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トピックⅠ 解雇を行う場合の注意点
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Express21 Vol.102では、
従業員に対して行う懲戒処分についてご紹介しました。
その中で「懲戒解雇」についても取り上げましたが、
「解雇」に関して従業員とトラブルに発展するケースが
実は大変多いのです。
平成26年7月現在、東京労働局管内には
20ヶ所の総合労働相談コーナーが設けられています。
(~平成26年3月までは21ヶ所)
平成24年度に約11万件の相談が寄せられましたが、
内容の内訳は次のようになっています。
・解雇に関するもの 21%
・いじめ・嫌がらせに関するもの 20%
・労働条件の引き下げに関するもの 12%
・退職勧奨に関するもの 11%
・雇い止めに関するもの 7%
(出典:東京労働局発表
平成24年度個別労働紛争解決制度の施行状況について)
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0108/6385/2013719174626.pdf
会社が従業員との労働契約を
一方的に終了させてしまう「解雇」。
慎重な考察、決定、対応が必要とされていますが、
「解雇」にもいくつかの種類があり、厳格なルールがあります。
今号でご紹介しましょう。
■解雇の種類
①懲戒解雇
前号で取り上げたものです。
従業員が職場秩序を著しく乱した場合に
懲戒処分として課す
最も重いペナルティーです。
②普通解雇
懲戒解雇・整理解雇に含まれないものをいい、
勤務成績や能率が悪く改善の見込みがない場合や、
心身の傷病で労務が提供できないと判断される場合に
行われるものです。
③整理解雇
会社の業績が不振となった時に、
経費の削減の目的から
人員整理をする為に行われます。
ただし、『整理解雇の4要件(要素)』を
総合的に考慮することが必要と考えられています。
『整理解雇の4要件(要素)』
過去の判例・実績より理論として確立されています。
・人員整理の必要性
・解雇回避の努力
(がなされたか。解雇以外に方法がのこっていないか)
・人選基準の合理性
・手続の妥当性(対象者・労組への統一的な説明・協議・同意)
■解雇が制限される場合
①業務上の傷病の為の療養休業中
及び休業明け30日間(労基法19条)
【例外】業務上の傷病の場合の休業について、
労働基準法81条に規定する打切補償を支払った時。
療養中の従業員が療養開始後3年を経過しても
傷病が治癒しない場合においては、
平均賃金の1200日分の打切補償を
支払うことによって解雇制限が解かれます。
②女性が産前(6週間)産後(8週間)の休業中、
及び休業明け30日間(労基法19、65条)
③就業規則に規定する解雇事由に該当しない場合
就業規則には、解雇事由の記載が義務付けられています。
裁判例でも就業規則に定められていない
理由による解雇は無効とされる場合がほとんどです。
労使当事者間において
どういう場合に解雇されるかをわかりやすくするため、
就業規則に「退職に関する事項」として
「解雇の事由」を記載する必要があることが、
労働基準法89条上で明確にされています。
ですので、想定される解雇事由を
できる限り多く列挙することが望ましいでしょう。
■解雇の事由としてはいけないもの
①国籍、信条、社会的身分を事由とするもの。
②従業員が会社の労働基準法や労働安全衛生法の違反の事実を、
労働基準監督署等に申告したことを事由とするもの。
③育児休業・介護休業を申し出たこと、したことを事由とするもの。
④女性従業員が結婚、妊娠、又は出産したことを事由とするもの。
⑤従業員が労働組合の組合員であること、
労働組合に加入し又は結成しようとしたことを事由とするもの。
■解雇権濫用の禁止
労働契約法第16条で、
「解雇は客観的に合理的な理由を欠き、
社会通念上相当であると認められない場合は、
その権利を濫用したものとして、無効とする」
と定められています。
これまで積み重なった判例法理が
平成20年3月1日に施行された労働契約法で
改めて明文化されたものです。
実は、解雇に関する裁判は
従業員の権利を保護するような判断が多く、
解雇するには社会的に納得されるような理由が必要なのです。
今後、解雇トラブルを防止するためにも、
解雇理由が抽象的なものとならないよう、
日頃より従業員に対しての改善や指導記録を保存し、
解雇の理由と裏付けとなる事実を
慎重に準備しておくことが大切です。
■解雇予告手当
労働基準法20条にて、
解雇の予告は少なくとも30日以上前に行い、
解雇の予告をしない時は、
解雇予告手当として30日分以上の平均賃金を支払う
とされています。
この解雇の予告日数は、
1日について平均賃金を支払った場合は短縮できます。
例えば、
10日分の平均賃金を解雇予告手当として支払うと、
20日後の解雇予告をすることができます。
【例外】次の場合は解雇予告手当を必要としません。
・天災事変その他やむを得ない理由があって、
事業を継続できない時
・従業員の責めに帰すべき理由がある時で、
労働基準監督署の認定を受けた時
これは懲戒解雇に該当するような場合を指します。
ただし、会社内で横領をした時や、
2週間以上無断欠勤を続けて出勤の督促に応じない等の
ごく限られたケースです。
したがって解雇のほとんどのケースは
解雇の種類に関係なく
解雇予告、解雇予告手当が必要となってきます。
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