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トピックⅠ 長時間労働のリスク
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Express21 Vol.76では
労働時間の適正管理の必要性について確認しました。
労働時間の適正管理を怠り、
長時間労働が常態化すると、
従業員の心身の健康障害を引き起こす
重大ファクターになることがあります。
長時間労働が原因で
従業員が健康障害を引き起こした場合、
労災事故に該当します。
それのみならず、
会社は被災者(従業員もしくはその遺族)から、
法的責任を追及される可能性があります。
次に長時間労働問題に関する
最近の報道からある記事をご紹介します。
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■平成12月13日付 毎日新聞
「居酒屋大手「和民」で働いていたMさん(当時26歳)が
過労自殺した問題で、Mさんの両親が9日、
和民を経営する「ワタミフードサービス」、
親会社「ワタミ」、
ワタミの社長だったW氏などを相手取り、
約1億5,300万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。
訴状などによると、
Mさんは入社3カ月後の2008年6月12日、
自宅近くのマンションから墜落して死亡した。
当時「和民」で働いており、
残業は月約141時間と、
国の定めた「過労死ライン」(月80時間)を超えていた。
原告側は
会社だけでなくW氏も被告とし、
懲罰的慰謝料を含めて賠償請求額を算定した。
代理人弁護士は記者会見で
「労働条件や勤務体制などは、トップが対応しなければ
変わらない。
賠償金を払えば済むという考え方を改めるために必要だ」
と説明した。
ワタミ側は
「和解のご提案をしてまいりましたが、
誠に残念ではありますが合意に至ることができませんでした。
訴状を確認のうえ、誠実に対応してまいります」
とのコメントを出した。
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上記は従業員の遺族が損害賠償請求を起こしたケースであり、
今後も注視していく必要があります。
■健康障害を引き起こすリスク
長時間労働を原因として発生する疾病は
大きく次の2つに分けられます。
①脳・心臓疾患 (脳出血、くも膜下出血、心筋梗塞等)
②精神障害
■長時間労働を原因とする労災認定基準
長時間労働を原因として認定される労災保険は
上記の2つで認定基準が異なります。
認定基準は複雑になるので
ここでは一部をご紹介します。
①脳・心臓疾患の場合
疲労の蓄積 発症前の長期間にわたって、著しい疲労の
蓄積をもたらす特に過重な業務に就労したこと
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評価期間 発症前おおむね6ヶ月
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労働時間の 発症前1ヶ月に時間外労働100時間
評価の目安 又は
発症前2ヶ月間ないし6ヶ月間にわたって
1ヶ月当たり平均80時間を超える時間外労働
が認められる場合は、
業務と発症の関連性が強いと判断されます。
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②精神障害の場合
評価期間 発症前おおむね6ヶ月 ※特例あり
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長時間労働が 【特別な出来事としての長時間労働】
ある場合の 発病直前の1ヶ月間におおむね
評価方法 160時間を超える時間外労働を行った場合
【出来事としての長時間労働】
発症直前の2ヶ月間に1ヶ月当たりおおむね
120時間以上の時間外労働を行い、
その業務内容が通常その程度の
労働時間を要するものであった場合
【他の出来事と関連した長時間労働】
業務上の出来事が発生した前後1ヶ月に
月100時間以上の時間外労働がある場合
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長時間労働を原因とする心身の健康障害に関する
労災認定の詳細基準については、
下記のURLをご確認ください。
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■会社が負う法的リスク
労災補償制度による補償には、
精神的損害(慰謝料)などは含まれません。
この理由から近年、
従業員(遺族)が会社に対し
労災認定とは別に、
会社の過失・安全配慮義務違反を問うて
民事訴訟を提起するケースが急増しています。
【労働安全衛生法】
<労災防止と快適な職場環境作り>
会社は、労働災害を防止するために、
労働安全衛生法で定められた最低基準を守るだけでなく、
快適な職場環境をつくり、労働条件を改善することで、
労働者の安全と健康を守らなければならない、
と定められています。
【労働契約法第5条】
<使用者の労働者に対する安全配慮義務を明文化>
使用者は労働契約に伴い、
労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ
労働することができるよう、
必要な配慮をするものとする。
⇒これは、メンタルヘルス対策も
使用者の安全配慮義務に当然含まれると解されています。
【その他~民法】
<判例の法的根拠>
民法第709条(不法行為責任)
民法第715条(使用者責任)
民法第415条(債務不履行)等
⇒使用者に多額の損害賠償を命じる判例が多数、存在します。