「アイズ」 ジェシカ・アルバ主演 リメイク・ホラー
香港のパン兄弟が監督したホラー「the EYE アイ」が、米国で「アイズ」としてリメイクされた。主演はジェシカ・アルバ。ハリウッドらしい派手さが印象的だ。
香港のパン兄弟が監督したホラー映画「the EYE アイ」(02)が、ハリウッドでリメイクされた。主演は「ファンタスティック・フォー」シリーズのジェシカ・アルバ。監督は「THEM ゼム」のダヴィド・モローとサヴィエ・パリュ。
幼いころに視力を失った盲目のバイオリニスト、シドニーは、姉の勧めで角膜移植を受ける。ところが目が見えるようになるにつれ、「見えないはずのものが見えている」ことに気づく。カフェで突然襲ってくる女性。マンションを徘徊する少年。見ず知らずの不気味な部屋の風景。怪しげな黒い影。「106」という謎の数字──。
ほぼ忠実にオリジナル版の骨格をなぞりながら、部分的に違う肉付けをしている。まずオープニング。主人公に角膜を提供する女性のエピソードが漠然と描かれる。バイオリニストのシドニーは、オリジナルでは視覚障害者の楽団に所属していた。リメイク版では一流楽団のソリストに変っている。角膜移植手術後は主人公のぼやけた主観映像がしばらく続き、視覚を補うように聴覚を研ぎ澄ます姿が描かれる。主人公は入院した病院の廊下で、同じ病室の老女の霊と遭遇する。ショッキングな映像と共に、主人公の聞いた音を観客に追体験させる。音響デザインが素晴らしい。そして主人公だけに見えてしまう死者を導く案内人。オリジナルとは違う凶暴なゴーストで恐怖をあおる。
最大の違いは、角膜を提供するメキシコ人女性・アンナが見た予知夢を、そのまま主人公も追体験してしまうことだ。多数の死傷者が出す火事を、アンナは予知してしまう。未然に防ごうとするものの、誰も信じてくれない。そこへ実際に火事が起こり、逆に村人から反感と疑惑の目で見られる。“魔女”と呼ばれ、村人から迫害され、アンナはついに自殺。そんなアンナの角膜細胞を通し、シドニーも予知夢を見るようになる。火に包まれる自宅の部屋の夢、中華料理店での火事現場を、シドニーは追体験する。
角膜移植をテーマにした作品は、手塚治虫原のマンガ「ブラックジャック」の一編「春一番」を映画化した「瞳の中の訪問者」(77)がある。殺害された女性の角膜が主人公に移植され、殺人者が見えようになるというもの。パン兄弟のオリジナル版「the EYE アイ」は、「ブラックジャック」の設定に「シックスセンス」をミックスした印象だった。オリジナルはジャパニーズ・ホラーに近く、淡々とした演出が基調。「アイズ」はハリウッドらしく、派手に磨きをかけた印象だ。
主人公と角膜提供者は、物語の後半に一体化する。二人の関係に一歩踏み込んでいる。クライマックスの燃料輸送トラック大爆破の解釈も、オリジナル版では後味が悪いが、リメイク版では前向きに変更。感動路線に導いたのはうまかった。主人公の職業を上手に使った幕引きもいい。主演のジェシカ・アルバの好演も手伝い、観客に支持されるよう仕上げている。ハリウッドらしさが光る作品である。
「アイズ」(2008年、米)
監督:ダビィド・モロー、ザヴィエ・パリュ
出演:ジェシカ・アルバ、、アレッサンドロ・ニヴォラ
11月1日、渋谷東急ほかで全国公開。
出典:JanJan