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 トピックⅠ 従業員を心の病から守る
      会社のメンタルヘルスケアの取り組み ⑤
      『採用時のメンタルヘルス対策』
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連続で
会社のメンタルヘルスケア対策の取組みについて
取り上げています。


さて、入社した直後に新入社員がうつ病を発生し、
会社を休みがちになってしまっている、とか
すぐにやめてしまったという話を聞くことがあります。

こういった場合、補充・増員により
既存の従業員の負担を減らすはずだったのが
むしろ負担増になってしまった、
職場の規律が乱れてしまった、というケースにつながりがちです。


予算・労力をかけて採用するのですから、
後悔のない人物に入社してほしいと思うのは自然です。


精神疾患だけが問題になるわけではありませんが、
心の病は再発が多いと言われています。

事前に情報があれば、採用を見送る
もしくは入社後の労務管理に活かして
リスク管理をすることができます。



■採用の自由


会社は「採用の自由」を有するとされています。
民法の基本原則の中に
経済活動の一環としての契約締結の自由が保障されているからです。


自己の営業のためにどのような者を
どのような条件で雇うかについては、
法律その他による特別の制限がない限り
原則として自由に行うことができます。


労働基準法3条に、
『国籍、信条、社会的身分を理由とする
労働条件の差別的取扱いを禁止』とあります。
これは雇入れ後の労働条件の差別的取扱いを禁止する規定なので、
雇入れそのものにおける労働条件の
差別的取扱いを規制する規定ではありません。


したがって、原則として採用過程で採用希望者の
「心の病」等の病歴が判明した場合に、
それを理由として採否を決めることは不可能ではありません。



■面接・選考で確認


採用時の健康面のチェックは、
入社後の安全配慮義務の履行を考える上でも
重要なことといえます。


「心の病」の既往歴を確かめる手段として、
面接等の段階でメンタルヘルス疾患歴の有無を尋ねたり、
適性検査を兼ねた簡単な調査を行うことが考えられます。


面接では
職務経歴や前職の退職理由を口頭で述べてもらい、
本人の視線の動きや姿勢・話し方の変化を見てみましょう。
メンタルヘルス不調を現に持っている方は
朝の状態が悪いことがしばしばあるので、
面接時間を朝に設定してみることも一つの方法です。


また、メンタルヘルスに関するものだけではなく、
直近および数年前の健康状態も確認し、
併せて日常生活の状況も確認するといいでしょう
(喫煙・飲酒・生活習慣病につながるような生活スタイル 等)。


厚生労働省「こころの耳」
サイト内にストレスチェックシートが
掲載されていますので活用ください。
http://kokoro.mhlw.go.jp/index.html



■注意点


メンタルヘルスは極めてプライベートな要素が強いので、
確認の際は細心の注意を払わなければなりません。


厚生労働省は、平成24年に
『雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン』を告示しました。


このガイドラインによると、
雇用管理に関する個人情報とは
『労働者等の雇用管理の為に収集・保管・利用する個人情報』のことであり、


ここでいう『労働者等』には
従業員やかつて従業員だった人(退職者)だけでなく
求人に応募してきた人も含まれています。

また、『個人情報』とは病歴・収入・家族関係等
機微に触れるものも含めた当該者に関する全ての情報を指しています。


そして、この『個人情報』を利用する為には
『利用の目的を可能な限り具体的に特定しなければならない』
としています。



『具体的』とは一体どの程度のことなのでしょうか?


採用活動を想定して解釈しますと、
応募者の情報が最終的にどのような目的で利用されるのか、が
応募者本人に想定できる程度であり、
会社の円滑な運営に必要な内容か否かをめぐって
事業主と応募者の間で争いにならない程度に明確にするように、
とあります。


ですので、心の病を含む病歴に関しても、
面接等で質問する際は
理由と目的を明らかにして本人の同意を得た上で行うことが大切です。

・会社には労働者に対する安全配慮義務があること、
・入社予定者(労働者)は健康を保持して労務を提供する義務があること
から、採用時の心の病の既往歴を含む健康チェックは
採否の判断において重要であることを十分に説明し、
理解してもらった上で行うようにしましょう。


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【参考】厚生労働省 
『雇用管理分野における個人情報保護に関するガイドライン』
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudouzenpan/privacy/index.html


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