N響演奏旅行での、松山から鳥取へ移動するこの日は、これまで東京、大阪、松山と3日連続の本番をしてきた上に、距離も長いので「移動日」と称される、まあ移動とリフレッシュに当てる日でした。

松山から鳥取に行くための瀬戸内海渡り&中国山脈超えには、電車よりレンタカーが便利と、このお二人が僕のお誘いにのってくれました。

ヴァイオリンの猶井君と、チェロの西山君。しまなみ街道で休憩中の一コマ。

この日の宿は、鳥取県の隣り、島根県まで行っておけば安心という事で、奥出雲です・・



そうじゃないでしょ!
奥出雲に行きたかったのでしょ!!!

その通りでございます。
3度目の奥出雲、どうして僕は、この地に、こうも惹き付けられるのか?
今回ようやく、その魅力が自分なりに見えてきたような気が致します。

僕の思うに、
『ここでは人間本来の真っ当な暮らしが、ごく自然に営まわれている』

『スサノオの降臨やヤマタノオロチ、クシナダヒメ等と日本の神話の宝庫』

『日本刀に欠かせない砂鉄を中心に栄えてきた、たたら製鉄文明』

この3点が絶妙に溶け合って、独特の魅力を醸し出しているのかもしれません。

まず『人間本来の暮らし』ですが、

奥出雲に入った所の道の駅での昼食は、朝採れ野菜、それも露地物の、本来野菜って、こうだよねという栄養の濃い品々を食しました。拡大してご覧頂くと栄養の注釈が少し読めますよ。

新鮮なイノシシも!臭みなく絶品。

という訳で、95%野菜のお昼ご飯(お代わり含む)で、お腹いっぱいです。免疫力がアップしそう!

優しくて面倒見の良いお店のおばさんの作られた、当たり前の朝採れ野菜と仁多米。これが、奥出雲の基本なのでしょう。


そして、お次は、刃物。
これも地産地消で、初めての奥出雲の時に購入した、砂鉄から作られた包丁のメンテナンス!実は、これこそが今回の奥出雲訪問の最大の目的だったのです。


神様!!

まず、金タワシのようなもので磨いておられるようです。

金槌で曲がりを直し?

第1の研ぎ

我が子を慈しむかのような手作業による第2の研ぎ。

そして段階を経る事によって、さらに愛情の深くなった第3の研ぎ。

ああ、なんと言う愛情でしょう!
ただ砥石で研ぐだけかと思っていた自分が恥ずかしい。

鍛冶屋の方としては、当たり前の事をされているだけなのでしょうが、払ったお金の分しか見返りのない都会的サービスに慣れていると、情愛の深さに感激します。(ちなみにお代は受け取られませんでした)


スサノオの降臨された山(中央のなだらかな地帯)を眺めつつ、次に我々の訪れた所は、





僕の左隣の御方、日本でたったおひとりの砂鉄から鋼を作る事の出来る国選定保存技術保持者でいらっしゃる木原明さん。

木原さんは、砂鉄の溶ける音などに耳を済まして火加減を調節したり、科学でどんなに研究して数値化しても分からない、神秘的と言っても良いくらいの能力をお持ちの大変な御方なのです。
砂鉄を溶かす時は3日間、眠らずに、熱い所で付きっきりで、まるでお産を見守るかのように砂鉄の世話をするそうです。

この日も、砂鉄が鋼になるまでのお話しを、自ら1時間半くらいもお話し下さり(素人相手だからといって手抜きの出来ない性格らしいです)、その後、清められた作業場で刀を打つ刀匠のお仕事も少し見せて頂きました。

いやあ、そのお仕事ぶり、厳しい!!
しかし、そこには仕事に対する深い愛情を感じます。

そして更に我々の訪れた先は、

以前にもご紹介した、昨年、僕が煤竹製お箸を購入した、亀嶽地区の算盤製作所。
上の写真は、製作者の若槻さんから、一同(他3名合流)煤竹とお箸の熱いお話しを伺っているところです。
ここでも若槻さんの、お仕事に対する愛と情熱を感じました。

お箸工房の近くには、小説「砂の器」でも有名な亀嶽駅があります。

駅前にあった「砂の器」登場人物のお巡りさんになってみて、この笑顔。
こんな事をしてみようと思ったなんて、僕とした事が、どうしてしまったのか?
純粋で温かい方々に接して、僕の心も健康になったのでしょうか。

みんなのこの笑顔が、全てを物語っていますよ!

そして奥出雲の魅力に触れられて、これだけの笑顔になれたのは、実は、この方の大きな愛に包まれていたからなのかもしれません。

色々な所にご案内下さった奥出雲多根自然博物館 館長の宇田川さんです。
何の見返りもないのに、我々が喜ぶだろうと無償の愛を注いで下さいます。本当に感謝のしようがありません。僕にとっては、宇田川さんとお話しするのも、奥出雲の魅力のひとつとなっているのかもしれません。


奥出雲で当たり前の事は、都会の常識より、一見、ほんの少し親切だとか贅沢と言うだけなのかも知れません。
しかし、その本来人間ってこうだよね、という状態との少しの差が、なかなかそう埋まるものではなく、そこに「お金では買えない豊かさ」を感じて、何度来ても奥出雲に惹き付けられるのかもしれません。


追伸です。
木村拓哉、福山雅治さんという格好良い方々が履いている「オロチ ジーンズ」の、僕はTシャツだけ購入しました。宿の売店のご当地コーナーで売っていたのですがSサイズしかなくて。会社が倒産したとかで、なかなか商品がないらしいのですが、僕がLサイズはないのかあ、と少し落胆して店を去ったら、お願いした訳でもないのに、奥出雲中のめぼしい所に電話して、Lサイズを見付けて下さっていて、僕が再び売店の近くを通りかかった時に、お声をかけて下さるという(後ほど、そこまで買いに行ったので宿の売店の儲けにはならず)、売店の損得勘定を越えたご親切に驚きました!!

大事にします。