本題に入る前に、前置きの話が長くなるのが私の悪いクセだと思います。
友人と二人でふらりと、偶然小さな日本画展に出くわしました。
私は人物も着物も自然で良く描けているなぁとサラリと通過しておしまい。
ところが友人はいたく気に入って、じっくり鑑賞。
あげくに「この絵がほしい!」と。
ふと見たら画家さんが控えておられ、話はトントン拍子に。
その絵は、とある文学賞の高校生部門で優勝した作品が出版され、
その表紙の原画でした。
可愛らしい娘さんが目を閉じて三味線を弾いている図。
普段、とっても慎ましい経済活動の友人が見せた気前良さに大変驚きました。
一生忘れないかもしれません。
仕事盛りの世代、でも穏やかな感じの画家さんでした。
彼女の腕が見込まれ、表紙の依頼があったということが理解できます。
お買い上げの特典で小説をプレゼントされた友人。
パラパラと見せてもらって、セコイ私はすぐ図書館に予約。
美しい本が回ってきて、その名も「ちとせ」を読み終わりました。
明治初期の京都を背景に、視力を失いつつある三味線弾きを目指す少女の、
ほのぼのとした青春の人情話。
楽器を演奏する者共通の心理、共感しました。
そして師匠である大人の心理、17歳なのにどうしてわかるの?と不思議でした。
たった17年の人生経験で、これだけの描写、表現が出来るとは信じられないほどでした。
爽やかな読後感で読んだ甲斐がありました。
作者を調べたら、やはり名門校の秀才なことには間違いありません。
読み終えた直後、かなり前に予約していた本が回ってきたので読んでいる最中です。
「誰が国語力を殺すのか」
子供、若者の国語力が2000年あたりから急に落ちてきた現実をルポする内容です。
日本語がお互いに通じない世界が広がりつつある恐ろしさ。
家庭内教育の問題が大きく影響していることは確か。
大人顔負けの文章力の小説の後で、ショッキングな若者の会話を読んで二極化という言葉が頭を駆け巡りました。