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トピックⅠ 通勤災害について確認しましょう
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Vol.44、46にてマイカー通勤や社有車使用の
労務管理について取り上げました。
では、マイカー使用に関わらず、
通勤中に事故に遭遇したような場合には
労災保険の通勤災害の適用の可能性がありますが、
どのような取扱いがされるのでしょうか。
今号では「通勤災害」について確認してみましょう。
■ 労災保険 ■
労災保険は大別して、
・業務中に起きた災害に起因する負傷・疾病・障害・死亡に
対して補償する「業務災害」と、
・通勤中に起きた災害に起因する負傷・疾病・障害・死亡に
対して補償する「通勤災害」
に分けられます。
両者の保険給付の内容、給付額については、
ほとんど同一です。
■ 通勤災害 ■
「通勤」に該当するか否かが
通勤災害認定のポイントとなります。
◆「通勤」とは
①就業に関し
②住居と
③就業の場所との間の移動を
④合理的な経路及び方法により行い、
⑤業務の性質を有するものを除く
ものとなります。
以下、それぞれについて詳しくみていきましょう。
①「就業に関し」とは
移動が業務と密接な関連をもって
行われたことが必要です。
つまり、
被災当日に就業することとなっていたこと、
又は、実際に就業していたことが必要です。
遅刻やラッシュを避ける為の早出など、
通常時の出勤時刻と時間的に
ある程度の前後があっても業務との関連性が認められます。
※但し、休日に会社へ忘れ物を取りに行くような場合は
業務との関連性が認められません。
②「住居」とは
従業員本人が居住していて、
日常生活の用に供している家屋等の場所で、
本人の就業のための拠点となる所をいいます。
深夜に及ぶ残業や早出出勤等の勤務上の事情や、
天災、交通ストライキ等の事情の為、
一時的に会社の近くのホテルに
宿泊し、そこから通勤するような場合は、
当該ホテルが「住居」に該当します。
※但し、飲み会で遅くなって泊った友人宅等は住居とは
認められません。
トピックⅡのQ4も合わせてご参照ください。
③「就業の場所」とは
業務を開始し、終了する場所をいい、
一般的には、
会社や工場等の本来の業務を行う場所をいいます。
外勤業務に従事する従業員の場合は、
自宅を出てから最初の用務先が
業務開始の就業場所であり、
最後の用務先が
業務終了の就業場所と認められます。
④「合理的な経路及び方法」とは
移動を行う場合に、
一般に従業員が用いると認められる
経路及び方法をいいます。
⇒「合理的な経路」
通常利用する経路であれば、
複数あっても認められます。
当日の交通事情により迂回して取る経路等
やむを得ずとる経路は
合理的経路と認められます。
共稼ぎの従業員が子供を託児所等に
預ける為にとる経路も、やむを得ずとる経路であって、
合理的経路となります。
⇒「合理的な方法」
通常用いられる交通方法、
・鉄道、バス等の公共交通機関を利用する場合、
・自動車、自転車を本来の用法に従って使用する場合、
・徒歩の場合など、は
平素より用いているかどうかに関わらず、
一般に合理的な方法となります。
※但し、自動車、自転車等を泥酔して運転する場合には、
合理的な方法と認められません。
⑤「業務の性質を有するものを除く」とは
業務の性質を有するものである場合は、
通勤となりません。
⇒業務災害となります。
具体的には、
会社の提供する専用交通機関で
出退勤する場合や、
緊急用務の為休日に呼び出しを受けて、
緊急出勤をする途上で被災(事故)した場合は、
業務災害となります。
◆逸脱、中断
上記①~⑤に全て該当する場合が、
原則「通勤」ですが、
「移動の経路を逸脱し、又は中断した場合」には、
逸脱又は中断の間及びその後の移動は
通勤となりません。
【逸脱・中断の例】
・映画館に入る場合
・バーで飲食する場合
【逸脱・中断に該当しないものの例】
・通勤経路上の公衆トイレを利用する場合
・経路上でタバコやジュースを購入する場合等、
⇒ささいな行為を行う場合
但し、逸脱・中断が
・日常生活上必要な行為であって、
・厚生労働省令で定めるものをやむを得ない事由により行う
最小限度のものである場合は、
⇒逸脱・中断の間を除き、通勤となります。
【厚生労働省令で定める例外となる行為】
①日用品の購入その他これに準ずる行為
②職業能力開発促進法に規定する職業訓練、
学校教育法に規定する学校において行われる教育を受ける場合等
③選挙権の行使その他これに準ずる行為
④病院又は診療所において診察又は治療を受けること
その他これに準ずる行為
⑤要介護状態にある親族の介護
※下記の図もご参照ください。
○・・・通勤に該当
×・・・通勤に該当せず
<日常生活上必要な行為以外の逸脱・中断の場合>
就業場所→(○)→経路より逸脱・中断中(×)→経路に戻る→(×)→住居
<厚生労働省令に定める例外となる逸脱・中断の場合>
就業場所→(○)→経路より逸脱・中断中(×)→経路に戻る→(○)→住居
■ 保険給付の種類 ■
①療養給付
けがや病気の治療を受けられる。
②休業給付
休業4日目以降休業1日につき、給付基礎日額の80%を支給
(うち20%は特別支給金)
③傷病給付
療養開始から1年6ヶ月経過しても
治らず傷病等級(1~3級)に該当した場合に年金で支給
④障害給付
傷病が治ゆした後に、重い障害が残った場合、
・障害等級1~7級は年金、
・障害等級8~17級は一時金 を支給
⑤介護給付
障害が残り介護が必要となった場合、介護費用を支給
⑥遺族給付
通勤災害により従業員が死亡した場合、原則年金で支給
⑦葬祭給付
通勤災害により従業員が死亡した場合、葬儀を行う者に支給
■ 第三者行為災害 ■
通勤災害では、特に交通事故の場合、
事故の相手方がいることがあります。
相手方の行為によって事故が生じたものであり、
そのような場合当該従業員は、
通勤災害の給付請求権と
相手方(第三者)に対して損害賠償請求権を持ち、
両方から重複して補償を受けることは、
実損害より多くの支払いを受けることになり、
不合理な結果となります。
事故の原因が第三者(加害者)である場合は、
加害者が補償を負担すべきと考えられることから、
災害の相手方がいる場合は
「第三者行為災害届」を提出します。
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相手方に責任があるような場合で、
労災保険給付を受けた際には、
国が相手方に求償を求めることがあります。
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なお、第三者が逃亡し不明である場合も
提出しなければなりません。
※自動車事故の時は、自賠責保険等との調整が発生します。
メルマガVol.44でも取り上げているので
ご確認ください。
■ 通勤災害と業務災害の差異 ■
【自己負担金】
保険給付の内容に差異は
ほとんどありませんが、
業務災害で療養(補償)給付を受ける場合は
⇒無料ですが、
通勤災害による療養給付を受ける場合、
⇒200円の一部負担金があります。
※第三者行為による事故、休業給付を受けない場合は
負担金がありません。
【会社の災害補償】
業務災害は労働基準法において、
会社に災害補償の義務があることが定められています。
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会社には、従業員に安全な環境で仕事をさせるよう
安全配慮義務があるからです。
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しかし労働基準法に通勤災害に対しての
会社の補償義務規定はありません。
労災保険法は本来の会社の災害補償義務を
国が代わりに行うものです。
労災保険が補償外としている、休業開始3日間の休業補償を、
業務災害の場合
⇒会社が直接補償しなければなりません。
通勤災害の場合、
⇒会社が補償する必要はありません。
したがって、その間従業員は実質無給状態となります。
【解雇制限】
労働基準法にて業務災害により療養する期間、
及び療養後30日間は原則解雇してはならないと
規定されています。
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但し、会社が打切り補償を行った場合と、
療養開始後3年経過時点で傷病補償年金を
受けている場合、解雇制限はありません。
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一方で、
通勤災害についてこのような規定がなく、
通勤災害による療養が続いていても、
解雇は制限されません。
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通勤災害について、
詳細は下記東京労働局ホームページも
ご参照ください。
http://tokyo-roudoukyoku.jsite.mhlw.go.jp/hourei_seido_tetsuzuki/rousai_hoken/tuukin.html
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