情報取り扱い方法の整備
・情報アクセス管理対策
・保管場所・保管方法 等
②秘密保持契約を交わす
入社時、営業秘密を扱う部署・地位に登用した際、
退職時等に秘密保持契約を交わします。
内容は、
・対象となる秘密情報の範囲
・秘密保持義務および付随義務
・秘密保持期間
・例外規定
・義務違反の場合の措置
等といった内容になります。
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詳しくはこちらから
経済産業省『営業秘密の不正取得について』
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/slide6-ver_10.pdf
『営業秘密管理指針』
http://www.meti.go.jp/policy/economy/chizai/chiteki/pdf/slide1-ver_10.pdf
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