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トピックⅡ ここが知りたい! Q&A
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Q1.入社後半年を経ていない従業員が
体調不良による欠勤が増えているので本人に確認したところ、
うつ病を発症しており体調が悪い日があるとのことでした。
実は、以前の会社で働いていた頃から
うつ病を発症していたそうです。
入社の際は、健康診断書を提出してもらっており、
その中で病歴の既往欄は無記入でした。
選考中に病歴を隠していた(経歴詐称)ことになるので、
これを理由に解雇を考えていますが 可能ですか。



A1. 非常に難しい問題です。


過去の心の病歴を隠していたとしても、
うつ病歴自体が現在の業務遂行に直接支障を及ぼしているとは
一般的に捉えられません。


就業規則の懲戒事由に、
入社時の経歴詐称等の虚偽の記載が明確にある等
明確な根拠があれば解雇は不可能ではないですが、
いざこれを理由に解雇をすると、
解雇権濫用として解雇無効になる可能性もあります。
また 本人より不服として民事的な訴訟に発展するリスクも考えられます。

『履歴の詐称の疑い』との旨を指摘して退職勧告にとどめるなど、
できるだけ解雇を避ける解決方法をお勧めします。



【経歴詐称とは】

労働者が入社の際に学歴・職歴・資格・犯罪歴などの事実を偽り
真実を告知しないことをいいます。


経歴詐称は、信義則義務違反や
従業員に対する会社の判断を時に大きく誤らせることにつながり、
雇い入れ後の配置・人事管理等など、
企業の秩序や運営に変更・支障を生じさせるおそれがあるとして、
懲戒事由となりうるとされています。


経歴詐称による懲戒解雇の有効性の判断は、
『重大な経歴の詐称』であるか否かという点で行います。

つまり、従業員の適正配置、人事管理等の秩序に混乱を生じ、
会社との信頼関係が破壊される結果、
雇用関係を継続し難いと認められるような内容であり、
①経歴詐称部分が事前に発覚していれば雇用しなかった
②社会通念上・客観的にも①のように認めるのが相当
な「重大な経歴詐称」であった場合は、
懲戒解雇もやむを得ないとされているのです。


病歴の秘匿の場合も、
懲戒解雇が認められるためには、
『重大な疾病で、
労働力評価や適正配置を誤らせるようなものであり、
そのような病歴を知っていたならば
採用しなかったであろうといえるようなもの』
であることが必要とされています。



【事例】視覚障害の秘匿が解雇事由に該当しないとした判例

重機の運転を希望する者が、
視力障害があるのにもかかわらず、
履歴書の健康状態の欄に「良好」と
記載していた場合について、
視力障害は総合的な健康状態の良し悪しには直接関係せず、
持病とも言いがたく、視力障害が
具体的に重機運転手としての不的確性をもたらすとはいえないとして、
障害があることを告げずに雇用されたことが、
懲戒解雇事由ないし普通解雇事由に該当するとまではいえない
(サン石油(視力障害者解雇)事件 札幌高判平成18・5・11)



病歴(経歴)虚偽申告や秘匿、採用前受診拒否が
採用取り消しや解雇対象となる得ることを
はっきり伝えておくことは、
このような事態発生への抑止力になることと考えられます。


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二十一世紀総合研究所へお問い合わせください。

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