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トピックⅠ 労働時間の適正管理
「事業場外みなし労働時間制」の正しい理解
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前回Vol.84に引き続き、
「労働時間の適正管理」をメインテーマに
今号では、「事業場外みなし労働時間制」
をご紹介します。


労働基準法第38条に、


「労働者が労働時間の全部又は一部について
事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を
算定しがたい時は、所定労働時間労働したものとみなす」


とあります。


この「事業場外みなし労働時間制」を
外回り営業職等の従業員に対し
適用する旨就業規則に規定していたり、
これから導入しようと
お考えの方も多いかと思います。


しかし実際に「事業場外みなし労働時間制」が適用できるのは
厳しい要件を満たした、ごく限られた場合のみなのです。


皆様の会社では、
正しく理解、運用ができていますか?
この機会にぜひ確認してみてください。



■対象となる業務


 営業の出張、記者の取材活動、保険の外交セールス等のように
 1日の大半を社外で労働するために

 労働時間の計算が難しい業務の人を対象とすることができます。


 ※在宅勤務については、厚生労働省のガイドラインが示されています。
  (平成24年)


■適用基準


 ①事業場外で業務の全部または一部が行われているかどうか。


 ②会社(使用者)の具体的な指揮監督が及ばず、
  労働時間を算定することが困難な業務であると判断されるか。


 ※適用されないケースについては、
   Q&Aで詳しく解説しましたので、ご参照ください。


■労働時間の計算方法


 ①所定労働時間(就業規則等で決められた労働時間)を
  労働したものとみなす。


  ⇒時間外労働は発生しないが、 
    実際の労働時間が所定労働時間より少ない場合でも、
    所定労働時間労働したとみなします。


 ②業務遂行のために通常の所定労働時間を
  超える時間を労働したとみなす。


  ⇒業務の遂行に必要と見込まれる時間が
   所定労働時間を超えるため、
   時間外手当が必要となります。


 <例>
  営業出張に客観的に通常10時間かかるのであれば、
  10時間労働したことになります。


 ③上記②の場合で労使協定により決めた時間を
   労働したとみなす。



 業務の遂行に通常必要であろう時間を決定するため、
 現実的に業務内容と必要な労働時間をよくわかっている
 従業員と会社間で話し合い、
 両者で決めた時間を労働時間と
 みなそうというものです。


 この労使協定は、
 一日の法定労働時間を超えた労働時間を協定した時は、
 労働基準監督署へ届出なければなりません。


 一日のうち、午前中は会社、午後は外回り営業をして直帰する、
 というような場合については、
 Q&Aをご参照ください。


■最高裁判決

 <残業代等請求事件(平成26年1月24日)>


 企画旅行の添乗業務に従事していた派遣労働者が
 時間外割増賃金等の支払いを求めた事案です。


 会社側は、
 ツアー添乗員は、労働時間を算定し難い業務にあたるとし
 所定労働時間を労働したものと主張しました。


  ・あらかじめ旅行日程通りに旅程の管理を行うこと
  ・ツアー実施中は携帯電話の電源を入れておき、
   必要な場合は上司の判断を仰ぐこと
  ・ツアー終了後は添乗日報を詳細に報告すること


 等が求められていたことから、
 これに従事する添乗員の勤務の状況を
 具体的に把握することが困難であったとは認めがたく、
 労働基準法第38条の2第1項にいう
 「労働時間を算定し難いとき」に
 当たるとはいえない、と判断されました。


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 【事業場外みなし労働時間制と長時間労働問題】


  労働時間をみなすことにより、
  いわゆる残業代を低く抑える手段として、
  ルーズに利用されることも多いことから、
  長時間労働の温床となる危険性があると
  指摘されています。


  NHKで毎週月曜~木曜に放映されている
  「クローズアップ現代」。
  2013年9月18日放送にて、みなし労働時間制の適用に
  疑問を投げかける事例が紹介されました。


 <内容>
  大手飲料メーカー子会社で
  営業マンとして働いていたKさん。

  Kさんの労働条件には
  事業場外みなし労働時間制が適用されていました。
  しかし実際は、
  この制度に当てはまる働き方ではありませんでした。

  その後、
  会社には労働基準監督署が調査に入り、
  事業場外みなし労働にはあたらないと判断され
  残業代不払いで是正勧告が出されました。


 「クローズアップ現代」2013年9月18日放送
 詳しい内容はこちらからご覧いただけます。
 (NHK クローズアップ現代 №3403)
http://www.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail02_3403_all.html


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Express21 で何度かお伝えしている通りですが、
厚生労働省では昨年より
長時間労働の是正を強化しており、
特に若者の使い捨てが疑われる離職率の高い企業に対し、
いわゆる「ブラック企業」として
重点監督を行っています。
制度を正確に理解、把握して、適切な運用することが
会社も従業員も守ることになります。
ご心配な点がありましたら、
二十一世紀総合研究所にご相談ください。



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ご参考まで

 【労働基準法38条の規定】


  労働者が労働時間の全部又は一部について
  事業場外で業務に従事した場合において、
  労働時間を算定しがたい時は、
  所定労働時間労働したものとみなす。
  ただし、当該業務を遂行する為には
  通常所定労働時間を超えて労働することが
  必要となる場合においては当該業務に関しては、
  厚生労働省令で定めるところにより、 
  当該業務の遂行に通常必要とされる時間
  労働したものとみなす。


 【2項】


  前項ただし書の場合において、
  当該業務に関し、当該事業場に、
  労働者の過半数で組織する労働組合があるときは
  その労働組合、労働者の過半数で組織する
  労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との
  書面による協定があるときは、
  その協定で定める時間を
  同項ただし書の当該業務の遂行に
  通常必要とされる時間とする。


 【3項】


  使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、 
  前項の協定を行政官庁に届け出なければならない。

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