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トピックⅠ 労働時間の適正管理、できていますか?
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二十一世紀総合研究所ではスタッフ間では
毎週水曜夜10時より放映中のドラマ
「ダンダリン 労働基準監督官」の
話題で持ちきりです。


様々な会社の人事労務問題について、
コメディタッチに、時にシリアスに取り上げていて、
大変勉強になります。


“Express21”今号 では
「ダンダリン」第8話にちなんで、労働時間の適正管理
について今一度確認してみましょう!


■ストーリー概要


労働基準監督官のダンダリン(段田凛:人名)のもとに、
とあるメキシコ料理チェーン店で働く息子Aを持つ
母親から相談があった。


「一人ひとりの向上心を大切にする」という社風のもと、
業務時間外に頻繁に研修に参加し、
帰宅しても仕事に関する勉強をしている。
寝る暇も無くなったAはついに過労で倒れてしまった。


実は、研修に関する社内文書にはすべて、
「自由参加」と記載され、
あたかも従業員の自由意思で
参加しているような体裁をとっているが、
研修の社内文書を受け取った店長達は、
口頭で従業員に研修を強制していたのである。


そうしなければ店長達も店にいられなくなってしまう。
しかも会社側は、研修時間の賃金を支払っていなかった。

会社のやり方についていけなければやめるしかない。
Aは退職を考えるようになっていた。


ダンダリン達監督官は、事実を明らかにするため

店長会議で臨検を行うことにした。
そして店長会議の日、
店長達が立ち上がり社長と対峙する。

「若い社員をつぶしたくない、
大切に育てていきたい!」
その気持ちがついに社長に届くこととなった。


■労働時間


労働基準法上、労働時間とは、
休憩時間を除いた実働時間をさしますが、
労働者が現実に労働に従事している時間だけでなく、
会社の指揮命令下におかれている時間をいいます。


例えば、
労働者が具体的な作業に従事していなくても、
業務が発生した場合に備えて待機している時間
いわゆる手待時間も含まれると考えられています。
 ※販売店の店員が客を待っている時間、
  ビル管理会社従業員の仮眠時間 等


労働時間とは何たるかについて

示した以下のような最高裁の判例もあるので
ご参考にしてください。


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 参考【三菱重工業長崎造船所事件】 最一小判平12.3.9


 <事実>


 X社は就業規則にて、1日の所定労働時間を8時間とし、
 更衣室にて作業服への着替え、
 業務の事前準備、片付けを
 所定労働時間外(始業時刻前、終業時刻後)
 に行うよう定めていた。


 従業員Yらは、これらの行為に要する時間は、
 労働基準法上の労働時間にあたるので、
 所定労働時間外に行った一連の行為は
 時間外労働であるとし、
 割増賃金を請求する訴えを提訴した。 


 <判決の内容>


 労働基準法上の労働時間に該当するか否かは、
 労働契約、就業規則等の定めによらず、
 労働者の行為が使用者の指揮命令下に
 置かれたものと評価できるか否かで客観的に定まる。 


 労働者が就業を命じられた業務の
 準備行為等を事業所内で行うことを
 使用者から義務付けられ、
 作業服に着替える等を義務付けられた時は、
 その行為を所定労働時間外に
 行うものと(就業規則等で)されている場合も
 使用者の指揮命令下に置かれたものと
 評価できる。


 として、労働者側の主張を一部認めました。


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■研修時間は労働時間に含まれるか


では、
ドラマ「ダンダリン」8話で
取り上げられていた
研修と労働時間はどのような
関係であるか確認してみましょう。


一般に研修は参加が強制され、
業務性が明確なことから労働時間に含まれる
と考えられています。
 ※新入社員研修、営業研修、等


したがって、
研修を法定労働時間外に行う場合に、
研修が会社の強制で実施されるのであれば、
労働時間に該当し、時間外手当を支払う必要が
あります。


一方、参加が任意である研修の場合は、
労働時間とはなりません。


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 参考通達 【昭26.1.20 基収2875号】 
 
 使用者が行う教育への参加時間について
 就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる
 出席の強制がなく自由参加のものであれば、
 時間外労働にはならない


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ドラマ「ダンダリン」では、

研修参加を外見上あたかも
従業員の自由意思によるように
見せかけていましたが、


実は会社命令での強制参加でした。


したがって、
「研修時間は労働時間であり、法定労働時間外の研修は
 時間外手当が発生します」


と、ダンダリン達労働基準監督官は、
研修時間分の時間外手当を支払うよう
命じました。


よくあるその他のケースとして
労働時間に含まれるの?含まれないの?
については
次のトピックⅡ Q&Aもご覧ください。



■労働時間の適正管理の必要性


①過重労働(長時間労働)は、
 疲労の蓄積をもたらし、健康障害(脳・心臓疾患、精神疾患)
 を引き起こす重要な要因と考えられている為、
 時間外・休日労働時間の削減が求められている。

②賃金不払い残業を解消する為に、

 労働時間を適正把握する必要が求められている。



■厚生労働省の取り組み


厚生労働省は今年8月に、
若者の「使い捨て」が疑われる企業等が社会問題と
なっていること等を受け、
9月を過重労働重点監督月間とし、


集中的に企業の監督指導等実施を行い、


長時間労働の抑制に向けた集中的取組みを
行うこと等を発表しました。


厚生労働省発表
若者の「使い捨て」が疑われる企業等への取組を強化
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000014323.html



■労働基準監督署の調査


今年に入り、労働時間の管理に重点を置いて
調査が行われています。


 ①タイムカードや出勤簿はあるか。

 ②そのタイムカード等は適正であるか。

 ③時間外や深夜労働があれば、その分の割増賃金は
  支払われているか。

 ④賃金台帳に労働時間や労働日数は記載されているか。

 ⑤定額残業代を運用している会社においては、
  その定額残業代は何時間分のものか。

 ⑥定額残業代を超えた労働時間については精算しているか。


等、かなり細かく確認を行っています。