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トピックⅠ 有給休暇の管理 Part2
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       ■計画的付与
       ■時間単位付与


Vol.50で有給休暇の管理 Part1では、
有給休暇の付与条件や不利益な取り扱いの禁止等について、
ご紹介いたしました。


現実を振り返ってみますと、

日本の労働者の有給休暇の消化率は、
諸外国に比べはるかに低いと言われています。


一方で年々労働者の権利意識が高まり、
取得をめぐり、労使間で
トラブルが多発しているのも事実です。


人手不足が深刻な中小企業では、
会社が有給休暇取得を促進させたいと思っても、
業務への影響が深刻で
躊躇するような場合もあるでしょう。


また、繁忙期に取得を申請されたり、
退職時にまとめて有給休暇の消化を申請されたりと、
苦いご経験の会社様も多いことかと思います。


そこで今回は、有給休暇の取得の促進のために
創設された制度をご紹介しましょう。


■有給休暇の計画的付与


労働者からの請求がなくとも、
あらかじめ会社が指定した日に
有給休暇を付与することができる
制度です。


計画的付与の対象となるのは、
年次有給休暇のうち、
5日を超えた部分です。


例えば、有給休暇付与日数が


 ・10日の従業員に対しては5日、
 ・20日の従業員に対しては15日までを


計画的付与の対象とすることができます。


 ※5日は個人が自由に取得できる日数として必ず残して
  おかなくてはなりません。


会社側としても従業員の有給休暇消化を
イニシアティブをとって促進することができ、
従業員側も有給休暇を取得するために
周りに遠慮する気苦労が無くなるところに
メリットがあります。


▼計画的付与の方法
 
 計画的付与は以下のような3つの
 方法があります。


 ①一斉付与方式
 具体的な有給休暇日(期間)を定め、
 会社全体を休みにして、
 全員一斉に有給休暇を与えます。


 ②班別付与方式 
 班別に有給休暇の具体的期日定め、
 交替制で有給休暇を与えます。


 ③個人別付与方式
 個人別に計画有給休暇の日数、時期をまとめ、
 従業員同士間の調整計画表を作成して
 有給休暇を与えます。


▼導入手続き


 有給休暇の計画的付与制度の導入には、
 就業規則による規定と労使協定の締結
 が必要になります。


 ①就業規則に規定


 就業規則に
 「5日を超えて付与した有給休暇については、
 従業員の過半数を代表する者との間に協定を締結した時は、
 労使協定に定める時季に計画的に取得させることとする」
 等定めることが必要です。


 ②労使協定の締結


 計画的付与を行う場合には、
 就業規則の定めるところにより、
 書面による労使協定にて次の内容を
 締結する必要があります。


  a.計画的付与の対象者
  b.対象となる年次有給休暇の日数
  c.計画的付与の具体的な方法
  d.対象となる有給休暇を持たない者の扱い
  e.計画的付与日の変更


なお、この労使協定は労働基準監督署への届出は不要です。


▼注意点


 ①時季変更権行使の制限


 業務が急に忙しくなり、
 計画により有給休暇とされた日を
 労働日として変更する必要が生じても、
 別の日に変更してもらう「時季変更権」は
 認められないことに注意が必要です。


 この対策として、 
 労使協定内に業務上やむをえない事情等による 
 変更手続きの記載があります。
 (上述 ②労使協定 e.参照)


 ②有給休暇を持たない者への対応


 計画的付与の時点で入社間もなく、
 有給休暇の権利が発生していない従業員や、
 パートタイマー等比例付与の対象で
 有給休暇日数が10日に満たないような従業員も含めて
 会社全体を一斉に休業とするような場合、
 計画的付与する有給休暇が存在しないという
 問題が起こることがあります。


 そのような場合は、
 特例として、
 労働基準法に定められた以上の有給休暇を付与する
 ことが望ましいとされてます。


 このような措置をとらない場合は、
 該当日に休業手当(平均賃金の6割以上)のを支払い
 といった取扱いが原則として必要です。



■時間単位の有給休暇


平成22年4月の労働基準法改正により
新たに創設された制度です。


これまで有給休暇は、

原則労働日単位で取得するものとされていました。


 ※一部慣行で半日単位を認めていた会社もあります。
  Q&Aも参照ください。


改正後は
労使協定により、時間単位で取得できるようになりました。


時間単位の有給休暇日数の限度は

一年間に5日までとなります。

 ※分単位など時間未満の単位は認められません。


時間単位の有給休暇を認めることで、
より柔軟に仕事と生活の調和を図ることが
できるようになりました。



▼導入手続き


 時間単位の有給休暇を導入するためには、
 労使協定を締結して
 以下のことを定める必要があります。


  a.時間単位有給休暇を付与する対象労働者の範囲
  b.時間単位有給休暇の日数(1年に5日以内)
  c.時間単位有給休暇1日の時間数
  d.1時間以外の時間を単位とする場合は、その時間数


▼注意点


 ①対象労働者の範囲


 業務別、職種別の特性から、
 時間単位有給休暇になじまない
 従業員を対象外とすることはできますが、
 取得目的によって対象範囲を
 定めることはできません。
  (例)× 育児を行う従業員に限る


 ②1日の所定労働時間


 1時間未満の端数がある場合は、
 1時間に切り上げます。
  (例)1日の所定労働時間が7時間30分の会社
    ↓
 1日当たり8時間の時間単位有給休暇とします。


 ③時季変更権について


 時間単位有給休暇も通常の有給休暇同様、
 事業の正常な運営を妨げる場合には
 会社側に時季変更権が認められます。
 しかし、
 日単位の請求を時間単位に変えることや、
 時間単位の請求を日単位に変えることは
 できません。 
 
 ④繰越の取扱い


 有給休暇の日数に繰り越し分がある場合、
 時間単位で付与される有給休暇の日数は
 繰越分を含めて年5日以内です。
 
 ⑤計画的付与との関係


 時間単位有給休暇は、労働者が請求した時季に与えることが
 できるものなので、計画的付与として時間単位有給休暇を
 与えることはできません。



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時間単位有給休暇について
厚生労働省のリーフレットはこちらから
http://www.mhlw.go.jp/topics/2008/12/dl/tp1216-1l-04.pdf#search=%27%E6%9C%89%E7%B5%A6%E4%BC%91%E6%9A%87+%E6%99%82%E9%96%93%E5%8D%98%E4%BD%8D%27

厚生労働省リーフレット
「有給休暇ハンドブック」はこちらから
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kinrou/dl/040324-17a.pdf

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